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「小細胞がん」闘病記

父(61歳)の「小細胞肺がん:ステージⅣ」の闘病記。

2010.8.10(火)

今日も吐き気は続いているようで、食欲もない。
食事だけは、体力が落ちるのを防ぎたいのか、無理にでも半分は食べる。

いつもは食べるアイスも、一口食べておしまい。

シスプラチンを投与してからというもの、父は便秘に悩まされていて、
マグミットという緩下剤を服用している。
マグミットを服用し始めてから吐き気がするようになった、と父は言うが、
吐き気の発現時期から見て、抗がん剤の副作用のように思う。

今は、マグミットのおかげもあって便通はあるらしい。


本日、2回目の抗がん剤(イリノテカン)。

父が行っている化学療法は、多剤療法で、
シスプラチン+イリノテカンを使用している。
医師が言うには、現在のガイドラインでの標準治療だそうだ。

1セット4週間で、
1週目:シスプラチン+イリノテカン、
2週目&3週目:イリノテカン
4週目:休み
・・・という風な治療予定。
現在は2週目。

今出ている副作用は、吐き気・下痢。
便秘から一転して下痢になった。


セオリー通りで言えば、そろそろ口内炎や脱毛が起きる頃。
父に「歯磨きはゆっくり優しく」するように軽く助言をした。


1週目の効き具合を見るためか、昨日胸部レントゲンを撮ったが、
結果はまだ医師から聞いていない。







ここ数日、身体の不調が表立ってきたから余計父が無口になった。

元々、若白髪で、いつも白髪染めをしていた黒髪、
今は根元が真っ白で、ちょっと歳を取ったように見える。

細身だけど、腕の筋肉が自慢だった父。
今は筋肉も落ちて、ふにゃふにゃになってしまった。





父が弱っていく姿を見るのが、最高に辛い。



けど・・・私は笑っていなくちゃ!!






笑っていることしか出来ない自分が、無性に情けなくなった。




2010.8.8(日)

今日は地元の花火大会ということもあって、
浴衣を着て父に会いに行った。

浴衣姿の私を見て、父は嬉しそうに微笑んでくれた。
パジャマ姿の父と、一緒に写真を撮った。



今日の父は元気がないように見えた。
聞くと、お腹の具合が悪いらしく、それに伴ってなのか、
抗がん剤の副作用なのかはわからないが、吐き気がすると言う。

いつもは持って行ったアイスを美味しそうに食べるのに、
今日は一口食べただけ・・・。

もしかしたら、お腹の調子が悪いことで、
「転移したのでは?」と不安になっているのかも知れない。

明日、抗がん剤治療開始後初めての「胸部レントゲン検査」がある。



抗がん剤、少しはがん細胞をやっつけてくれたかな。


病院の窓から見た空があまりにも綺麗で、
大きな青い空に、父が快方へ向かうことを心から祈った。


「小細胞がん」闘病記



2010.8.5(木)

昨日書いた「なんでもノート」。
父は私が書いた文を読んでくれたらしく、返事が書いてあった。


「大丈夫、安心して。ありがとう。」


たった一文、父が私に充てた手紙。
今までの父のイメージからして、手紙なんて絶対書かない人だと思っていたのに。

たった一文だけど、とても心に響いた。



抗がん剤投与3日目。

昨日と引き続き、特に目立った副作用はないが、
表立って気になるのは「しゃっくり」。

抗がん剤でしゃっくりが出る人は割とおおいらしく、
漢方薬(芍薬甘草湯)をもらった。
しゃっくりも副作用だと、看護師さんが言っていた。

あとは「便秘」。
抗がん剤の副作用は「下痢」というイメージがあったが、
父はその逆。ここ数日まったく音沙汰がないらしい。
便が溜まっているからか、昨日にくらべて食欲はあまりない。
ただ、吐き気とまではいかないようで、無理矢理に食事も完食したようだ。

顔と手足のむくみは昨日よりは軽減されたように思うが、
普段スリムな父からすれば、びっくりするほどパンパン。


偶然、医師の回診に出くわし、久々に医師からの説明を受けた。

・3日目で吐き気がないところを見ると、これから新たに吐き気が出ることは
ないであろうということ。

・2度3度と抗がん剤治療を進めるうちに、腎障害が酷くなったり、血液が減って感染症にかかりやすくなる可能性があるということ。

医師曰く、父は副作用が軽い性質だそうだ。
吐き気がない分、見ている方としてもすこしは安心だ。

父は、「副作用が出なかったのは嬉しいが、がんに効かなければ意味がない。」
と、笑いながら言った。




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2010.8.6(金)

今日もサプライズでお見舞いへ。
行きの道中、高速道路で50分(事故による通行止め)足止めをくらった。

昨夜、気味悪い夢を見て少し気分が落ち込んでいたので、
ぺっしゃんこになった事故車を見た瞬間、サーッと血の気が引いた。


人の命って、儚い。


どんなに頑張って生きてても、真面目に生きてても、
どんなに優しい人でも、最期の瞬間はいつどのように訪れるかわからない。

安らかに逝く人もいれば、
病気で苦痛に身をよじらせ逝く人もいる。
事故や災害で、突然逝く人だっている・・・。

そんなことを考えていたら、なんだか生きていくのが怖くなった。

生きている限り、かならず死は訪れるものだけど・・・
見えない未来のことを考えると、「不安」にとりつかれる。





今日の父は、相変わらずの笑顔で私たちを出迎えてくれた。
副作用も相変わらずの様子。
持って行ったアイスを父と分け合って食べた。








「がん」って、残された時間を知らせるために
神様が用意したものなのかな。

残りの時間を、いかに濃く、充実させた時間にするか。
恐怖や不安で残りの時間を過ごすのは、どうしてももったいない気がした。




なんだか今日は、せつなくて、やるせない気持ちになる1日だった。