父に怒鳴られた。

理由は僕が大学でとっている授業のことを隠していたからだ。

僕は去年の前期と後期、通算10単位しか取得していなく、今季の履修登録を1から10まで父の付き添いのもとで行ったため、

僕の父であればまぁ怒るだろうなというのはわかっていた。

 

しかし僕が納得いかないのはその怒鳴り方だ。

 

「今日の情報リテラシーはどうだった?」

と、毎晩その日の授業について定例のように聞かれる。

(授業のことについていちいち聞いてこられるのはそこそこなストレス要因だが。)

 

実際のところ『情報リテラシー』をとっておらず、履修の話がついた後でこっそり「ICTメディア」に変更していた。

全て親の管理されているのがなんとなく気持ち悪かったからだ。

 

とっていない授業のことについては当然何もわからないので曖昧な返事をしてその場を乗り越えた。と思っていた。

 

しかししばらくして母が帰ってきてリビングの扉を開けた直後、急に思い出したのか、

 

いや、◻︎息子に説教する

というタスクを急におもい出したように父は

 

いつの間にか目をギンギン(ガンガン)にさせていてこう聞いてきた。

「今日お前情報リテラシー行ってないな?」

 

怖い。怖さで言ったらコウイチTVのホラー味から一切ギャグを取り除いた感じの怖さ、その上喉を常時全開にしていて周りからは声がいいと言われるほどよく声が通る父なので、それはもうその時点で迫力がある。


(浅いことを言うと、彼は人格を入れ替えている気がする。)


しかしそこで

(あ、これ助走入ってるな)

 

と長年の勘と危機察知能力を働かせた僕は考えるより先に、もはや本能的に動いていた。

 

「えーとね...」と言いながらスマホをいじって気持ちを整える。

そして小さく一息吸い、

「実はとってない。メディアリテラシー。」

 

「は?」

そこからは怖すぎて何も覚えていない。

ただ暴風が体を通り過ぎていったような感覚だけが残っている。


不意打ちがずるい。ほとんど使われないような、真っ黒で各辺が変な形のフォントで怒る。(「各辺が扇形の二つ重なったところ」のような形)

怒りの感情のトリガー、

前後関係が全くノーコンテクスト。どういう神経をしているのか、感情のスイッチが人間的でない。わからない。


(今日バイト中に思い起こしたが、父には「喜怒哀楽」ではなく「喜狂哀楽」)という四字熟語がピッタリだと思った。

 

そういえば以上の理由から父が同じ空間にいると心が休まらない自分。

 

父をやるにしても、もうちょっと人間的な隙を見せてくれよと最近思う。

そんな一面を携えながら、経歴もしっかりしていて、野心はなく、普段の生活では『俺の人生順風満帆』みたいな面をしているのにとても腹がたつ。

苦労してるならそれを責任もってしっかり子供である僕にも見せてくれ。お前の『人間』を見せろよ。おかげでイマイチまだよくわかってないんだよ人間の素性が。おかげでこちとらいま人間不信だよ。

多分、人間関係や人格という面でで落ちこぼれた父にもある程度周りのエリートと比べて能力にコンプレックスがあり、それを全力で隠しているんだろう。それが彼のプライドなんだろう。

おそらく、彼はその不完全な人間臭い部分が漏れないように死守している。

それゆえ彼には一見隙がないように見える。

しかし一言言わせてくれ、人格に一定以上の深みを感じない。

 

だから小学校の頃からずっと1人立ちしたいと思っていたんだ僕は。

 

 

おまけ(書いたが入れるところがなく消すのも勿体無いので、今後の自分のためにもここに記しておく。)

 

ここで一応父の説教の傾向と対策を解説しておくと、

まず怒鳴るときは一貫して理路整然としていて感情的な私事情は一切挟まず、「ばか」「」という言葉を世にも珍しく相対的な指標をもとに合理的に使ってくるためぐうの音も出ず、まるで決定事項のように叱責してくるのでこちらとしてもゆとりがない。なんていうか、スーパーボウルをバウンドもできないほど強く地面に叩きつけている感じといったら良いか。とりあえず、人智を超えているため相談相手もおらず、強いていうなら今年から高一になる弟くらいだ。

 

そのため酷く落ち込んでしまい、思考が停止してしまう。

幼い頃からその教育法なので、親以外の誰に叱られても必要以上に自分を責めてしまう癖がある。

「今から仕事辞めてくる」を読んだ僕ならわかる、これ、社会出たら俺、鬱なやつや〜ん。

なのでどうにかして青山のたどった以外のルートを模索している最中だ。

 「ふざけんなよ!」とかいって目をギンギンにさせて人間の演技をしているその様は「狂人」という表現がピッタリ当てはまる。


立ち向かうためには、そのフィールド自体、説教自体、そして父自体に抗議していく必要がある。

価値基準はお前の指標だけではないぞ、と曲がりなりにも、その場しのぎでもパンチを打ち込め。

どうしても「普遍的」な評価軸で勝てないと感じたら、テーブルにある手頃な食器でも投げてみよう。

身体に自信があるなら、半開きのドアめがけて背負い投げし、股間を負傷させるのがいい。

息子にやられてしまいまして...で顔や腕に傷や打撲の跡があれば、あぁ、この人は親として苦労しているんだなとその人の生き様に対して深い慈悲を向けたくなるが、中年で指さすところがちんkoだった場合、それはもうギャグじゃん、おもろい一直線じゃんとなり、むしろ主婦なんかは白い目を向ける人もいるかもしれない。

 

 

怖すぎて内容が一つも入ってこない説教ほど意味のないものはないと思うのだが。いいことが一つもない。

 

まだ整理がつかないが沸々と煮たつ感情をどこにぶつけたら良いかわからず、風呂に入った。

そして何も言い返せなかったあのとき、なんと言ったら暴風が止んだだろうと考えた。

 

『なんで今なん?さっきまで普通にしとったやん。なんでそんな急に怒鳴れるん。感情どうなってんねん。そんなんやからお前昔から信用できんねん。ほんで不意打ちやめろや。なんで帰ってきて味方増えた瞬間やねん。お前弱いな。雑魚!おらァ!!来いよ、表出ろ!

大学行かれへんかったんもそんなお前に育てられたからだろ!お前のせいや!!!なんで責任転嫁すんねん、知らんがな!!ボケェ!!!』

 

こんなパンチラインをしたためて、次戦に臨もうと思う。

自分が実際に思ってることが、その瞬間には言葉にできないかもしくは心の奥に深く沈んでしまっていることが多いので、このように大事な会話の前にはあらかじめ準備をするようにしている。というか、中2くらいからやっているので癖になってしまっているようだ。

 

でもこの僕の怒鳴り慣れてない細切れになってる感じ、めっちゃ弱そうだ。小並感。もっと精進しやす。


先ほども父に怒鳴られかけた。


今思うが、父の怒りはこちらからも可変的な、段階的な力からではなく、不可侵、サンクチュアリー(悪く言うと陰湿な)の狂気を原動力としているため、こちらからではて手のつけようがなく、それに対抗するためにはこちらも狂気からでしか拮抗できないのだ。