前回の記事のコメントを受けて,補足的に論じたいと思います。
他のブログでも,DSがその独創性のために,活かしたソフトを作るのに
苦戦しているメーカーが任天堂以外では多い,としている記事が見受けられます。
が,任天堂以外のメーカーがアイディア力に欠けるのか?
そんなわけはありません。
ここで,一つのモデルをもって説明します。
X社のA1というハードとY社のA2というハードがあるとします。
これらのハードのコントローラは類似しているので,
どちらのハードに対応したソフトも同様にして作ることができます。
ですが,なんらかの理由で,Y社のA2が,X社のA1よりもよく売れています。
そのため,A2にソフトを供給するメーカーはA1よりも多いとします。
次世代機として,X社はBというハードを,Y社はA3というハードを出しました。
A3のコントローラは,これまでのA2やA1と同型のコントローラですが
Bは全く形状が違うコントローラなのでみんな驚きました。
メーカーとその開発者は,前世代ハードの開発に慣れているので,
B向けソフトを作るために,開発投資(実験,試作テストなど)をし,
なおかつ売れるかどうか分からないソフトを作ることになるとリスクは高くなります。
(リスクとは,不確実性のことで,マイナスの意味とは限らない)
すなわち,リスクを避ける多くの企業はB向けソフトを作らずA3向けソフトを作ります。
その方が,開発投資額は少なく,比較的売れる可能性の高いリスクの低いソフトを作れます。
もう一つのモデルを出します。
世の中には,BというゲームハードしかないX社にとっては独占市場です。
このBというハードは,コントローラの形状は,上記の例のBと同じです。
しかし,ハードはこれしかないので,このハード向けのソフトはよく売れています。
ここでY社がAというハードを出しました。
Aというハードは,コントローラが,Bとは異なる形状をしています。
なんと両手で握り,十字キーを左手で,ボタンを右手で押すというのです。
みんな,なんだ,このコントローラは。へんてこりんだ。と言っています。
開発リスクが伴うので,このAハード向けソフトは作りにくいと言われ
あまりソフトを供給できるメーカーがいませんでした。
2つのモデルを出しました。
最初のモデルは,GCとPS2→RevoとPS3という構図で
次のモデルは,架空の設定ですが,
Revoコントローラ→ファミコン型コントローラという構図です。
両者のモデルは,それぞれ,リモコン型とファミコン型コントローラが
リスクが高い,と敬遠されています。
これは,登場の順番が違っているからこうなります。
逆に,2番目のモデルで,リモコン型を作りにくいと言っている人はいません。
なぜなら,それしかないからです。
以上から分かるように,実際にDSやレボリューションでソフト障害となっているのは,
変化することへのリスクを避ける,保守的な行動から,アイディアはあっても
異質ハードにソフトを供給するための環境が企業によって与えられない
構造的な問題ではないでしょうか。
そして,この裏に存在するのが,高騰するソフト開発費用です。
開発費用の増大によって,同様に,ソフトが売れなかったときのリスクも大きくなります。
したがって,開発費用が上がれば上がるほど,リスクを避けたくなり,保守的になります。
解決しなければならない問題は,その開発者たちのあるのではなく,
彼らを抱える企業側に存在すると考えます。
高騰する開発費用を下げるために,DSやレボリューションがある,となると
話は本当に解決に向かうのか?とさえ思えます。
なぜなら,DSやレボリューションに移行しようとせず,保守的なままだと
開発費用も高騰したまま,膠着状態だからです。
小さな開発チームが,アイディア勝負で作ってくるから,
保守的な人たちはともかく,新参者がどんどん現れる,ということもあり得なくないですが
現状考えて,ゲームビジネスを始めること自体,リスクを感じている場合がほとんどでしょう。
したがって,保守的な層が,いやおうなしに,リモコン型やタッチペン型コントローラ
に対応したゲームを作ろうとし始めるためには,それらのハードが,
デファクトスタンダードか,スタンダードでなくてもそれなりの出荷数を得ないとだめです。
そうでないと,いくら優れたデバイスも支持を得られない,ということです。
前回の記事で,問題点として2番目に挙げた点は,こういうことを言っています。