『夜の帳(とばり)』は、2017年としてふたつめのビールのリリースであると同時に、はじめてのインペリアルスタウトとなります。このビールのために、機材容量を限界まで使って仕込みを行い、10日間の発酵の後、およそ2ヶ月の間、熟成させたのち、ようやくビールが出来上がりました。カカオ、コーヒー、リコリスを思わせる豊かな味わいが、濃厚でロースト感の強いボディに調査して、複雑でかつ長い余韻を残します。この味わいゆえに8%の度数を感じさせない(満足のゆく)危険な仕上がりになりました。また、熟成が終わるまで出来る限り『辛抱強く』待ったことが、このビールにより深く複雑な味わいをもたらすことにつながりました。タンクの中身に手を出さず、ただ待ち続けて熟成させることは、そう簡単なことではありません。笑
名前の由来:慌ただしい一日に終わりを告げてほっと一息つくとき、その傍らにあるのが1杯のビール。夏にゴクゴクと飲むビールもいいですが、この時期にはゆったりとした気分でじっくり味わいながら飲むビールも悪くないものです。この『夜の帳(とばり)』は、そんな一日の終わり、夜の始まりとともに飲むのにピッタリのビールとなりました。これからが寒さの本番。暖かい部屋にいるだけでもリラックスできるものですが、このビールを片手に夜を過ごされてみてはどうでしょうか。
『素朴な一時』を仕込みは単純化の練習でもありました。過度に複雑なレシピや難しい技術を使うかわりに、”Simple is Best.”を心がけて、麦芽構成もシンプルに、ホップ投入のスケジュールもできるだけシンプルなものにしました。今回のビールでは、ベースとなる麦芽にシンプソンズ社のゴールデンプロミスという種類の麦芽を使用することで、いつも使用している麦芽では出せない味わいを引き出すことにし、これに合わせるホップは種類、投入の時間ともにシンプルとなるようにしました。今回はHBC344を使用し、この柑橘とパッションフルーツの特徴を併せ持つホップに、クラッシックなアメリカンホップのセンテニアルをあわせることで、モルトの特徴が最大限に出るようにしました。これらのホップについては複雑な投入スケジュールを組むかわりに、麦汁の煮沸が終了した時点で全量を投入することにしました。この結果、出来上がったビールは、まさに『シンプル』なものとなりました。クリーンで、ゴクゴクと飲めるセッションIPAでありながら、ゴールデンプロミスモルト由来の味わいがしっかりと感じられ、ブドウやモモ、シトラスといったシャープなホップの味わいを感じていただける仕上がりとなりました。アルコール度数はたったの4%ということもあって、飲み過ぎても家に帰れなくなってしまう、といった心配もない(はず)!笑
名前の由来:このビールを仕込むにあたっては、何でもかんでも詰め込もうとせずに、全てをシンプルになるように心がけました。名前をつけるにあたってはこの思いを込めた名前にしました。シンプルな味わいのこのビール、文字通りに素朴なひとときを楽しんでいただけたらと思います。