それから六年。またカードが届いた。
「明日は高校の卒業式です。僕は五年生で先生に担当してもらって、とても幸せでした。おかげで奨学金をもらって医学部に進学する事が出来ました。
十年を経て、またカードがきた。
そこには先生と出会えたことへの感謝と父親に叩かれた体験があるから患者の痛みが分かる医者になれると記され、こう締めくくられていた。
「僕はよく五年生のときの先生を思い出します。あのままだめになってしまう僕を救ってくださった先生を、神様のように感じます。大人になり、医者になった僕にとって最高の先生は、五年生のときに担当してくださった先生です」
そして一年。届いたカードは結婚式の招待状だった。
「母の席に座ってください」
と一行、書き添えられていた。
少年の人生に光を与えたこの出会い。その縁をよりどころにして立派になった少年。
一つ一つの出会いを再度見つめなおすお話です。
先生側に立つのか、少年側に立つのか。それはどちらでもかまわない話ですが、大事なのは与えられた縁をどう生かすかが大切なのではないでしょうか。