本は子ども…大人も…が、その長い人生で出会う楽しみのひとつでしかないかもしれない。もちろん、大いなる楽しみであり、その楽しみを知っているかいなかによって、人生はずいぶん変わってしまうが。
もっと自由でいい。読みたい時に読めばいい。飽きたら、ほかの楽しみに熱中すればいい。そしてまた、欲しくなったら、いつでも戻っておいで。あなたがしばらく本を忘れたとしても、本はどこかに行ってしまったりはしないのだから…。
休日の午後の光の中で、そんな風にわたしは考える。
 
(落合恵子 『本という奇跡~心にのこる私の一冊~』)
 
 
 
コンにちは。
心に残った本をご紹介しています本
 
 先日、テレビをつけたら那須正幹さんがある番組に出ておられました。
那須さんは、ズッコケ三人組シリーズの作者として有名な児童文学者です。
 
そして、私にとってとても印象深い作家の先生。

テレビの中の先生のお顔を見ていると、懐かしい記憶がよみがえってきました。
 
ここからは、しばし思い出話にお付き合いください。
 
 
キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ

 

今からさかのぼること〇十年前、当時学生だった私は児童文学のゼミに所属していました。

そこへ那須先生が、講演会かなにかのお仕事の合間をぬって寄ってくださることになったのです。

 

のどかな地方の大学の10人足らずの小さなゼミでした。那須先生は当時すでにズッコケの本で大人気の作家さん。学生からすれば雲の上の存在です。お会いできるだけで夢のよう。

 

ゼミを担当されていた先生が、児童文学の作家の方だったので、そのつながりで来てくださることになったのです。


私達ゼミ生は嬉しくて、ささやかですがプレゼントを用意してその日を迎えました。

 

現われた那須先生は、とても気さくで穏やかな方でした。そしてユーモアにも富んでおられて…。せまい研究室で、学生の質問にひとつひとつ丁寧に答えてくださいました。そして屈託なく歓談され、私達はまさに夢のようなひと時を過ごしたのでした。

 

後日、ゼミの友人が一冊の雑誌を手に、興奮して研究室にやってきました。


そこにはあるインタビューに答える那須先生のお写真が掲載されていたのですが、それをみて皆びっくりして顔を見合わせました。

 

先生は、ゼミ生がプレゼントしたネクタイを締めて写真に写っておられたのです。

 

学生が選んだものです。けっして高価なものではありません。むしろ立派な背広には不釣り合いなくらい、かわいらしい派手な柄のネクタイだったと記憶しています。

 

インタビューですから注目されるシチュエーションですし、写真を撮られれば残ります。そんな日に身につけるなら、他に良いネクタイをたくさんお持ちのはずですのに…。意図的に身につけてくださったのかどうかはわかりませんが、先生の気取りのない優しいお人柄を感じて、私達はますますファンになったのです。

 

仲間と嬉しい歓声をあげながら、雑誌をのぞきこんだあの瞬間を、今でも鮮明に覚えています。


そして、今回テレビ番組で偶然先生をおみかけし、お変わりない穏やかな印象に嬉しい思いがこみ上げて懐かしく番組に見入ってしまいました。

 

 

キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ キラキラ

 
 
そんな那須正幹先生のズッコケシリーズを研究した本があります。

 

 
 
(裏表紙と帯)
 
 
那須正幹研究読本
ズッコケ三人組の大研究
石井直人・宮川健郎 編
ポプラ社
 
 
この本は帯紹介にもあるように、最初の雑誌連載から14年、単行本出版から12年が過ぎ、シリーズ20作に達した時、1990年に出版された本です。
 
 
(刊行のことばより)
 
