*母の記録*

 

2014年1月13日

<前兆>

ご飯は食べられるけど胃に空気が入ってるみたいだと息子が言いました。

昨日からの胃の膨らみが気になる。ストローで空気を抜いてほしい。

食べられるけど気持ち悪い。お腹が張っている。

 

2014年1月14日

昼頃お腹がやば痛いとメールがありました。

主治医は膵炎を疑って朝、腹部のCT査をしました。

夕方面会時、疑うなら膵炎だが朝のCTでも異常はなく現時点では特定はできない。

21時頃初めて吐いたとメールがありました。

 

 

*僕の記憶*

 

白血病っていう病名は、

まるで呪いみたいに流布してる。

 

かかったら最後、死ぬ病。絶望の代名詞。それらが日本中に広まるのを手伝ったのは、明らかに「難病もの」「闘病もの」と言われる小説なり映画だ。

 

でも僕は、それらの作品の実績を責められない。

 

なぜなら僕自身が「闘病もの」の作品を再生産してさえいたからだ。

どういう作品を作っていたかというと、たとえばこんな音楽作品。

 

 

 

⬆︎歌詞

 

これは罹患が発覚したちょうどその年に(浪人中に)に作った自作曲(サウンドクラウドのものはMIX後のもの)で、内容は歌詞を見てもらえればお察しである。

 

白血病をテーマにした楽曲と歌詞。

 

そんな馬鹿な? って思うでしょ。

僕が一番思ってる。

 

この歌詞を考えてから半年も経たないうちに、僕は作品で扱ったのと同じ病に罹患した。僕が物語のネタに消費しようとしたから、バチが当たったのかもしれない。そう思うようにしている。

そして――前も書いたように実際に罹患してみると、その落差に愕然とした。

 

2014年1月12日。

その日から始まった数日間は、まさにその落差の数日間だった。

多くの作品が怠惰のために描くことをしてこなかった「痛み」を、臓腑で味わう日々の始まりだった。