昨日の「札幌・門田」の続きです。
昨日の「札幌・門田 “Summit”」は、晩年期のものですが、
この「SAPPORO BERGHEIL K.I.W 」は中期のものです。
1960年代は、二代目・茂の、最も脂の乗った時期ですが、
このピッケル自体は二代目・茂自身が打ったのか、
三代目・正が打ったのかは判りません。
「門田」の、もっとも「門田」らしいモデルです。
ヘッド:30.8cm
全 長:83.5cm
重 さ:955g
シャフトは剣道で素振りに使う木刀のように硬いです。
目が細かく、材質は樫かな?と思うほどです。
全長も長く、重さも1kg 近い!
昔の人は、これを使って山を登っていたのです!
「SAPPORO BERGHEIL K.I.W 」
と、打刻されています。
BERGHEIL はドイツ語で、“山、万歳”
K.I.W は “Kadota Iron Works(門田鉄工所)の略”ですが、
通常、K.I.W.と、「W.」の後ろにも「.」が打たれるのですが、
このピッケルにはその「.」が打たれていません。
このドットが無いピッケルは1960年(昭和35年) 頃の作で、
この時期にのみ使用されたそうですが、理由は不明です。
尚、「門田」のピッケルの場合、
「BERGHEIL」と打刻されているものは、炭素鋼のピッケルです。
フィンガーは長く、3点留め。
ブレードは扇形
この中期のピッケル群の後、昨日UPしたシリーズで、
特殊鋼のニッケル・クロム・モリブテン鋼を材料にした、
「サミット」、「サクセス」、「ロフティ」等のモデルが続いていきます。
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1986年(昭和61年)、三代目・正が病に倒れます。
この頃、「日本山岳会創立80周年記念」の要望を受けて、
1935(昭和10)年頃に作られていた物をモデルとしたピッケルを製作中でした。
完成本数は325本でした。
この時、二代目の茂は76才、既に往年の力はありませんでした。
茂は、「正は病に倒れ、自分も今までのようなピッケルは造れない」と判断し、
1986年(昭和61年)、遂に廃業を決意しました。
ここに60年近く続いた門田のピッケル・アイゼン造りは終焉を迎えました。
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