朝、小学生の通学班が裏の道を歩いて行くのに気付いた。

ああ、夏休みが終わったんだなと思い、風も爽やかになる様な予感がする。

 

夏休みの期間も入院と自宅療養で、外出が出来なかった。

唯一、クーラーの効いた車内で過ごせる鉄道大回りの旅に出た以外は、お墓参りと図書館に数回足を運んだだけだ。

病室や自宅リビングの快適な空間で、汗をかかない引きこもりの夏を過ごしていた。

 

 

 

 

  直木三十五賞作家

 

直木賞は娯楽性のある大衆文学が対象で、中堅作家に与えられる文学賞

 

 

■熱源 2019年 第162回直木賞受賞

川越宗一 1978年大阪生まれ

 

樺太(サハリン)で、自然と共存するアイヌの人々には国の認識はない。

樺太は明治維新後に強制的に日本の領土とされ、土人と言われ差別を受ける。

日本とロシアとの戦争で樺太(サハリン)はその時々で、日本の領土だったりロシアの領土だったり・・・

アイヌ人にとっては、自分達の土地に後から来たものに所有権をかざされるのは迷惑な話だと思う。

 

日本の領土となったアイヌ人のヤヨマネクフとロシアに侵略されたポーランド人のブロニスワフ。

共に国を失くした者が、生きる熱源に気付く半生の物語。

 

先日読んだ、新田次郎の『終わらざる夏』の大東亜戦争終盤の対ロシア戦を別視点で読むことができた。

 

 

■破門 2014年 151回直木賞受賞

黒川博之 1949年愛媛県生まれ 元大阪府立高校の美術教師

 

装画は奥様の黒川雅子さん。

関西弁の会話が多いストーリー展開は、スラスラと読み進める事が出来て映像が見に浮かぶ感覚だ。

関西弁の文字が目から入って会話として脳に伝わるんだと思う。

だからドラマを見た様な感覚になるんだろう。これって関西人の特殊能力かもしれない。

 

このシリーズのファンは99%が関西人だと思う。

作品は『疫病神シリーズ』の5作目で映画化もされている。

他の作品も読みたいと思う。

 

 

 

■壬生義士伝 2000年発行

浅田次郎  1997年『鉄道員(ぽっぽや)』で直木賞を受賞

 

盛岡南部藩の吉村貫一郎は、貧窮の生活から家族に仕送りをする為に脱藩する。

入隊した新選組の事、幕末の時代の事を十数年後に新聞記者が取材するスタイルで語り明かされていく。

ますます、東北地方へ旅がしたくなった。

 

 

映画化もされている。

 

 

壬生義士伝 2003年1月公開

監督:滝田洋二郎 出演:中井貴一、佐藤浩市、三宅裕司、夏川結衣

2004年第27回日本アカデミー賞の最優秀作品賞受賞

 

映画盤の『壬生義士伝』は吉村貫一郎に強くスポットが当たっている。

新選組の事が20%、吉村の事が80%みたいな感じ。

より映画を楽しむなら、小説を読んで映画を見て欲しい。

『おもさげながんす』の言葉がしばらく頭から離れない。

 

 

 

 

■きいろいぞう 2006年発行

西加奈子 1977年大阪育ち 2014年『サラバ!』で直木賞受賞

 

地方に移住してきた若い夫婦。夫は作家のムコさん、妻は自然体で不思議ちゃんのツマさん。

周囲の人たち、自然、動物、虫と過ごすちっぽけな夫婦の大きな愛の物語。

ストーリーのキーワードはきいろいゾウと月。

 

2013年2月公開で映画化されている。

出演:宮崎あおい、向井理

 

■走ル 2008年発行

羽田圭介 1985年東京生まれ 2015年にスクラップ・アンド・ビルドで芥川賞受賞

 

