手描きパース作図へのアプローチ

手描きパースを学ぶにあたり、パースを描くとはどのようなことなのか、最初から作図法など見るととても難しそうで入口が見つかりません。まずはパースを踏まえた簡単なスケッチをもとに解説します。

パースと風景スケッチとの決定的違いは絵に寸法があるかないかです。スケッチは目のまえの風景の印象を本人の感覚で描きます。大きさの寸法などさほど気にはしません。パースは寸法が大前提です。パースからある程度の寸法が読み解けなければなりません。パースは図面の一部に当たります。そのため描くにあたり必ず寸法の資料が必要です。できれは図面、なければ寸法を記したメモ書きも可です。寸法資料がなければ先には進めません。では寸法のある形をどう描くのでしょうか。簡単に言えば透視図法の法則を利用して描き進めることになります。絵を描くというより作図・作画と言ったほうが当てはまります。ですから定規を使ったりスケールで測ったりして進めます。まずはシンプルな四角い箱の作図でパースの概要を簡単に説明します。

スケッチを例にパース的アプローチを解説します。厳密な透視図法まで踏み込んでいません

①まずは大前提の四角い箱の大きさの寸法を決めなければなりません。
とりあえず一辺が4m正六面体とします。どれも同じ長さで分かりやすい形です。

四角い箱

②それではスケッチ(作図)に入ります。まずは白い紙の上に一辺が4mの四角い箱を描いてみましょう。イメージはサイコロです。厳密には正六面体と言います。では描き始めます。いろいろな方向から描くことが出来ます。上のほうから見た絵、真横から見た絵、下のほうから見た絵、見る方向たくさん考えられます。どこから見た絵にするか決めましょう。決めたらもうそこから動かすことはしません。今回は斜め左上から見ることにします。(パースで言う視点の位置視点はどこから

③決めた位置から見たサイコロの形を描いてみましょう。いざ描いてみるとなかなかうまく描けません。サイコロの形をしっかりと理解していますか。ではサイコロ(正六面体)の形を整理してみましょう。3つの平行線のグループで構成されどの辺も同じ長さでどの面も正方形です。今回は一辺の長さ4Ⅿです。はこのことを踏まえてもう一度スケッチを進めます。(図面を読み解く・三面図三面図

④今回のスケッチは平行線をいかに描くかです。では私たちが目にする行線はどんなイメージでしょうか。目に浮かぶのはまっすぐに伸びる鉄道の線路です。同じ幅で平行な線路がどこまでも伸びています。そんな写真を見ると地平線のかなたまで伸びてやがて地平線上で一つになっています。(パースで言う消失点

⑤平行線のイメージにしたがって左右に伸びる辺をそれぞれ一つにつながる様に描いていきましょう。線を先まで伸ばし一点に集まっているか確認してみましょう。(三つの辺がです)次に左右の集まった点(消失点)を線で結んでみましょう。あれ、線が斜めに傾いている?本来は横にまっすぐな線になるはずです。(パースで言う水平線)水平線が傾くはずはありませんから。横一線状に左右の消失点が集まるよう点の位置を調整しましょう。

 

消失点は水平線に

⑥左右に平行な辺の線が描けたら奥行きを決めましょう。本来はしっかりとした透視図法のもとで決定しますが、今回は感覚で決めていきましょう。でも勝手にここの位置ですとは決めません。やはり決めるべき根拠が必要です。今描いているのは正六面体で左右の面は正方形です。それぞれ最も正方形に見える位置が奥行きの位置となります。正方形の目安として円をあてはめるなり決定します。経験からの感覚です。ここでとても大事なことがあります。私たちは物の大きさ形を見た目で判断します。常にメジャーを持ち歩いて測るわけではありません。パースも見た目でその形や大きさが伝われば正解なのです。詳細な形や寸法を伴う形を描くということははとても感覚で判断できません。透視図法に頼ることになります。(これからの勉強です)でも正方形ぐらいは経験からどうにかなります。この感覚を覚えればパースを描く上でとても戦力になります。理想の正方形を描く練習をしましょう。これからの勉強です。感覚で奥行きを決定する

⑦奥行きを決定して四角い箱を描くことができました。でもまだ一つ足りないことがあります。箱の大きさが不明です。一番簡単なのはスケッチに「この辺の長さは4Ⅿです」と言葉で書けばすみますがあくまでも絵で伝える必要があります。私たちは経験から街中の、ものの大きさを測らなくても理解できます。どうして大きさを理解しているのでしょう。何気なく人と比較してその大きさを感じ取っています。この感覚を利用します。私たちが一番慣れ親しんでいるのは人の大きさです。人が立てばその隣にあるものの大きさはおおよそ想像できます。そこでスケッチした四角い箱の隣に人を立たせます。四角い箱の高さを目分量で4等分すれば1mがわかります。2つで2mそれより少し小さく人を描けばスケッチした四角い箱の大きさが一目で理解できます。これが簡単な手描きパースを描く時の基本です。もう少し複雑な形を描く時は図法の力を借ります。それは透視図法の基本を学んでからです。(さほど難しくはありません)

スケール感を表現