2022年7月22日。
現在。
僕は27歳。
大学生で、作家。
東京のワンルームで一人暮らしをしていて、たまに後輩を家に呼んでボドゲで遊んだりする。
このまえ発売された「モンスターハンターサンブレイク」を絶賛プレイ中で、
サンブレイクのせいで「Horizon Forbidden West」と「Cyberpunk2077」がすげー中途半端なところで立ち往生している。
メディアワークス文庫と早川書房との関わりがあり、来月には新作を発売予定。他にも短編の依頼とか新作の企画とかをやっていて、編集者曰く「新人としては悪くない滑り出し」だそうだ。
慕ってくれる後輩がいないこともない。そして僕のことを嫌いという人もいる。むしろそういう人の方が多いかもしれない。それでも大学は僕にとって今でも大切な場所で、週に一度か二度行って、作業をしている。恩師もいる。
あまりにほったらかしにしておくと、両親が連絡を入れてくれと急かしてくる。
特に母親は僕の体調を今でも心配している。
父親は、高校生の時から小説の相談をしてきただけに、最近プロになって話をしなくなったことに少し寂しさを感じているみたいだ。
だからたまに電話して、話をする。昔みたいに小説にことは話さない。話したとしても控えめにする。やっぱり、作家だから、本になったものを読んでもらうのが一番だと思っている。父も、寂しいけど、それが一番良いと言ってくれた。
今年は人生で初めてまとまった収入を得た。
純粋に自分の力でお金を得ることができた。
嬉しかった。
今でも、病院には通っている。
造血内科は二ヶ月に一回くらい。それ以外に皮膚科も。
でも、飲まなきゃいけない薬は、どんどん減ってきている。
今年の初めに免疫抑制剤が無くなってから、一ヶ月6万5千円上限を払っていた医療費が、2万5千円くらいにガクッと下がった。
今、この体にある症状は、皮膚の慢性的な乾燥と、全身にある汗孔角化症と、両目の白内障と、閉塞性細気管支炎と、あとは筋肉がなさすぎること。最後のは僕がただ運動してないだけ。
薬はたまに飲み忘れる。
いや、結構飲み忘れる。それで別に何か困るわけじゃないから困る。
とりあえずこんな駄文を書けるぐらいには、僕は元気だ。
何一つ、ろくに考えてこなかった。
これは、あまりに予想に反する未来だ。
白血病になることも、それが寛解することも、寛解後GVHDが襲うことも、大腸を摘出することも、そして大学生になり、作家になることも。
何一つ、定かなことなんてなかった。
2013年。
僕は、本当につまらない浪人生だった。
適当に大学に入って、普通に就職して、順当に結婚などをするのだろうと、そんなことを本気で信じる――創作することが好きで、お喋りも好きな、視野の狭い少年だった。
今でも本質は変わらない。
ただ少しだけ余裕がでてきた。
過去は、振り返った時点でもう過去ではない。
それは都合のいい創作になる。恣意的じゃない歴史なんてないと思う。
だからこの回顧も、僕の想いが歪めてしまっていないとは言い切れない。
それでも、
僕はアプローチしたい。
なぜなら僕は、いつも、過去になりゆく現在の自分と約束し続けてきたからだ。もし生き延びたら、未来で必ず拾い上げると。お前の声をいつかちゃんと文字にすると。
約束を果たすよ。
明日から、毎週月水金、
12時6分6秒に公開していきます。
5年を回顧するのは並大抵ではなく、
いつ終わるかの目処さえついていませんが、
必ずやりきりたいと思います。
なので、どうぞよろしくお願いします。