さて、まずは善光寺参りといたしましょう。
亡き母が晩年に、繰り返し「行きたい」と言っていたところ。
でも既に、車椅子がなければ動くこともままならない状態。
認知症も相当進行しており、その願いがかなうことはありませんでした。
今回はいわば、母の代参といったところでしょうか。
善光寺は仏教伝来を縁起とする、日本で最も古い寺院の一つ。
無宗派のお寺です。
というか、仏教が各宗派に分かれる前の状態がそのまま続いていると言ったほうが良いのかもしれません。
宗派にかかわらず宿願が得られる霊場として信仰を集めているそうです。
また、多くの宗派が女人禁制だった時代から性別や身分によらず、すべての人を救済してきたことも大きな特徴。
女性の旅行そのものが困難だった江戸時代ですら、多くの女性が善光寺参りをしていたのだとか。
僕たちが向かったのは大本願南駐車場。

お寺の周囲にも駐車場はたくさんあります。
でも、参道を歩いてみたかったので、少し手前ですが、あえてこちらに停めました。
料金は、最初の2時間が600円で以降1時間ごとに200円。
う~ん、高いのか安いのか分からない微妙な設定ですね。
1時間あたりの単価で考えても、最初の2時間のほうが高いというのもあまり見かけません。
ほとんどの人が2時間以内で帰るということなのでしょうか。
ネットで参拝に必要な時間を調べてみると、60~90分ということでした。
まるほど。
ここで雨が強くなってきました。
まだ少し早い時間帯ではありましたが雨宿りがてら、先にお昼ごはんをいただくことにしましょう。
なにせ朝ごはんが、列車で食べたコンビニおにぎりなのでお腹も空いてきました。
入ったのは駐車場から参道に出たところにあるこちらのお店。

「かどの大丸」さん。
その名の通り交差点の角にあるお蕎麦屋さん。
参道から職人さんがそばを打っている様子を見ることができるのですよ。
かなり年季の入った建物。

なんでも創業三百年という歴史があるのだとか。
ということは、江戸時代から門前で商売されているってことか。
店内も、昔ながらの食堂といった感じです。

壁にはオカメにヒョットコ、七福神のお面が掛けられていて、欄間には役者絵が。

歴史を感じさせますね。
こちらがメニュー。

冷たい蕎麦(もり)と温かい蕎麦(かけ)があります。
冷たい蕎麦には普通のそばのほかに更しな蕎麦というものもありました。
「特製さらしな粉使用」という説明書きがついています。
要は、そば殻をすべて取り除いた、純粋に蕎麦の実だけで挽いた真っ白なそば粉を使用しているということ。
そばの他には丼物などもありました。
僕は、更しなよりも普通のお蕎麦のほうが好きなので、ざる蕎麦と玉子丼を。
連れ合いは暖かい月見蕎麦を注文していました。
出てきたお蕎麦を見て少し後悔。

思っていたより量が多い。
ざるに山盛りになっています。
玉子丼を付けたのは失敗だったかも。
食べきることができるかなあ?
でも、食べてみると意外といけます。
のど越しがよいので楽に食べきることができました。
それに美味しいし。
さすが本場の信州蕎麦といったところかな。
玉子丼もお出汁が甘すぎず、玉子もトロトロ。
あっという間に完食です。
こちらは連れ合いの月見蕎麦。

連れ合いも「量が多い」なんて言いながらも完食していました。
お腹も一杯になったところで参拝に向かいましょう。

雨は相変わらず降り続いています。
参道を進むと左手には立派な寺院が。
これは大本願というお寺。

善光寺は無宗派ですが、維持や運営は浄土宗と天台宗が担っているそうです。
大本願は善光寺における浄土宗の拠点となる寺院。
ここの住職は大本願上人と呼ばれ、善光寺の住職も勤めています。
僕たちが車を停めた駐車場は、このお寺の南側にあるから大本願南という名前だったのか。
ちなみに大本願は尼寺です。
その道向いには宿坊が並んでいました。

なかなか立派な建物もありますね。

予約をすればお昼ごはんだけの利用ができるところもあるみたいです。
参道では小学校高学年くらいの子供たちが大勢いました。

よく見るとみんなタブレットを持っています。
社会学習の一環なのでしょうか。
外国人参拝者にインタビューをしているようでした。
そのまま参道を進むと、出向かえてくれるのが仁王門。

正面には善光寺の山号である定額山の額が架けられています。
仁王門は江戸時代の中頃に建立されましたが、江戸末期の善光寺地震などで、これまでに二度焼失しました。
現在のものは大正七年に建てられたもの。
国の登録有形文化財に指定されています。
仁王像の配置が通常と逆で、右に吽形、左に阿形が安置されているのが特徴の一つ。


この像を製作したのは、江戸末期から明治にかけて活躍した彫刻家、高村光雲と弟子の米原雲海。
光雲は仁王像を制作するにあたり、西洋彫刻の技法を取り入れました。
像の体と頭のバランスや筋肉の表現などは、それまでの伝統的な日本彫刻には無い西洋的なスタイルになっているそうです。
そういわれれば、東大寺にある有名な雲慶作の金剛力士像よりもスラッとして、格好良くみえますね。
また、バランスにも考慮されており、全長6mにもなる大きな像なのですが固定はされていません。
自分の足で自立しているのだそうです。
すごいなあ。
門をくぐると背面には三宝荒神と三面大黒天が配置されています。

三面大黒天を撮ったつもりなのですが…
寄りが甘いのでちゃんと撮れていませんね。
失敗、失敗。
こちらも高村光雲と米原雲海の合作です。
ちなみに高村光雲は、十和田湖の乙女の像や知恵子抄などで知られる高村光太郎のお父さんなのですよ。



























