高校を卒業して、憧れの東京生活を謳歌しようと東京の大学に進学してはみたものの、慣れない都会の生活におどおどしながら始めたバイト先で彼女に出会った。

 

彼女は地方の公立の高校出身私と違って、有名私大にエスカレーター式で入っていたお嬢さまで住む世界が違ったけど、それを微塵にも感じさせない態度で仲間にしてくれた。

 

大学時代に一度、蓼科の別荘に彼女の車で連れて行ってもらい、夜通しカラオケで踊り狂ったのも今となっては良い思い出です。

 

 

社会人になって、私は旅行会社で失敗を繰り返しては怒られていたけれど、彼女は一流の広告代理店に入って、「いつか億の仕事をする」が口癖。

 

いつまで経っても追いつけないなぁとひそかに思っていました。

 

 

ある時、「あっちゃん、水着を持って江ノ島に集合ね」と言われていそいそと出かけた週末。

 

なんと豪華なクルーザーと船長さんとスタッフが待ち構えていて、船内ではアルコール飲み放題だったり、釣りをしたり、浮き輪チューブで遊ばせてもらったり。

 

 

帰りに恐る恐る「いくら払えばいいの?」と聞くと、「これは会社の経費だから全然大丈夫!」と笑い飛ばしていたね。

 

 

札幌に戻ってからも、東京へ行くと連絡をすると世田谷の素敵な高級マンションでホームパーティをしてくれたりしたけれど、今でいうマウントのようなことは一切なくて、いつも明るく笑いが絶えなかった。

 

 

彼女の訃報が届いた時、私はしばらく意味が分からなくて動けなくて。

心から愛し合っていたご主人さまの気持ちを思うと、告別式で何を言ってよいか分からずパニックにもなったけれど・・・・

 

 

 

彼女が年に二度必ず訪れていたという大好きなハワイを随所に盛り込んだ世界一素敵なお葬式。

 

 

祭壇にはハワイの青い海と波を表現したお花がびっしりと飾られて、遺影はハワイの夕焼けに映えるサンドレスを着たとっておきの写真。

 

 

待合スペースには、ハワイや色々な旅行先で撮ったお二人のラブラブなショットや、学生時代、会社員時代の仲間たちとの写真が大きなパネルで飾られ、大きなスクリーンには美しいハワイの海の映像と波の音・・・・

 

 

大好きだったワインたちとハワイのはちみつ、コーヒーなどがゆらめくキャンドルや花びらとともに美しく飾られていて、思わずその世界観にくぎ付けに・・・。

 

 

 

出棺の時にはハワイアンの美しい音色とともに、供えきれないほどのたくさんのお花が運ばれて、南国の蘭のお花で埋め尽くされた。

 

 

たくさんの友人が泣きながら出席されていてお話する機会もあったけれど、皆さんとても素敵なご友人ばかりで、いかに彼女が友人を大切にしていたかが偲ばれた本当に素敵なお葬式だった。

 

 

悲しいはずなのに、最後はお二人の結婚式に出席したかのような暖かい気持ちが溢れた。

 

10日間寝ないで準備したであろうご主人の「もっともっと葬儀でやってあげたいことがあったけど、及第点はもらえたかな。」とつぶやいた言葉が印象的でした。

 

 

 

 

帰りに機内から見た夕焼けが本当に美しくて、「あっちゃん遠いところ来てくれてありがとう」と言ってくれたようか気がしました。

 

 

友人の末席に加えてもらえて嬉しかった。

友人でいられたことを誇りに思えたよ。

 

 

 

ご予約日を快く変更して下さったお客様、ありがとうございます。

おかげで最後に彼女に会えました。