今回は暫しの活動休止期間を経た"NINE INCH NAILS"(ナイン·インチ·ネイルズ)が2013年にリリースした通算8枚目となるアルバム『HESITATION MARKS』(ヘジテイション·マークス)のご紹介です。

アルバムタイトルは"リストカット時のためらい傷"を意味するそうで、自分を虐める事が大好きな"トレント·レズナー"ならではですね(笑)

前作『THE SLIP』(ザ·スリップ)を2008年にリリースした後"活動休止"を発表したNINですが、次作となる『HESITATION MARKS』リリースまでのブランクは5年程度なので思ったほど長い活動休止期間ではありませんでしたね。(昔のNINなんて活動休止してなくてもアルバムリリースのスパンは普通に4〜5年置きくらいでしたしね..)

ジャケットワークが1994年作『THE DOWNWARD SPIRAL』(ザ·ダウンワード·スパイラル)を彷彿とさせ、何となく当時の"ハード·ロック/ヘヴィ·メタル"の要素を取り戻した"原点回帰"的な作風を期待していたアルバム『HESITATION MARKS』ですが、実際のところはアルバムリリース当時のインタビューでトレント·レズナーが「サウンド面では『ザ·ダウンワード·スパイラル』と全く違う音になっている」と語っている通り、作品全体の感触は"エレクトロニック·サウンド"やディスコティックとも形容出来る"ダンサブルなリズム"が増強されている印象で、"ハード·ロック/ヘヴィ·メタル"的要素はかなり希薄になっています。

『THE DOWNWARD SPIRAL』のジャケットワークを手掛けた"ラッセル·ミルズ"を今作『HESITATION MARKS』で再び起用し、敢えて『THE DOWNWARD SPIRAL』を彷彿とさせるジャケットデザインにした理由については「みんながNINの事を覚えているかどうか分からないから念のため過去の名作から引用しようと思ったんだ」と語っております。(紛らわしい事するなぁ..)
アルバム『HESITATION MARKS』は初期NINよりも"脱暗黒王子"を図ったNIN史上最もキャッチーな2005年リリース作『WITH TEETH』(ウィズ·ティース)を連想させる内容で、アルバム『HESITATION MARKS』からの先行シングル『CAME BACK HAUNTED 』(ケイム·バック·ホーンテッド)なんかは、同じくアルバム『WITH TEETH』からの先行シングル『THE HAND THAT FEEDS』(ザ·ハンド·ザット·フィーズ)に曲調がかなり似ています。

幾重にも折り重なった偏執的な音作りや不穏なエレクトロサウンド等、従来の"NINらしさ"は充分感じられますが、それでも嘗てのNINサウンドの代名詞と言える"インダストリアル·メタル"の要素はほぼ皆無なので初期NINファンには賛否の分かれる作風でしょうね。(曲によっては"エレクトロ·ポップ"と呼べる様なものまでありますし..)

ただ、個人的には近年のNINの方が好きでして、本作に関しても"NIN流暗黒ダンス·ロック"とも言える『CAME BACK HAUNTED』なんかは何度もリピートしたくなる中毒性があります。(MVは"デヴィッド·リンチ"監督が手掛けております..)

ところで、昨年2020年はNINが"ロックの殿堂"入りを果たしたり、プライベートでは第5子が生まれる等、トレント·レズナーにとっては気を吐いた年とも言えますが、個人的には"ロックの殿堂入り"よりも"第5子出産"の方に驚いています。

「トレント·レズナーはイケメンだけど自分大好きで変人だからきっと一生独身を貫くんだろうな..」と思っていたのが今から約15年前。その後、2009年にSSWの"マリクイーン·マーンディグ"と結婚し、そこから10年そこそこで5人も子供を作ってしまうのですからたまげるしかありません(笑)

トレント·レズナーの作る音楽はかなりイカれていますが、近年の彼自身、特にプライベートに関しては"誠実"そのものな印象を受けます。(趣味や嗜好は相変わらずぶっ飛んでいますが..)

身体を鍛えて自分を律し、1人の女性を愛して家庭も疎かにせず、仕事振りも超真面目。ロッカーのイメージとしてありがちな"セックス、ドラッグ、ロックンロール"の羽目を外してナンボなライフスタイルの真逆を行っていますね、素敵!

それでは折角なので最後にもう1曲、奥様のマリクイーン·マーンディグをボーカルに据えた旦那(トレント·レズナー)プロデュースのバンド"HOW TO DESTROY ANGELS"(ハウ·トゥ·デストロイ·エンジェルス)『THE SPACE IN BETWEEN』(ザ·スペース·イン·ビトウィーン)をお聴き下さい。(MVがこえぇ..)

"女版NIN"という例えがピッタリの音楽性なので(まぁ、トレント·レズナーが曲作ってるしね..)NIN好きにもお勧めのバンドですぞ。