これは私がずっと心で抱えていた疑問なんですが、

うまく表現できるかどうか・・・。

 

子供が産まれる前から、

親になる、とわかった時から、

親は子供にいろんな事をしてあげたい、と

思うようになりますね。

 

一緒にこれをやりたい、

習い事はこれをさせよう、

こんなプレゼントをしたい、

と、夢はふくらみます。

そして、産まれる前から様々なグッズを買ったりして、

ますます夢が大きくなります。

 

わかります。

わかるんです。

私もやってきました。

それが親心というものです。

 

 

ですが、ある程度大きく育った子供に対して、

それが子供の将来にどういう影響を与えるか、

という視点が必要になる時期が来ると思うのです。

 

たとえば、

保育園や幼稚園時代は

毎日の持ち物は親が揃えてあげるのが当然ですが、

小学生になったら、

明日の支度は本人がするべきですね。

最初はおうちの人も一緒にやってあげて下さい、

と学校の先生も言うと思います。

でも、学年が上がるにつれて、親がしなくても

自分だけで支度をするようになりますね。

成長する過程では

こういう「やってあげない」配慮が必要な場面が

色々出て来るはずなんです。

 

でも、つい、それまでの習慣で、

やってあげてしまう。

あるいは、「やらない」というのが

愛情が薄いように見えるので、なんとなくできない。

 

わかります。全部わかります。

その気持ちもよくわかります。

ネットやテレビに出て来る子育てしながら働く母親が

忙しい中でも精一杯子供のために頑張っています、

というのを見ると、

手をかけない事が「手抜きをしている」ように感じられて、

「あえてやらない」という選択ができない。

罪悪感のようなものがわいてきて、

どうしても

子供に任せるとか、

子供だけでやらせるとかいう事が押し通せない。

今、そんな「空気」に苦しんでいる親も

多いのではないかと思うのです。

 

でも、先ほど例に挙げた「明日の支度」のように、

子供の年齢から言えば、これは子供がやるべきこと、

というのがありますね。

それをできるように陰ながら支援する、という形に

親の愛が変わる時期というのでしょうか。

親が全てやってあげるのではなく、

子供が自分でやる事を見守る、

声かけをして、やり遂げられるように応援する、

そんな形の愛情って、

周りから見て「わかりやすい愛情の示し方」では

ないかもしれませんね。

でも、子供が成長していく過程で、

子供が親から離れて自立していかなければならない以上、

どこかでゆっくりと、親の手が後退していく必要があるのです。

 

うちの息子が5年生の臨海学校に行く時に、

荷物は全て自分で揃えさせました。

私は忘れ物がないかというチェックもしませんでした。

という話を同じ学年のママにしたら、

「え?本当に?大丈夫なの?」

「全然手伝わないの?」

「子供も文句言わないの?」

と言われました。

「もし、忘れ物してたらどうするの?」

と言うのです。

(私が子供の頃、

 親が自分の荷物を支度した、

 なんて子はいなかったように思うのですが、どうなんでしょう)

 

例えば大人になって、

自分で旅行に行くとか、

仕事で出張に行くとか、

そういう時に支度をするときに、

どんなことを考えますか?

 

「お金と携帯と家の鍵、

 これさえあれば、後は現地でなんとかなる」

 

そういう感覚って大事だと思うんです。

学校だったら、

「着替え(特に肌着)と、タオル、

 あとはなかったら、先生や友達に助けてもらえる」

という感じでしょうか。

この、「ここは重要で、絶対に忘れてはならないもの」

だけをチェックして、後はなんとかする、

という度胸?が、大切で、

これは、経験を積むうちにわかってくる事でもあると思います。

 

「あ、今回はこれを忘れた。

 次回は気を付けよう」

という失敗を、学校という、

先生や友達がフォローしてくれる時期にやっておかないと、

いきなり受験の時に自分で支度をして

「あ、受験票忘れた!」

なんていう致命的なミスを防ぐ事につながらないのです。

いつまでも親が持ち物チェックをするのは現実的ではありません。

親が声かけし、自分でも注意しながらやる、

という経験を、年齢に応じてしていく事、

それも親の愛情だと思うのです。

でも、周囲の空気ってありますよね。

「え、やらないの?」

と言われた時の、「あれ、よくないの?」という不安。

心配じゃないの?とも言われますね。

心配ですよ。

でも、それ以上に、

自分でやる経験を、年齢相応にさせてやらないと

後で本人がどんな苦労をするか、という心配の方が

私は大きいので、

失敗をフォローしてあげられる子供のうちから、

ちょっとずつちょっとずつ、任せてきました。

(いきなり全部、自分でやれ、と言うのは乱暴ですよね)

これも、親の側の忍耐が必要だったりします。

親がやってしまう手間より、

失敗した時のフォローをする方が面倒だったりするんです。

それでも、

それでも、どうか、

少しずつ子供から手をはなしていって下さい。

子供が自分でできる力を信じてあげて下さい。

それが自己肯定感にもつながります。

自己有能感も育ちます。

自分でできるんだ。

自分はちゃんとできる。

そういう自信をつけてあげるためにも。

あえてやらない、という選択。

ちょっと頭の片隅に入れておいてもらえたら、

と思います。