主人公は高校2年生。2学期のある朝、家にあった古いロードレーサーで走り出す。

まず電車通学している学校まで、そして国道4号線を北上していく。

若者が旅をしながら人生経験するロードムービーなのだが、彼には旅に出る理由となりがちな日常生活への不満は何もない。

ただ、ペダルをこぎ続ける。北へ北へ。

若い頃には、目指す事より走り続ける事自体が目的だって事があるんだ。

 

 

 

  芥川龍之介賞作家

 

芥川賞は芸術性の高い純文学の新人に与えられる文学賞。

 

 

 

■ブラックボックス 2022年発行 第166回芥川賞受賞

砂川文次 1990年大阪生まれ

 

ブラックボックスとは、内部の仕組みが分からなくても使い方が分かっていれば利用できる装置の事。

例えば、お金を入れればドリンクの出てくる自動販売機。機械の中身の事は分からないけど、ドリンクが出てくることは知っている。

 

何をやってもうまくいかないサクマ。自衛隊でも不動産会社でもコンビ二のバイトでも・・・

一番長く続いている今のメッセンジャーでは、将来が不安だ。

自分の事をサクマと称する三人称でのストーリーが、読み手を主人公に近い関係者の様に感じさせる。

さて、この話のブラックボックスとは何か?

 

■推し、燃ゆ  2020年発行 第164回芥川賞受賞

宇佐見りん 1990年静岡県生まれ

 

芥川賞受賞時、作者はまだ大学生だった。

ファン以上の『推し』という感情や行動は認める。それはネットによる情報の多さきゃファン同士の交流が精神的に対象(アイドル)を身近に感じられるからだろう。

全体的に角ばったイメージがするのは、若い作者の文のセンスなのかな?と思ったが、文章に改行が少ないからかもしれない。

 

現代ではメールやブログの様に横書き文章が当たり前なのは、日本語の変化の一つだと気付いた。

 

  入院中の読書

 

入院している病院のエントランスにある小さな本棚。

もう11回も入院しているので、興味のある本は読んじゃった。

 

 

今回は家族に頼んで古本を差し入れてもらった。

作者をリクエストしないので、いろんなジャンルが読めていい。

 

 

■週末のフール 2006年発行 伊坂幸太郎

 

8年後に小惑星が衝突し、人類は滅亡すると知らされてから5年が過ぎた。

8話、8家族の終末の物語。

余命8年で5年が経過した患者と同じと考えた時、私ならあと3年をどう過ごすだろうか?

8年とか3年とかって時間は、考えるには絶妙なタイムリミットだと思う。

 

■魔王 2005年発行 伊坂幸太郎

 

タイトルはシューベルトの『魔王』から。

『魔王』は、馬車で森を行く父親と息子の話だったと思う。

息子には迫って来る魔王が見える。父親は木の影や風の音だと言うが・・・

 

自分の思った言葉を人にしゃべらせる事が出来る安藤兄。

群集心理の怖さに気が付いたのは、魔王の息子の様に自分だけだった。

安藤弟のその後を語った『呼吸』との2話構成のサスペンス。

 

 

 

■ザ・ファブル The Second Contact 南勝彦

週間ヤングマガジンに連載中のアクション漫画

 

ファブル(寓話)と呼ばれる殺し屋組織の青年『佐藤明』。ボスの命令で一般人として生活する事になった。

プロの殺し屋としてプロの一般人になり切る佐藤だが。

ファーストシリーズは22巻。セカンドシリーズは4巻まで発行されている。

 

 

 

漫画を全巻読んだのは、映画盤が面白かったから。

■ザ・ファブル 2019年6月公開

2作目は2021年6月に公開されている。

出演:岡田准一、木村文乃、山本美月

個人的には佐藤次郎さんが好きだ。

 

岡田准一のアクションと表情が原作とハマって評価できる。

 

 

9月も初旬から入院の予定が決まっている。

もうしばらく闘病生活は続く予定だ。

 

 

 

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