実践的な三面図をもとに今回は1~8回まで解説した図法の内容で作図を進めていきたいと思います。

 図1は陸屋根の家の三面図です。左の三面図は窓やドアがある通常の建物の三面図です。右図はその窓やドアを取った外形図です。今回はまずはこの外形図で作図を進めていきます。図面には細かく寸法が記入されていますが、まずは基本的な外形寸法を読み取りましょう。

 図2は三面図から正六面体の大きさを考えた図です。外形は正面3750mm、側面4000mm、高さ2500mmです。細かい寸法が並びますが、全体を取り込める寸法の大きさは一辺が4mの正六面体です。

 大きさが決まれば色々な方向から六面他をスケッチし、アングルを決定してします。それと同時に左右の消失点も決定します。常に消失点を意識しましょう。

 

 

 図3はラフの上から左右の消失点も含めた4mの正六面体の線画です。この六面体に窓や屋根やドアを割り付けていきます

 図4は高さ4mを4分割すなわち1mに分割した図です。図面の読み取りから1mに分割するのが作図の流れからベストと判断したからです。対角線を引くことに奥行きも1mづつ分割することになります。

 

 図5 左面も同様に高さを4分割し対角線により奥行きも1mづつ分割します。

 図6はこの建屋の特徴的な意匠である庇の位置を導き出す手法です。通常は図面の寸法を読み取りスケールを使いパース上で測るなどの作図を進めます。今回は立面図を直接作図の中に取り込み位置を見つけ出します。数字ではなく画像の位置で見つけますので、寸法の読み取り間違いなどはなくシンプルでとても簡単です。

 図7は対角線の分割を使い詳細寸法を導き出します。対角線で1mを分割、その半分の0.5mは目分量で直接分割し0.25mを割り出します。分割については目分量と作図がありますが目分量で差がでないようでしたら簡単な目分量の分割で結構です。作図に違いはないはずです。

 正面の幅3750mm、ドアの位置ん幅750mmが決定しました。

 

 図8は確定した平面図の位置から垂線を立ち上げて外形図の完成となります。

 詳細図にあった窓やドアを取り付けてみましょう。

図9は窓やドアの入る面をパース上明確にし、対角線を加えて作図に入ります。最初に右の窓高さ関係を立面図から直接取り込み、それと合わせて立面図とパース上に引かれた対角線に合わせて窓の位置を見つけ出します。

 図10は左の窓と右のドアの割り付けです。こちらも直接立面図を取り込みます。寸法を読み取ったり測ったりする必要はなく図の高さ関係をパース図に移すだけです。直接割り付ける手法はあらゆる面で使えますので多用してください。

窓の割り付けは対角線の位置から導き出します。

 最後に作図の上からトレースして影などを描き込み完成です。影については基本的なことさえ間違えなければ描き手のイメージで結構だと思います。透視図法にのっとっての影の作図はとても難しすぎてCGに任せるのみです。図11が最終パースです。

 

 

 1回から今回を含め9回まで正六面体を中心に作図を進めてきました。初心者にもわかるパース講座のつもりでしたが、どうしても実践で使っていただくのには事細かくなってしまいます。

 高さ関係は図面を直接読み込んだり、スケールで寸法を測ることも出来ます。奥行きについては測る定規はありません。その代わりとして正六面体をスケールの起点にして奥行きを決め、それを分割することで奥行きを測る手法を取りました。

 分割については今回は対角線主体でした。他にも詳細に分割する手法があります。(後日解説あり)それらを色々と取り合わせて手描きパースは描いていくことになります。知ってもらいたいことはまだまだ沢山あります。

 正六面体がどうしても描けないという方には作図法で描く方法もあります。次回は作図法での正六面体を描いてみましょう。