正六面体の構成について。正六面体は正方形が六面、一片の長さはどれも同じ、辺の角はどれも90度と、三つの平行線のグループから成り立っています(図1)この正六面体を描くにあたり平行線の表現が重要になります。パースでの平行線の表現について考えてみましょう。

 

  平行線を描くには水平線(H.L)がとても重要にかかわってきます。平行線の定義はどこまで行っても交わらないことです。これは紙の上の平面での話です。私たちが見ている世界は立体空間で奥行きがあります。遠くに行けば行くほど小さくなります。その空間上での平行線の見え方はどうでしょう。私たちは無数の平行線のグループに取り囲まれています。ビルなどはまさしく平行線の集合です。平行線は都会になればなるほど密になります。森の中では見ることはありません。里山に下り、町に行くにしたがって平行線のグループは増えてきます。都会はまさしく平行線の集合体です。平行線の集合である構造物を描くパースにとって平行線の表現はとても重要です。

 では平行線と水平線の関係を見ていきましょう。目の前の平行線のグループをみると同じ方向に向かって集約されるように見えます。よく例に出されるのが真っすぐに伸びた線路です。(図2)遥か彼方で一つになっているように見えます。その遥か彼方には地平線。地平線すなわち水平線です。平行線は水平線に向かって集約されるように見えます。パースでは平行線は水平線上の一点に集まることになります。もう一つタイル壁のある建物の脇に立ってみましょう。壁のタイル目地は平行線です。目線の位置より高い目地は下の方向に。高い位置の目地はより顕著に下がります。目線より下の目地は上の方に上がります。視点の位置を境に分かれます。視点の位置はすなわち水平線です。横に綱らなるタイル目地の平行線は水平線に向かい集約されます。(図3)水平線上に集約された場所はパースでは消失点(V)と記述します。平行線は消失点に集約されます。

 平行線のグループはどれも同じ消失点にむかつているわけではありません。平行線のグループはどれも同じ方向とは限りません。平行線の方向の数だけ消失点も増えます。でも一つだけ共通しているのはどれも水平線上に集ります。(図4)

 単純に四角い箱(六面体)は平行線のグループは左の方向に一つ、右方向にひとつです。水平線上に右に一つ左に一つ、計二つの消失点が現れます。そのことからこの図法は二点透視図法と言われています。(図5)

高さに関する垂直線については垂直を維持し常に平行です。上の方に向かって集約する図法は三点透視図法になります。

 

次回は正六面体を描いてみましょう。