村上春樹、河合隼雄に会いにいく | 明日に向かって台上前転

村上春樹、河合隼雄に会いにいく

河合 隼雄, 村上 春樹
村上春樹、河合隼雄に会いにいく

村上本を読み続けて、かれこれ20年である。

(いやだよ歳とっちゃってさ)


20年も経つと、当然著者も読者も年齢を重ね変化してゆく。

それが成長であり、老成なのだ。仕方がない。


ずーっと同じところ(精神状態)にとどまっている人というのは、

ちょっと恐ろしい系か、最初から何もないタイプだと思っている。


それで、村上本であるが、小説・エッセイ・翻訳書と、

様々に 読み漁っていたのだが、この本、みたことがなかった。

1996年刊行だ。


ちょうど私はその頃結婚を控えものすごく人生がばたついていたのだった。

あまりの忙しさとストレスで、結婚式の前日に全身にじんましんが

出てしまったのを思い出す。(皮膚科の先生が「困ったわねえ」と、

軟膏をぬってくださったものだった) それでろくに本も読んでいないのだ。


どうりでね。 春樹さんの作品傾向がぐっと変わっていくのが、

ちょうどこの少し 前あたりからだった。 何故変化したのか、

どう変わっていったのかが、ぴたりと著者の 口から述べられていて

今やっとふに落ちた。


ものすごく頭のいい人たちが、お互いに惹かれあい、尊重しつつ

理論を深めてゆく。

既刊の小説をベースに論じられる、日本人としての思考、今後への 模索。

日本としての戦争やら平和憲法への曖昧さが 「それでいい、しかも

もっと洗練されたずるさにすべきだ」などと 思いもよらないことが

書かれていて、そんな視点もありなのかと びっくり。


最近ちょっと訳アリでメンヘル系の本を数冊読んでいたんだけど、

やっぱりこの河合隼雄センセイはすごいなあ。

箱庭療法、やってみたい・・・