*母の記録*

 

2014年1月30日

息子は浪人中パソコンで音楽を作っていました。

(勉強していると思っていましたが、、、)

病気になって、少しでも闘病の励みになればとCDの作成を依頼していました。

数曲ある中の1つに「パストパーフェクト」という曲があるのですが、おそらく白血病で亡くなった彼女を想う悲しい曲でそれを自分の発病前に作っていたわけで、発病前は何気に聞いていた曲ですが、息子が入院した後に聴くと涙が止まりませんでした。

そのCD製作に携わってくださったエンジニアの方がレコーディングの合間を縫ってお見舞いに来てくれました。

本当にありがとうございました。

 

 

 

*僕の記憶*

 

確か英語の授業中に

過去完了のことをpast parfectと表記していて、

その語感がとてもいいなと思って、曲にしたのだ。

 

だって、past(過去) parfect(完了)ってめちゃめちゃかっこよくない?

今見返してみると、

曲っていうより小説じゃん、と思うけれど、

この時はこういうのばっかり書いてたな〜。

 

 

 

 

【パスト・パーフェクト】

 

これはまだ午前六時半頃

君が僕の隣でコーヒーを

飲んでいた頃の話だ

懐かしいあの日のことだ

ぎこちない会話とは裏腹の

積もり積もった愛情表現が

なんとも言えない程

こそばゆい日々だったものだ

 

今にして思えばそう

僕ら何も知り合っていなかった

知ろうともせずにただ

合わせ鏡のように見つめあっていた

それでも僕ら幸せなんだと

求めること以外何もせずに

いつの日か別れが来るなど

夢にすら見なかったんだ

 

将来のことちゃんと真面目に

考えなきゃダメだよって

君は何度もそう言っていた

そうだろ そうだろ?

 

君はもう居ないと

言葉にすれば簡単だ

けれどその翻訳は

僕には出来ないと知ってる

あの日の君の声に

気付けていたのだとしたら

君のいないこの今を

変えられたかな

 

それは午後六時過ぎの公園

ブランコで一人泣いてる君に

声をかけた時の話だ

懐かしいあの日のことだ

白い服がじっとり雨に透け

体から透明な管を生やす

君は静かに零した

「私、逃げ出して来たの」って

 

全てがどこか欠けていて

だからこそ互いが必要で

完璧になろうとしていた

いまじゃもう「大きな過去」

 

僕たちの命は

過去に根差し「今」に伸び

未来へと枝を伸ばし

やがて実を付けて枯れるだろう

君のいない午後には

古い時計がイマを刻み

二人分のコーヒーが

片方だけ冷めていく

 

変わらない過去がここにあるから

仮にも僕は生きているんだ 

君の分身がそこにいる

完璧な 僕らの「カコ」

 

透明なプレートで

仕切られた君の最後は

似合わないニット帽

無理矢理作った笑顔

 

君のいない世界は

恐ろしいほどたいくつで

それは例えて言うなら

毎日が英語の授業さ

仮定法過去完了

考えるだけ無駄だけど

君のいる明日には

どうすれば帰れるのだろうか

 

君はもういないと

誰がそう言おうと僕は

君の「分子」をこころに

いつまでも宿しつづけるから

僕と君が過ごした

「完璧な過去」がある限り

君は死んだりしないよ

するはずがないよ