不妊の鍼灸の症例1と症例2 | にこにこ鍼灸治療院のブログ

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辛い日々より快楽な日々へ。鍼灸で身体にアプローチ。
東洋医学の理論で施術。様々な症状に対して根本から治療をします。このブログではプライベートなことを中心に書いていきます。
治療などについては
https://2525sinkyu.comを参照。

不妊
今回のテーマは鍼灸治療の症例(不妊)を2つ挙げますが、症例を挙げる前に1つだけ注意して欲しいことがあります。それは「 施術効果には個人差があることです。 」
【 症例1 女性 32歳 】
■予診票からの患者様の情報
この患者様は過去に当院で不妊治療をされ、無事に妊娠して男の子を出産された方です。お子さんも大きくなり、職場復帰をされて、第2子が欲しい。そして前回不妊治療で受けられていた時に、肩~背中痛みを感じていると言われたため、追加して治療を施したところ身体が楽になったと実感があったので今回はストレスの方も治療をしてほしいということで、予約を取り施術を開始した。なお再開時には2歳のお子さん(男の子)も連れて見えた。過去に患った病気は特にはありませんし現在飲んでいる薬も特にありません。
鍼治療
■東洋医学の観点からみた患者様の状態
食事については食欲はあり、食べる量も多いとのこと。小便は1日5、6回で気持ちよく出て色も透明とのこと。大便は1日1・2回あるとのこと。睡眠状況は普通に眠れるが、気になったら目が覚めるとのこと。最近、イライラしやすいとのこと。生理状況は周期が30日前後で期間は7日前後。生理痛というよりも下半身が重いが重いとの事。お腹の状態は衝脈に抵抗あり。脈診は全体に滑。前腕内側(尺膚)はふにゃふにゃして力がない状態です。以上よりこの患者様の身体は肝臓の働きが低下したことにより生殖器に栄養が与えられない状態と判断しました。
■治療方針と治療経過について
治療方針は肝臓の働きを良くすることが1点。現代医学の知識を利用して生殖器の関係する神経部位への鍼灸刺激を行うことが1点になります。
治療経過は週1回のペースで治療を行い通算8回目の施術までにイライラ感はすいぶん落ち着いてきて体調も徐々に改善されてきているとのこと。その後肩こりや腰痛・風邪を引いてしまったなど体調の変化に合わせて適宜治療を施していき2年後(通算施術回数約100回)には肩こり・腰痛など体調不良はほぼ良くなってきているが妊娠には至っていません。現在も継続中です。
考察
■考察
不妊治療は1、2か月で妊娠する可能性は低いので、体調管理(妊娠しやすい環境づくりなど)が中心になります。体調自体も約2年経過して良くなってきていると患者様は実感しているが、施術者から診るとどうしても脈の状態が良い状態になっていません。気になっていたので診断を腎虚証や脾虚証で変えてみて様子を見ていたところ、初検日より約2年3か月経過した所でようやく脈の状態が良い方向になってきました。この状態を維持できるようこれからも精一杯施術を継続していきます。

不妊
次の症例を挙げます。
【 症例2 女性 42歳 】
■予診票からの患者様の情報
主訴に不妊治療と書いたが、患者様本人は妊娠しやすいように体調管理をしてもらえればということで見えた。過去に病院にて不妊治療を受けたこともあるが、うまくいかなかった。過去に患った病気は30代前半に子宮内膜症と診断。以前より痛みがひどくなった生理痛がある。低血圧で最高血圧が90で最低血圧が50くらいとのこと。
鍼治療
■東洋医学の観点からみた患者様の状態
飲食については食欲はあり、食べる量も多いとのこと。尿については1日5回程度で量や色共に普通で夜中にトイレに1回起きるとのこと。大便についてはすっきり出なくお腹が張る感じがある。睡眠については普通に眠れるとのこと。お腹の状態は下腹部全体に硬結がある。(内膜症が原因で起こる反応と考えられる)。脈診は全体にやや弦で右寸口、右関上共にやや無力の状態です。前腕内側(尺膚)はカサカサしている状態です。顔色はやや浅黒い感じがあります。目の結膜がやや赤黄色で濁った感じがあり、よく目がかすむとのこと。以上よりこの患者様の身体は肺の働きが低下したことにより発生した身体に不要な血液(瘀血)がある状態と判断しました。
■治療方針と治療経過について
治療方針は肺の働きを良くして全身の血行を改善し瘀血をなくすことが1点と局所の瘀血(下腹部の硬結)を取ることが1点になります。
治療経過は初検後に「施術後起こり得る鍼灸の作用」と「施術回数」について説明をした結果、週1回前後で通院して頂くこと、そして自宅にて毎日セルフ灸をして頂くことで治療を開始するになりました。3週間後(通算3回目の施術)には「目がかすむことがなくなり」、「尺膚のカサカサ」がとれて、顔色も艶が出てきた。4週間後(通算4回目の施術)には脈が弦からやや滑に変化。ここで証を肝虚証に変更して施術をしました。5週間後(通算5回目の施術)には目のかすみが良くなってきました。7週間後(通算7回目の施術)には生理が2日間で終わってしまったが生理痛はさほどひどくなかった。9週間後(通算8回目の施術)では生理痛がいつもとは違う(ドーンとした重い感じ)で食後お腹が張る、便秘しているとのこと。そして10週間後には病院にて不妊治療を開始したいと報告を受けた。11週間後(通算9回目の施術)には特に大きな体調の変化は言われなかった。それから1か月通院履歴がなかったのでハガキや電話連絡を入れるが応答がないためこれで施術を終了しました。
考察
■考察
この患者様は鍼灸がはじめてで初回時とても不安たっぷりでしたが、当院の鍼は「10人うけて10人絶対無理と言われたことはないんです、ただ鍼を刺すので少しチクッとするかもしれませんが、患者様の皮膚の状態と採卵経験があるということを考慮すると、99%大丈夫だと説明して施術をしました。」実際、行った結果これなら問題なしと言われ、少しずつ鍼に慣れていくように施術を行うようにしました。

治療方針はまずこれで問題はないです。ただ瘀血の状態はひどいので時間をかけてとりつつ瘀血が減り次第診断を変えて施術をすればよいだろうと考えています。今後の目標は体調を良くして生理痛を軽減させることになります。以上が2019年11月に書いた考察ですが、10回目以降の施術が途切れてしまったのはなぜか考えてみたいと思います。1つは体調が良い方向になったのではないかと考えます。2つ目は病院の治療で上手く妊娠したのではないかと考えます。いずれにしても本人に確認を取れたわけではないので確証はないです。せめて連絡がとれたらよかったのにと悔やまれる症例になってしまいました。