小柄で色ぐろ、口のわるいハチベエ。
トイレのなかでも勉強するくせに、成績はいまひとつのハカセ。
食いしん坊で、動作はスローモーなモーちゃん。
 
ぼくたちには、もうおなじみの三人がはじめて登場したのは、作家・那須正幹、画家・前川かずおのコンビで『6年の学習』に連載された「ズッコケ三銃士」においてでした。1976年のことです。この連載が『それいけズッコケ三人組』というタイトルでポプラ社から刊行されたのが1978年、これを第一作とする『ズッコケ三人組』シリーズは、つぎつぎに書かれて、昨年(1989年)の暮れには、二十作目にあたる『大当たりズッコケ占い百科』が出版されました。
三人組が大活躍をする、このシリーズは、子どもたちに熱い支持をうけてきました。
 
子どもたちにこんなにも熱心に読まれている『ズッコケ三人組』シリーズの魅力とは何なのだろう。シリーズ二十冊をあらためて読みなおしながら、それを考えてみたい。それが、児童文学・児童文化の現在を見直し、その明日をひらくことにもつながるのではないか。━━『ズッコケ三人組の大研究━那須正幹研究読本』は、こんな動機で編まれることになりました。
 
 
 

 
 
 
 
大研究というタイトル通り、多くの方々が執筆されています。
そのそうそうたるお名前に驚きます。豪華すぎるキラキラ下矢印
 
 
(目次より)
巻頭エッセイ
ズッコケ三人組誕生の秘密(那須正幹)
 
ズッコケ三人組シリーズ論
”ズッコケ”と”はれぶた”は本じゃない⁉(赤木かん子)
含羞━那須正幹の仕事のことなど(石井直人)
不易と流行(神宮輝夫)
エンターテインメントの復権ズッコケシリーズをめぐって(西本鶏介)
ズッコケワールドを成り立たせるものキャラクター、文体、世界観(村中季衣)
 
インタビュー
前川かずおさんとの一時間
 
ブックガイド
藤田のぼる・金原直人・砂田弘・しかたしん・他
 
対談
那須正幹VS古田足日
 
エッセイ
大石真・小暮正夫・山口勇子・薫くみこ・相原法則・他
 
 
 

『ズッコケ三人組』シリーズについて考えることは、子どもの文学や文化の現在を見直し、その未来を考えることにほかなりません。

(アマゾン本紹介より)

 

 

学生時代に一度だけ先生にお会いしたのち、私は社会に出てしばらく司書として働き始めました。図書館でもその人気ぶりは予約がとぎれることがないほどでした。

 

ズッコケシリーズはずっと続いて、現在シリーズ40冊刊行(累計2500万部発行)というのですから偉業ですビックリマークスゴイ

 

テレビで紹介されたズッコケの本、その魅力をあらためてひしひしと感じました。

 

以下は、簡単ですがテレビ番組のまとめです。

 

子どもが本を読むというのは、最初から最後まで夢中で読んでくれれば、それが一番の読書の喜び。だから那須先生は、お話の中にお説教は書きませんでした。

 

そんな先生が、唯一ためになることを書いたとおっしゃっていたのが、37作目のこちらの本です。

 

 

 

 

これは、1995年の阪神淡路大震災で被災した神戸の小学生達と文通していた先生が、「ズッコケ三人組に大地震を体験させる」と、子どもたちに約束した、その約束の書です。

 

ハチベエ達の住む町が被災するお話で、人々が前向きに生きる姿や、避難所で起こり得る問題、助け合うこと、自ら考えて行動する姿を描いた作品です。

 

その後、東日本大震災が起こった後に、小学校に避難されていた方から、「たまたま図書館にあったこの本を読んで力づけられた」とお手紙が届いたそうです。

 

 
この12月には、独居老人三人組のお話の本を出されるそうです。
とっても気になります。
新たな先生の作品にドキドキビックリマークキラキラ
 
 
今日は那須正幹先生の作品のことを詳しく解説した貴重な本「ズッコケ三人組の大研究」と、テレビ番組のことをご紹介しました。
本は先生の思い出とともに宝物になっていますラブラブ
 

実はこの本には続編もあります。

最後にアマゾンリンクしておきます。

 

それでは今日もご訪問いただき、最後までお読みくださり、ありがとうございました きつねキラリン