私の父方の祖父も母方の祖父も戦地から復員してきた戦争体験者だが、双方とも私の小さい頃に亡くなっているので、戦争の事を聞く機会はなかった。
少しは戦争の歴史を知っておこうと、毎年8月には戦争遺構や資料館を訪ねる様にしている。
終わらざる夏 新田次郎
新田次郎は1951年東京生まれ。
1997年に『鉄道員(ぽっぽや)』で第117回直木賞を受賞。
『鉄道員(ぽっぽや)』は後に、高倉健主演で映画化もされた。
■終わらざる夏 2010年発行
戦記小説では、1941年12月からの太平洋戦争を舞台に、日本帝国海軍の戦艦大和や零戦にスポットライトを当てられがちだ。
日本史の授業でも、先の戦争は太平洋戦争と呼ばれ真珠湾攻撃で開戦したと習う。
しかし、1937年からの日中戦争を含めて、日本帝国陸軍は8年間も戦争をしていた事は余り話題にならない。
『終わらざる夏』は、日中戦争以降ソビエトとの国境線近くに駐留していた日本帝国陸軍の戦車部隊が、戦況の悪化した1945年に対アメリカに向けて千島列島に移動配備された作戦とそれに関わる人々の話。
召集令状とは?
日本国民である限り、兵役は何物にも優先する義務だから、腹を壊していようが、熱を出していようが、恋人がいようが、妻子が飢えていようが、どれほど忙しく働いていようが、徴兵を拒む理由にはならない。と説明されている。
学童疎開とは?
戦況の悪化により、都会の子供達を田舎に避難させていた。
小説内では、4年生の片岡君と6年生の吉岡さんは、東京の空襲の事を聞いて家族が心配になり、疎開先を脱走する。
疎開先での生活には、受ける側も受け入れる側にも苦労があった。
女子挺身隊とは?
女学校はもはや勉強する場所ではなくなっている。
平日は勤労奉仕、授業があるのは日曜日。
日本が降伏した後に侵攻してきたソビエト軍の事を知っているだろうか?
樺太に侵攻したソビエト軍側の状況が小説の中では語られる。
今年は戦後77年となる。
当時20歳の方が徴兵されたとしたら、出征されたのは大正14年生れの97歳以上の方となる。
96歳は昭和元年生れなので、戦争経験者は大正以前の人たちって事だ。
いつまでを戦後と言うのだろうか?
言い続けないと日本が戦争をした歴史が消えてしまいそうだ。
日本国民が全員昭和以降生れになったら戦争経験者はいなくなる。その時、戦争の歴史に蓋がされるのかな?
作者はあの夏は終わってないと伝えている。
浅田次郎 『帰郷』『歩兵の本領』
■帰郷 2016年発行
戦地での状況、兵士の体験をリアルに伝えるフィクションの短編集。
■歩兵の本領 2001年発行
新田次郎自身が入隊していた1970年台の陸上自衛隊での話。
当時の組織には陸軍上がりの隊員も多くいて、予想通りの理不尽な経験の事も書いている。思い出が詰まった話で綴られる。
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