【ギリギリッ!港着くころに~】



あれは忘れもしない 2004年7月18日

この年の4月から、ワタシは新たな職場へ入社し
心機一転、仕事に励んでいた。


入社して間もない、その矢先も矢先、
会社の常務と磯釣りに行くこととなり、緊張はあるものの (°д°;)
そこは持ち前のノー天気で、気分はハッピーモード      (///∇//)


うちの常務は、月曜の時点で、週末の遊びの予定が入っていないと
ブルーになってしまう。 


そんな素晴らしい天下の遊び人 (●´ω`●)ゞ


釣りはもちろんゴルフに酒になんでもOKなオールラウンドプレーヤーチョキ

今でも釣りにはちょくちょく連れて行ってもらっている。

詳しくはココをクリック!


この日、7月ということもあり、晴れ昼過ぎから 満月夜8時くらいまで
五目釣りをということで、いつもの久礼 竹内渡船へ船


午後1時くらいに黒ハエの1番に渡礁し、釣り開始


ハンパじゃなく暑い!!! えっあせるあせるあせるあせる


立っているだけで汗があふれ出し、とどまることを知らない。

海も完全に晴れ晴れ晴れ波晴れ晴れ晴れ夏の海で、少し緑がかった色をしている。

グレはいるものの、10センチくらいのコッパグレが大群をなし、
サシエサはひとたまりもない。


夕方近くになり、やっとアジを数匹釣ったものの、釣果は乏しいものだった。

あっという間に帰りの8時となり、竹内渡船が迎えにきた。 星空船星空


おんちゃん : 「どうで~ 釣れたかえ~? イヒイヒ (=゚ω゚=) 」
にむ     : 「いかんね~ アジぐらいよ (/ω\) 」
おんちゃん : 「そうかえ~ また今度よ イヒッイヒッ (=゚ω゚=) 」


などなど、気の知れた渡船だけに、会話は弾んだ。



普段は船の後ろに座って港まで帰るのだが、この日はお客が私たち二人だったこともあり、
船の前の方に常務と座っていた。

夜風が気持ちよく、常務と二人 今度また来ようなどと話していると・・・・








「ドガァゴウオオオオンンン!!」




爆音と共に激しい衝撃が襲い掛かる!
船上を転げ回る二人!!
竿バックやクーラーは宙を舞い、

危うく夜の海へ流される寸前!!!!!



何が起こったのか、状況判断がつかないまま辺りを見渡すと
船の左すぐ間際になぜかマルバエがある。 
(゜.゜;ア・・・

(マルバエは・・・)


そうである! 船が磯へ衝突したのだ!!


運よく船長、私たち二人 共にすり傷程度ですんだものの、

危うく一大事となるところだった。


おんちゃん : 「すまんすまん よそ見しよった~」  σ(^^;;)
にむ     : 
「・・・・・・・・・・・」  (ー"ー;)ウゥ…ム


常務     : 「おんちゃん大丈夫かえ~? 船に穴があいたでよ?」

おんちゃん : 「大丈夫大丈夫! 心配せんたち沈ま~せんき」


常務     : 「・・・・・・・」  (ー"ー;)ウゥ…ム
にむ     : 
「・・・・・・・・・・・・」  (ー"ー;)ウゥ…ム


確かに、衝突したもののエンジンは無事のようで、快調に港へ向け帰っていく。


しかし!徐々に船首が下っていっている気が・・・・・


ワタシの父親からも聞いたことがある、船は穴が開いても沈まないと・・・
船の底の部分は何層かの部屋に別れており、その半分に穴が開かない限り沈まない。
たしかそのようなことを教わった。
 ( ̄_ ̄ i)



不安は残るものの、おんちゃんの言うとおり、船は無事に久礼新港の前まで帰港
堤防を曲がり、港へ入って行こうとした。





その瞬間っ!!





曲がるため、船は急激に減速
すると今まで推進力でかろうじて浮いていた船首が・・・・・


船首が・・・船首がががぁぁぁ・・・ 




ズズズズズウウウウウウンンンンン 



爆音と共に傾き 船首から海中へ!!!


慌てたおんちゃんは、ここで再度アクセル全開!


その途端、海中へ傾いていた船が、さらに加速し海中めがけて突き進んだ。

((( ;゚Д゚)))エ・・・エエー!!





「ゴワワワァァァァワワワァァヮァアアア!!




猛烈な勢いで海にのみ込まれた船体は右に傾きながら、

またたく間に浮力を失い暗闇の海へ沈んでいくぅううう!!!
(この時なぜかワタシの頭の中にゴジラの音楽が早送りで聞こえていた。)




           刹 那!!



常務    : 「にむちゃん 飛ぉぉぉべぇぇ!!!」

常務が両手を高くあげ、船の左方向、夜の海へ飛び込んでいく



ワタシは竿バックなどが、まだ船にあるのを一瞬目視し、
完全に右へ倒れてしまった船から常務の待つ海へ
とび・・・・・



「・・・・タ・・・・・・・・・ケ・・・・・・テ・・ク・・・・・」


おんちゃん : 「おぉ~い たぁずけてくれぇぇ~」




     ( ゚-゚)( ゚ロ゚)(( ロ゚)゚((( ロ)~゚ ゚

 「おんぢぁぁぁんんん!!」


なんと、おんちゃんが逃げ遅れ船室の横の窓から手だけが出ている。
(本来は横の窓だが、船はこの時点で完全に横を向いているので、上になっている。)


おんちゃん : 「おっおい! いぃぃぃ!!!

