「その話、嘘じゃないですよね?」
こんなこと信じようとするなんて、自分でもどうかと思うが聞いてみる。
「嘘じゃないですよ。」
即答だった。店員は続けて言った。
「僕の目を見て下さい。嘘つきの目に見えますか?」
・・・真顔で何を言っているんだ、この人。ちなみに、嘘つきに見える。目が死んでるし・・・。
「そうですか・・・。」
それでも、一応信じたふりをする。
「あと、メロメロって具体的にどうなるんですか?」
これも気になったので聞いてみる。
「まず、自分の髪の毛など溶かした液体を相手の顔に吹きかけると相手はそれを鼻から吸い込みます。すると相手の頭の中は自分でいっぱいになります。・・・まぁ、詳しい原理とかは僕も知りませんが。」
知らないのかよ・・・。
「で、その後相手は自分だけを見て、自分の言うことを聞いてくれて、自分だけに微笑んでくれます。つまり、メロメロ。」
・・・ぐるぐると頭の中で考える。ちらっ、ちらっと「彼女」の顔が掠める。
「誰かに、使いたいですか?」
店員が聞いてきた。
「えーと、ま、まあ。」
曖昧に返事をする。
「どんな人ですか?」
「うーん、黒い長髪で強気だけどかわいい顔をしてて・・・。」
・・・はっ。俺は一体何をいっているんだ!?
「ははっ、恥ずかしがらなくていいですよ。」
清々しい顔で店員が言ってくる。憎たらしい。枕に顔を埋めて「うわー」ってやりたくなる思い出ができてしまった。
「ところで。」
店員がまた真顔に戻った。
「買います?これ。」
「・・・いくらですか?」
「5000円になります。」
うっ、結構高い・・・。
「でも、お客さん高校生だから最近流行りの学割にして2000円にしましょう。」
「本当ですか!?」
学割、流行ってて良かった。・・・流行ってないけどね。どこの情報だ。
「買います。」
あ。言っちゃったよ。・・・でも、2000円だし別にいいか。
「まいどあり。の前に一つ聞かせて下さい。」
「はい?」
「お客さん、その黒い長髪で強気だけどかわいい顔をしてる相手のことを・・・」
・・・この店員、嫌な性格してやがる。
「どんなになっても一生、愛せますか?」
《続く》
