足に違和感を覚えながらバイトから帰ると、けいたが靴を探していたと母に言われた。
そうか、僕はけいたの黒い靴を履いて行ってしまっていたようだ。
は?あんた黒い靴とかもってないやろ?
いや持ってる、買った。
どれ?
そう言うなり玄関に靴を見に母。
これけいた履いて行けばよかったやん〜、お父さんの靴履いてってんであいつー。
これ防水だといいね、などと言うので僕もすっかり慢心してしまい、
「それ何円だとおもう?」
と自慢気に聞いたところすかさず、
「やっっすいやろなあ、990円!」
もう正直喋りたくない。
一言でも言を交わしたことに後悔した。
日々のストレスを990円の一言に凝縮された気がして
とても屈辱的だった。