カディプロジェクトの企画がまとまってきた頃、次の課題は、
どのような建物を作るか、ということと資金が課題でした。
そんな時、2018年のThe Good Luck Storeさんの展示会にて、
展示会に足を運んでくださった
滋賀県立大学環境科学部環境建築デザイン学科助教の川井操先生。
カディプロジェクトについて
初めてお会いした川井先生に、立ち上げた頃から、
カディプロジェクトに結びつくまでの流れを気づくと夢中で話をしていました。
滋賀県立大学環境科学部環境建築デザイン学科助教 川井操先生
そして、なんと出会ってお話をした2018年の4月から
2ヶ月後の6月にはブッダガヤを訪ねてくださったのです。
滋賀県立大学教授/芦澤竜一建築設計事務所主宰 芦澤竜一先生
芦澤竜一建築設計事務所ホームページ
現地を訪問してくださった川井先生のFacebookからの抜粋。
「6月17-18日に芦澤竜一先生、院生の大野宏くん、橋本光祐くんの4人でインド・ビハール州ブッダガヤにあるハティヤール村へプロジェクトの現地視察をおこなった。
案内していただいたNIMAI-NITAIの廣中桃子さんとパートナーのカランさんは、
滋賀県近江八幡とインドを拠点にして、
インド各地の手織りや染物を使って服づくりを実践されている。またブッダガヤにあるハティヤール村では住民に裁縫指導をしながら雇用を生み出している(http://nimai-nitai.jp)。
今回私たちのプロジェクト任務は、
ハティヤール村にカディという糸紡ぎ機で村の女性達のための仕事場を新たに建設することである。
ブッダガヤは仏陀が菩提樹の下で悟りを開いた地であり、
仏教徒の聖地として知られている。
世界各地の坊さんが菩提樹のあるマホーボディ寺院を目指して巡礼に訪れており、
市内には各国の仏教寺院がいたるところにある。
ハティヤール村は、かつてアウトカースト(不可触民)とされた人々の村であり、ブッダガヤから車で10分ほどでファルグ川の対岸にある2000人の小さな村である。
現地を訪れてみて感じたのは、村人の生活がとても素朴でシンプルなものであったことである。
壁に貼り付けて日干しされた牛糞燃料を使って、土製の竃で料理をしたり、井戸でくみ上げた水を煮沸したりする。
住居は煉瓦に土塗りをした分厚い壁と木造切妻屋根に茅もしくは瓦をかけて作られてた中庭形式である。村人の職業は、男性は主に建設業やリキシャ運転手に就き、女性は家事を専業にし、定職を持てない不安定な生活を強いられている。
そうした村に雇用を生み出すための作業場を建設するのだが、
まずはカディ作業場を30年以上運営するティカリ村に訪問した。
そこでは80人近い女性たちが元気よくカディを回して働いていた。
村人の表情もどこかしら明るい。
一ヶ月の収入は平均して約8000RSの歩合制である。
屋内環境は決して良いとはいえず、密に作業を行なっており、暗く、蒸し暑い。
また紡いだ糸に埃が紛れ込むと品質を落とすために積極的な通風を確保出きないようだ。
ハティヤール村でもこうした女性の雇用機会の必要性を感じた一方で、
村の素朴な生活を維持しながら過ごしやすい作業環境をいかに生み出せるのか、
設計上の工夫が必要とされる。
周辺環境は、日中はこの季節で50度近くに上昇し極度に暑い環境ではあるが、
木陰は風が通って心地のよい場所になっている。
2600年前に仏陀が灼熱の中で菩提樹の下で悟りを開いたのも頷ける。
子供達や老人が日中に過ごせる快適な共同空間も併設したい。
今回はプロジェクトは、
彦根にある世界各地の民藝生活用品を扱う「the Good Luck Store」で開催されたNIMAI-NITAI展示会にて、店主の中山さんに廣中さんを偶然紹介いただいたことがきっかけであった。
その場で彼女からこのプロジェクトの話を聞いてすぐに飛び付いた。
これこそ地域プロジェクトとアジア研究を実践する私たちの任務だと直感し
「ぜひ滋賀県大でやらせて下さい!」
とお願いした。
そして、こうした活動に関心の深い芦澤竜一先生や院生にその日に連絡して連携体制をつくり、
この度協力させてもらうことになった。
まだスタートを切ったばかりであるが是非実現させたい。」
現地を訪問してくださった写真 2018/6/19-20
ガヤカディ 組合のトップメンバーと。
左手前 滋賀県立大学 大野宏さん、橋本光祐さん
左中央 ニマイニタイ代表廣中桃子
右 ニマイニタイ KARVEEN SINGH
滋賀県立大学教授/芦澤竜一建築設計事務所主宰 芦澤竜一先生
滋賀県立大学環境科学部環境建築デザイン学科助教 川井操先生