コントローラ(パッド)はゲーム機本体に含まれるだろうか?
こんな疑問からスタートしてみたい。
宮本氏が確かこんなことを言っていた。
レボリューション(以下レボ)は,コントローラは根幹なのだから,
TGSまでずっと秘密にしてきた,他者に真似されると困るので。
全くのうろ覚えで,しかも出所が不明確なのはご容赦いただきたいが
そういうことが問題なのではない。
コントローラはプラットフォームと一体を成すものなのか
ここに注目してみたい。
例えば,ゲームボーイシリーズやPSP等,携帯ゲーム機にとって
プラットフォームには当然,操作系統と,ディスプレイが付属する形になる。
ファミコンでは,コントローラはコードで繋がっていたので,
プラットフォームと一体であった。コンシューマ機ではこれが当たり前であると思われてきた。
ところが,スーパーファミコンでは,コントローラはそもそも「接続するもの」とされた。
つまり,他社製のコントローラを自由に接続して使用することができる。
これは,接続コネクタというインターフェースの「標準化」を行ったためで,
これにより,コントローラは「モジュール」として分化されたわけである。
すなわち,まとめればこうだ。
表示系統 (ディスプレイ) |
操作系統 (コントローラ) |
処理系統 | |
| 携帯機 | ○ | ○ | ○ |
| ファミコン | ディスプレイの インターフェースに準拠 |
○ | ○ |
| SFC以降の据え置き | ディスプレイの インターフェースに準拠 |
ハードの インターフェースに準拠 |
○ |
つまり,プラットフォームと呼ばれるものは,この類型によって3タイプに分けることができ,
多くのものが,最上段のタイプか最下段のタイプに集中しているということが
経験から理解できるだろう。
現行ハードや次世代ハードで,中段のタイプがないのを考慮すれば,2タイプのみとしても良い。
実質的にコントローラが一体でないものは,据え置き機である。
ここで,パソコンの例を取り上げてみると,
例えば,デスクトップパソコンは購入時点でマウスやキーボードやディスプレイは付属するものの
別に自分に適したものを購入してもよいし,自作ハードでは実際にそうなる。
一方ラップトップパソコンは,タッチパッドとディスプレイが完全に一体化しているので
モジュール型の製品と言えない。
デスクトップパソコン=据え置きゲーム機,ラップトップパソコン=携帯ゲーム機
という構図が,モジュールやインターフェースに着眼した場合,そのまま当てはまる。
だが,当てはまるといっても,それは根本的には違う。
例えばUSBというインターフェースを通して,MacのマウスさえもPCで使うことができるが,
一方,PSのコントローラをGCで使うことはそのまま不可能だ。なぜか。
インターフェースが統一されていないからである。
さきほど,私は,コントローラはハードに準拠,と標準化を説明したが
実は業界全体で標準化されているのではない。ここが最大のミソである。
実に三者三様のインターフェースを開発して,それぞれ独自のコントローラを必要とする。1)
ところが,同じインターフェースを他ハードでも使えた方が,ユーザーにとってメリットがある。
数々のコントローラが生み出される中で,本当に良質とされるパッドが
標準的なパッドとして利用されることは,ユーザーの困惑を解消するだろう。
例えばサターンパッドのケースがある。サターンは前々世代の
セガ(現在はソフトウェアに特化した)のハードであるが,そのパッドは使いやすいと定評がある。
このパッドはPC向けや,PS向けにさえ発売されていて,これに慣れた者は
サターンパッドを利用して,すんなり他のハードに入ることができる。
次に十字キーの例を挙げてみる。十字キーは任天堂が特許を持っていて
他社が勝手にコントローラに使用することができない。
つまり,この十字キーは,これもまた使いやすいと定評のあるパーツであるが
全くもって,あらゆるハードに普及しない。
これは,任天堂が十字キーの囲い込みを行っている一方,
ゲームハードのコネクタも業界全体として標準化されないという現実があるからである。
十字キーが特許に守られていても,コネクタが全ハード共通なら
慣れた十字キーを含む任天堂ハードのコントローラを他ハードで利用することだって可能だ。
「コントローラがハードの売り」ということは,コネクタのインターフェースが
業界全体で標準化されたときに崩れ去る。
そして,コントローラを売りにしていた会社は,コントローラ開発の会社
すなわち,モジュール開発に従事することになる。
モジュールの提供者はインターフェースの提供者よりも収益性などで劣るという
研究もあるくらいで(これもうろ覚えかつ出所は不明確で申し訳ないが)
コントローラだけ作ってればいいじゃないか,という問題ではないといえる。
実は,「処理系統がハードの売り」企業は,業界全体でインターフェースの標準化が有効である。
なぜなら,コントローラの開発があまり得意でなくても,それが得意な他社に開発を任せることができる。
このことは,コントローラの洗練化を意味するだけでなく,ハード開発のコストも抑えることができ,
良いコントローラで,安価にハードを購入できることは,消費者にとっては2重のメリットである。
ゲーム業界としては,コントローラの接続標準化がオススメ,とは必ずしも言い切れないが
そうすることで,ユーザーにもメーカーにもメリットがあることは事実だ。
だからこそ,「コントローラがハードの売り」企業は
先ほどの表であげた,最下段のタイプではなくて,中段のファミコンタイプのハードを
発売するべきなのである。
幸い,レボはハードとコントローラが一体になっている。
ワイヤレスになって,一見オープンインターフェースのように見えるが
単にワイヤレスというわけではなく,ハード内部で「距離やひねり」の複雑な処理をしている。
ファミコンのように,物理的に繋がっているわけではないが,
コントローラを他のハードに持っていっても,
ハード自体の処理を大まかに変更しなければ使用できないという意味においては
モジュール自体がクローズドなアーキテクチャを持っていると言える。
これは,アーキテクチャ論で言うところのクローズドなモジュール化であり,
よってハードとコントローラが一体になっていると言ってよいだろう。
そういう意味で,レボは,ファミコンタイプのハードなのである。
―――――
1) 最も有名で,多くのユーザーインターフェースを提供するHORIというメーカーがある。
ここは,標準でハードに付属するコントローラよりも使いやすいコントローラを
多くのハードに提供してきた。しかし,例えば,ほぼ同じ機能を持つコントローラでも
それぞれのハード向けに開発をしなければならない。という問題がある。