坊主が屏風に上手に構図の絵を描いたらしいが私には何の関係もない -2ページ目

『悪ノ娘を殺してほしい』

つまり・・・『私を殺して』


◆アレン ~千年樹の森「何も無き川」~

リンからの手紙『私を殺して』の1行
字が、震えてる?

これを僕にしてくれ・・・

無理だ・・・
絶対出来ない

リンの精神状態はかなり不安定だ
目が死んでいる。が完全に当てはまる


「リリアンヌ」
エルルカが声を出す。
これ以上追い打ちをかけられたら・・・精神異常になりかねない。

「これ、あんたのでしょ」
そう言って紙のようなものが入ったビンを取り出した
「・・・!!?」
リンの表情が驚きに変わった
「それを、なんであなたが・・・?」
記憶にうっすら残っている言い伝え。
『なにかに願いを書いてビンに入れて海に流すとその願いがかなう』
詳しくは記憶にない

「これには『アレン、生き返って』と書いてある」
「だから私たちはその夢を叶えた。」

「知ってた?ビンを海に流すことは悪魔との契約で、自分の身を悪魔に捧げなくてはいけないのよ」

つまり、リンが死ぬか僕が死ぬかどちらか決めろということらしい

リンはまたうつむいて、顔色が悪くなっている。
「・・・僕が、死ぬ」
「どうせ僕は敵からもらった命」

ここまで言ってなにかが変だと気が付いた。
エルルカはリンを殺すことが目的。
しかし僕が死ぬのもいいという内容の事を言っている。

「お!?勘のいいアレン君が何か勘づいたようね。」
で、何?何?
と追求してくる。
「何故、僕か死んでも事が解決するのだ?」
すでにプラグが立ってしまっていたので言うと、
「その事ねぇ・・・」
よくぞ言ってくれたみたいな顔をした。

「あのねぇ、リンの悪魔は今、アレンに乗り移るのが目的なのよ」
「もともと、アレンに憑くはずだったし」
「そこでアレンが死ねば悪魔の目的は失せる」
目的が失せると精神的に痛むじゃん、などと補足した。

「力が衰えたら悪魔ってもとの器に戻るのよね」

━━つまり、僕が死ねばそれはそれで一件落着。

「アレンをわざと蘇らせたのは悪魔の挫折と暗殺を作らないためよ」

「僕が死ねば、一件落着なんだな?」
「・・・そうなるわね」
「じゃぁやっぱり僕が死ぬ」

「・・・だ、ダメ・・」
リンが拒んだ。
「・・・私が、死ぬ。」


◆リン ~千年樹の森「名も無き川」~

「やっぱり私はわがまま。昔から人に迷惑しかかけていなかった」
「その償いで私が死ぬわ・・・」
「もちろんこれだけで償えるなんて思っていない。」
緑狩り令、千年樹の森部分燃焼、家臣大量死刑、国内完全独裁化、いままで多くの人を傷つけた。
「でも私にはこれくらいしか出来ない」

「私は死ななくてはいけない」
「いや、死なせてほしい!」

━━もう私を必要としている人なんて広い世界でもいないだろう。
  沢山の人を傷つけ、殺めた。
  
なんでかどう死んでいくかわかる。
悪魔に食べられるように体が空間に吸い込まれる。
そんな感じがする。

さよなら、アレン。
短かったけど会えて良かったよ。


覚悟を決めた。
渦巻きのように意識が空間に吸い込まれていく。
ゆっくりと、ゆっくりと。