同じ行為や行動を繰り返すことを 「常同行動(常同行為)」

と言うが、 

前頭側頭型認知症で多いのは、

机を平手でたたき、

大きな音を出し続けるような行為である。

しかもそれは1回や 2回ではなく、

30分、

1時間と絶え間なく続くこともある。

執拗に続く大音量は、

当然ながら周囲の人たちからは嫌われ、

音に敏感なレビー小体型の人からは怖がられるが、

前頭側頭型認知症の人は大きな音を好んでいる。

利用者にとっては、

大きな音を出すのはストレス解消の側面もあって、

太鼓でもたたいて、

音を楽しむ気分である。

迷惑なことをしているという認識がないのである。



BAD 制止すると、さらに常同行動を加速させる



机をたたく常同行動を、

「迷惑でしょ、

やめて!」

と言葉で注意したり、

手を押さえるなど態度で制止したりするのは、

よくな 対応である。

たとえ注意したとしても、

どこ吹く風で、

やめようとはしない。

それどころか制止すると興奮し、

その常同行動はエスカレートしていくだろう。

そして、

さらに大きな音を立てる、

机を蹴飛ばすなど、

挑発的な態度を取るようになり、

手に負えない状態になる。



GOOD 常同行動の原因を探れたら、ベスト



机をたたくなどの常同行動をしているときは、

怒りを紛らわしたり、

鬱憤(うっぷん)を晴らしたりしていると解釈できる。

何に対して怒りを感じているのか、

行動の原因を探って、

対処をしていく。


机たたきをする前の状況を思い返してみると、

思い当たるかもしれない。


音を立てても迷惑をかけないように別室に誘い、

「何か伝えたいことがあるよね」

と様子をうかがうと、

怒っている原因が見つかることもある。


前頭側頭型認知症の人は、

迷惑行動を繰り返す。

しかしBPSDの治療によって、

問題行動が落ち着いてきて、

「自分勝手で迷惑な人」

から

「自分本位のおもしろい人」

というとらえ方ができるようになると、

介護負担も軽減していく。




column 制止すると、別の行動が出現


常同行動を制止することはなぜ逆効果になるだろうか。

それは、

周囲の人には迷惑な行動でも、

当の利用者にとっては心地よい行動だからである。

机の上を叩くのをやめたとしたら、

他の利用者を頭をたたいて回るなど、

別の常同行動をして鬱憤(うっぷん)を晴らそうとする。

頭をたたく行為も、

まわりから見るとひどいことであるが、

当の利用者にとっては親しみを感じながらお世話しているつもりなのである。

常同行動をやめさせるのは、

難しいことである。











より引用。