手描きパース基礎の基礎15で解説した簡易図法について簡単な形でのおさらいです

スケッチ感覚で対象を描き始めることが出来る図法です。細かく詳細に進めることもできるし,おおまかに進めることも出来ます。パースは奥行きの決め方によって様々な図法に分かれます。簡易図法は主に正六面体をもとにした図法です。なぜかと言うと、どの辺も同じ長さであり、比率も縦、横、高さが1:1:1でとてもシンプルな形です。とても判断しやすい形です。作図では一辺を2mにとったり4mにとったり10mにとったりと対象の大きさにあわせて正六面体の大きさを決めて進めます。正六面体を描けば奥行きの位置も決まります。基本となる奥行きの寸法が決まればその正六面体をを図面の寸法に合わせて分割し詳細に描き進めることになります。又正六面体を描くと同時にアングル(見る方向での対象の形のイメージ)決めることが出来ます。

では具体的に基本的な進め方を解説します

まずは形を読み込むための図面が必要です。形を理解するための三面図です。今回、形がわかるイメージ画も添付しました。

図面から形の概要の大きさを把握してそれに見合った正六面体の大きさを考えてみます。

一辺が2m正六面体の上に屋根がのります。屋根の高さが1mなので全体としては正六面体1つの上にその半分高の正六面体が乗る形になります。今回は単純な寸法ですが細かい寸法の場合もその大きさが収まる最小で単純な寸法の正六面体を模索します。次に形の概要も含め正六面体をもとにスケッチを進めます。

※透視図法での水平線・平行線・消失点の関係を踏まえての作図です

今回の正六面体表現の基本は2mの正六面体が二つ重なり上の一つは半分の高さとなります(A)。B~Cは視点を変えながらアングルを考察するスケッチです。対角線による分割も加えて描き進めればおおよそ正確にスケッチは完成してしまいます。定規も使わずフリーハンドのスケッチですからノートの一部や紙さえあれば打ち合わせのテーブル上でも描くことが出来ます。マスターすれば形の説明に強力なアイテムになります。

アングルが決まれば定規を使い丁寧に描き進めてみましょう。

作図1 見たい方向からの正六面体のスケッチを描き進める。左右の奥行きの決め方はそれぞれしっかりと正方形に見えれば正解です(奥行き2mが決定)。経験がませば厳密により近い正六面体を描くことができます。高さも正六面体の半分の高さを加えることで高さ3mも決定します。今回形の詳細については対角線の分割で導き出せるので対角線のみで描き進めます。

作図2 各形の大きさは対角線を利用して求めます。1mは二分割、0.5mは四分割になります。パースを作図するにあたり対象物に対してどのような分割法が良いかは各自の判断にゆだねます(分割法は多種多様です)。作図経験が増えれば的確分割法を選ぶことが出来ます。今回は対角線のみと判断しました。

作図は当然水平線上の左右の消失点を起点とした平行線の表現になります。(透視図法の基本です)

作図3 完成した作図の上にトレッシングペーパーをのせて建屋の線形を上描きして完成形にしました。簡単に影を描き込めば形が立体的に見えます。付近に人を配置すれば建物の大きさが明確にわかります。これもパース表現の手法の一つです。人の大きさについてはドアの高さが1.5mですのでそれより少し高くして描き加えました。※人の高さについてはしっかりと各寸法から導き出します。

 作図は消失点の位置や作図のプロセスがしっかりと描き込まれています。作図過程で間違っていた場合その場所の特定などに必要です。修正が生じた場合でも直接修正箇所にアプローチ出来ます。作図の情報がしっかりと詰まったデーターです。作図した紙を無くした場合、パソコンでのデーターが消えたぐらい大きなショックです。気を付けましょう。

以上が簡易図法の簡単なおさらいです。