ゆでたまご先生が再生超人を通して教えてくれること。
それは「やり直す勇気」
最近のキン肉マンの見どころ
超人vs超神の闘いで盛り上がっている新シリーズ。
その中で、かつてフェニックスチームの一員として王位争奪戦に登場したプリズマンが、意外なインパクトを残しました。
『学研の図鑑 キン肉マン 超人』
“熱い闘い”を見せてくれた、
そして“思いがけないやさしさ”を見せてくれたんですよね。
「プリズマンに感情移入する日が来るとは思わなかった」という声も聴かれるほど。
今回のプリズマンのように、
ブラックホール、スプリングマン、
ペンタゴン、ジャンクマン、
ウルフマン、ビッグボディ、
そしてレオパルドン…
ゆでたまご先生は2011年に連載を再開させて以降、過去に陽の目をみなかった超人にスポットをあて、見事に再生させてきました。
それはまるで、昔プロ野球でヤクルトや阪神の監督をつとめた野村監督の“野村再生工場”のよう。
野村監督はそれまでパッとしなかった選手や下り坂になってきた選手を、独特の手腕で導き、活躍させたんですよね。
野村再生工場ならぬ、ゆで再生工場。
くすぶっていた超人が意外な活躍を見せ、ファンを歓喜させる。
それが漫画キン肉マンの見どころの一つともいえます。
人生における山場
そんなプリズマンたちを通し、嶋田、中井両先生が教えてくれること。
それは、再生する勇気。
人生をやり直す力、です。
一つの職場、一つのポジションでうまくいかなかったからといって、その先の人生すべてが台無しになるわけではない。
また一からやり直せる、
仕切り直して、自分を再生させることができるのだ、
と教えてくれるようでもあります。
やり直す勇気…
これからの時代、
多くの人は人生の中で何度か“やり直すタイミング”がやってくると思うんですよね。
ひと昔前までは、一つの会社、一つの職業で定年まで勤めあげるのが一般的でした。
人生におけるピーク、山場というのは一つ。30代~40代。
人生を登山でたとえるなら、
20歳前後から山を登り始め、40歳前後で頂上に達する。
50歳をすぎたあたりから下山し始め、定年後60代からの老後は、山のふもとで趣味のゴルフや盆栽などをやってのんびり過ごす――
多くの人はなんとなくそうしたイメージを持っていたでしょう。
しかし、様相は変わってきています。
人生100年時代、人間の寿命に反し会社の寿命はどんどん短くなっている。転職は当たり前。副業を奨励する会社も増えてきた。
年金制度は破綻の方向へ向かい、定年という概念がなくなりつつある。
ひと昔前まで「第二の人生」=「老後」だったのが、すでに老後という概念がなくなってきている。
50代60代でも現役バリバリでいる必要が出てきた、
もっと言えば死ぬまで現役である必要が出てきたのです。
したがって今後、人生におけるピーク、山場は2つ3つあると見込まれます。
幾たびか、それまでの自分を切り替え、刷新し、「やり直すとき」は出てくると考えられます。
少し前までの50代60代は山を下っていく一方でした。
それが、これからは2度3度と再び山を登っていくようになる。
山を登る… 新しいことにチャレンジしたり、何らかのスキルを体得したり。
再び登り始めたゆでたまご
あるいは、以前経験したことをやり直す。
嶋田、中井両先生だって50歳をすぎてから、キン肉マンの続編を描き始めました。
「やり直した」わけです。
50歳をすぎ、再び山に登り始めていったんですよね。
そのくらいの年代になると、「もう齢だから」「年齢的にも難しい」っていう言葉がチラホラ聞かれるようになります。
年齢のせいにして何かに挑戦したり、新しいことに手を付けたりしなくなる。
“山に登る”のが億劫になるんですよね、どうしても。
それでも、お二人はやり直した。
キン肉マンの続編を描き始め、再び山に登っていった。
そして還暦になった現在でもなお進化しようとしている、
山の頂上でバリバリ活動しているのです。
プリズマンたち“再生超人”を通してゆでたまご先生が教えてくれること。
それは、再び山に登ろうとする勇気。
やり直す勇気だと感じるのです。