声と手だけを残し、船室は一気に海へ沈んで行った。
かろうじて、船室の電気が暗闇の海から青白く光っている。



にむ   : 「おんぢゃぁぁんんんあんん」


完全に見えなくなったおんちゃんの手を海の中から引きずり出し、

もう少しで顔が見えると思った瞬間!


船は横向きから完全にひっくり返り、ワタシはおんちゃんの救出をあきらめ
船の右方向の海へ投げ出された。!




船から落ちたときは・・・・

①できるだけ、顔を水につけない。 (潮水を飲むと慌ててしまう。)
②浮く物があればすぐに掴まる。 (あると無いとでは大違い。)
③靴はすぐに脱ぐ。(泳ぎがしずらいし、重みで沈みやすくなる。)
④一度大声を出す。(助けを呼ぶことの意味もあるが、実は深呼吸することができる。)
⑤どんなことがあっても落ちつくこと。(これが一番大事!)


子供の頃、父親に教えられたことを一つ一つ噛み締める・・・・
このおかげかどうかはわからないが、ワタシは恐ろしく冷静だった。


海に落ちた瞬間に両手を広げ、体が沈まないようにし、着ているライフジャケットで体が
浮いていられるかを確認、そして大きな声でおんちゃんを探した。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」






しかし・・・真っ暗な海を見渡してもおんちゃんの姿は無く。


最悪の事態が脳裏にうかび、さらに大声で叫んだ!



すると、常務の声が

常務   : 「にむちゃん 大丈夫か~!!」
にむ   : 
「はいっ!! 大丈夫です!!!」



「 ・・・・・・・・ ぉ・・・ぃ」


にむ   : 「!!!!!!!」



おんちゃん : 「ぶはぁ!!!」


おんちゃんが海面に浮かんできました!!  (T.T)


さすがは海の漁師です!72歳の老体で船もろとも海に引きずりこまれながらも、
なんとか脱出し生還しました。

3人とも怪我は無く、沈んだ船はひっくり返った状態で船底を上にし浮かんでいる。


その船におんちゃんを引き吊り上げ、ここからが大仕事!

そうです!道具です! 



沈む前に全て回収しなくてはいけません。

竿バックを探し出し、少し離れたところを流れているクーラーをと思ったとき・・・



バシャッバシャッ!と波を切る音が・・・・ 

常務がクーラー2つに道具入れ、竿バック・バッカンまでをも掴み取り、

それを全身に抱えたまま岸壁へ向け泳いでいった。


さすが。。。オールラウンドプレーヤー
(ioi) (ioi) (ioi) (ioi) (ioi)



ワタシは自分の竿バックをひっくり返った船へ上げ、おんちゃんと二人、

無事助かったことを歓びあった。


この時点で、岸壁で釣りをしていた方々が私たちの大事に気づき、

車のヘッドライトで煌々と照らしてくれていた。

常務は無事岸壁まで泳ぎ着き一安心。


船から岸までは20メートルくらいなので、泳いでいけば簡単だが、

おんちゃんを置いて行く訳にもいかず、ましてや、この状況で泳がすのは危険と考え、

助けが来るのを待つことに。


不幸中の幸いか、ワタシの携帯電話は防水にしていたので、

海上保安庁に電話をし助けを呼ぶが ・・・・・・・・・・・・



にむ : 「もしもし船が転覆しまして・・・」

海保 : 「大丈夫ですか!? 場所は?怪我は?誰か亡くなられて?」


にむ : 「場所は久礼の新港です。怪我はありませんが、転覆した船の上に取り残されてます。一人72歳の老人がいます。」

(約10分 事故の経緯と状況を説明)


海保 : 「・・・・・・・ 久礼? あ~! ここの管轄じゃないので、須崎の海保から追って連絡します。」

にむ : 「はぁっ~!!!」



さらに10分後
海保 : 「もしもし、にむさん? 今ね須崎に出れる人いなくて、高知から行ってもいいんやけど1時間から2時間くらい待てる? ははは」

にむ : 「まぁぁぁぁてぇぇぇるぅぅぅかぁぁぁ! 

               ぼけぇー!!!」  



騒ぎを聞きつけ、ようやく警察が到着するが、港の真ん中に浮かんだ船の上にいる
私たち二人を助けられるはずもなく、ただただ呆然

港での話しが聞こえてきます。

警察 : 「海上保安庁に助けの電話してます?」
常務 : 「いいえ してないですよ」
警察 : 「早くしてください。」

アホぉぉか!! お前らがしてくれたらええんやないんか!

そう叫びたかった。



海保や警察に頼っていてもラチがあきません。

にむ : 「おんちゃん 竹島渡船の電話番号ならわかるき、連絡しょうか?」

おんちゃん:「竹島はワシ嫌いじゃ!」

にむ : 「・・・・・・・・ もう好きにしてくれ」


転覆して1時間弱が経過した頃、近所の漁師が小船で助けに来てくれ、
なんとか無事に港へあがる事ができた。


すぐさま警察に事情聴取されそうになり


にむ : 「海保に十分説明しちゅうき! 海保から聞いてや!!」


海保の事務的な応対に憤りを感じ、警察の野次馬的な発想に怒りをおぼえた。



しかし・・・一番最悪なのは、その一部始終をカメラにおさめられていた

ワタシである。 Σ(゚д゚;)



新聞記者がパシャッパシャッと撮ってるじゃぁ~んん

それにまったく気づいてないじゃぁ~ん

次の日、・・・・・ やっぱり新聞に載ってるジャーン!!!



して新聞掲載日のこの日・・・・・常務に誕生日でした。


あやうく・・・・・・  (((゜д゜;)))





今の会社に入社後3ヵ月目の喜劇である。


PS. この日から、ワタシのライフジャケットに「海猿バッチ」が取り付けられている。