山の写真(262): ピッケル「SAPPORO BERGHEIL K.I.W」 | 信州:大町・安曇野便り

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昨日の「札幌・門田」の続きです。

 

 

 

 

昨日の「札幌・門田 “Summit”」は、晩年期のものですが、

この「SAPPORO BERGHEIL K.I.W 」は中期のものです。

 

1960年代は、二代目・茂の、最も脂の乗った時期ですが、

このピッケル自体は二代目・茂自身が打ったのか、

三代目・正が打ったのかは判りません。

 

 

 

 

 

 

「門田」の、もっとも「門田」らしいモデルです。

 

ヘッド:30.8cm
全 長:83.5cm
重 さ:955g

 

シャフトは剣道で素振りに使う木刀のように硬いです。
目が細かく、材質は樫かな?と思うほどです。

全長も長く、重さも1kg 近い!

 

昔の人は、これを使って山を登っていたのです!

 

 

 

 

 

 

「SAPPORO BERGHEIL K.I.W 」

と、打刻されています。

 

BERGHEIL はドイツ語で、“山、万歳”

K.I.W は “Kadota Iron Works(門田鉄工所)の略”ですが、

通常、K.I.W.と、「W.」の後ろにも「」が打たれるのですが、

このピッケルにはその「.」が打たれていません。

 

このドットが無いピッケルは1960年(昭和35年) 頃の作で、

この時期にのみ使用されたそうですが、理由は不明です。

 

尚、「門田」のピッケルの場合、

「BERGHEIL」と打刻されているものは、炭素鋼のピッケルです。

 

 

 

 

 

フィンガーは長く、3点留め。

 

 

 

 

 

 

ブレードは扇形

 

 

 

この中期のピッケル群の後、昨日UPしたシリーズで、

特殊鋼のニッケル・クロム・モリブテン鋼を材料にした、

「サミット」、「サクセス」、「ロフティ」等のモデルが続いていきます。

 

 

 

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1986年(昭和61年)、三代目・正が病に倒れます。

この頃、「日本山岳会創立80周年記念」の要望を受けて、
1935(昭和10)年頃に作られていた物をモデルとしたピッケルを製作中でした。


完成本数は325本でした。

この時、二代目の茂は76才、既に往年の力はありませんでした。

茂は、「正は病に倒れ、自分も今までのようなピッケルは造れない」と判断し、

1986年(昭和61年)、遂に廃業を決意しました。

 

ここに60年近く続いた門田のピッケル・アイゼン造りは終焉を迎えました。

 

 

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山の写真(263): 玄関の「ウッド・シャフト・ピッケル」 に続く

 

 

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