◆ガスト ~千年樹の森「名も無き川」~
さて、どうしようか
今までの経験からして勝つ可能性は5%前後ってとこか
せめて日本刀さえあれば・・・
この短刀は日本刀と言えるのだろうか
日本刀っぽい・・・な。小さいが
そんなことを考えていたらエルルカがこちらに向かってきた
(先手必勝!!!)
手に持っていた短刀をエルルカに思い切り投げた
短刀はエルルカに向かって真っ直ぐにとんだ
エルルカは今の自分なら刃物でさえ歯が立たないと思ったのか避けなかった
(ふ。エルルカめ。剣士の刀を甘く見すぎたようだな。)
エルルカに向かってとんだ短刀は見事に刃を上にして刺さった
「うぐっ!!」
ダメージは与えられた
(さぁ。ここからだ!!!)
エルルカに向かって走り出した
傷の痛みなんて気にしている場合ではない
走っている勢いを落とさずにエルルカに刺さっている短刀を持って思い切り上に切り上げた
内臓がいくつか切れ、血管が切断され、血しぶきが舞った
「うがっっ!!!!」
刀の刃とさやが近いから切った感覚がリアルに伝わる
切り上げた短刀で今度は心臓をえぐりだした。
(そろそろ式神とやらから抜け出してもらはないとな)
作戦は大成功だった。
全てのシナリオ通りだった。
だが、予想外だったことがひとつ。
エルルカが別の鬼になったのだ。
傷もなおっている
(どうすりゃあ、いいんだよ)
考え事をしている場合ではないらしい
いきなり殴り飛ばされた
2・3メートル宙を舞い、転げ落ちた
宙を舞っているとき、あるものが目に入った
(5寸釘・・・?)
鬼のエルルカに気が行って気が付かなかった
(5寸釘を木から抜けば式神も消えるのじゃないか?)
5寸釘のある木に向かって走った
すると、エルルカが明らかに動揺しているのが見えた
「ビンゴだな。」
エルルカより先に木にたどり着き5寸釘を握った
「ぐぁぁっ!!」
さっきの傷が、開いた
(くそっ!走りすぎたか・・・)
そのとき、5寸釘の刺さっている木に異変が起きた
木が枯れていく・・・!?