「本当かい?良かった〜」
オミくんがホッとした顔でタマモを見た。
「ああ、ここの〝さえの神〟の力は蘇った。完全復活だ」
タマモは立ち上がると
パタパタと両手で尻の土を払う。
「さてと…これでアタシの役目は終了だ。次の町に行くとするか」
タマモの言葉に
笑顔だったオミくんの口角が下がった。
「え?このまますぐに?嘘だろ?キヨコちゃんに会ってモウスのことや〝さえの神〟のことを教えてあげないと…」
オミくんの問いに答えることなく
タマモはスタスタと
通気口に向かって歩き出した。
「おい、おい!ちょっと待ってよ!タマモが行ってしまったら僕たちは小ちゃいまんまじゃないか!置いていくなよ!しがみつかせろ!」
オミくんが慌てて走り出す。
ブンジュも急いで後を追った。
タマモは口を尖らせ首を振る。
「いや、アタシは行かないよ。アンタたちだけで戻りな。アタシには役目がある。〝さえの神〟を守り、邪悪な奴らから日本を守るって大切な役目がね。今回は、たまたま〝さえの神〟のいる場所にキヨコが住んでいたから、キヨコにも手伝ってもらったが、本来ならキヨコと関わることは無かったんだ。まったく、ここの〝さえの神〟には手こずらされたよ。おかげで長居しすぎた。そろそろ次の土地の〝さえの神〟を見回りに行かないと日本の平和は…」
タマモがブツっと話を止めた。
「アンタ、いつまでアタシに、くっついているんだい?」
眉毛をピクピク動かしてブンジュを睨む。
ブンジュは元の大きさにに戻ったのに
ガッチリとタマモを掴んで離れようとしない。
「タマモさん、どこに行く気ですか?行かなくちゃ、行かなくちゃって…どこに行くのですか?サトリの里に戻る気は無いですよね?僕はサトリですから、心の中はお見通しですよ」
ブンジュは
いっそう強くタマモにしがみついた。
オミくんは呪文を唱え終わり、
地面から勢いよく風が吹き上がっている。
準備完了、
いつでもビュン飛びできる状態だ。
「こら!放せ!バカ!やめろ!」
タマモは
しがみついているブンジュの頭を
ポカポカ殴った。
「放すもんか!」
何度叩かれても
ブンジュは歯を食いしばって堪えている。
そして
オミくんが「行くぞ!」と言ったと同時に
タマモを抱えたまま力一杯に地面を蹴った。
びゅーーーーーーん!
ビュンチに飛び込んだ3人は
あっという間にサトリの里へ飛んでいく。
「いって〜!」
エジャジの庭に着地したブンジュは
タマモに叩かれた頭を抱えてうずくまった。
美少年から
さえないおじさんに戻ったオミくんが
ブンジュに駆け寄る。
「大丈夫かい?ああ、かわいそうに、タンコブができているよ。よく頑張ったね。まったくタマモは手加減しないから…」
そう言いながらタマモの方を見たが
タマモが見当たらない。
「タマモ?」
2人は身を伸ばしてタマモを探したが、
タマモの姿は見えない。
気配も感じない。
タマモが着地したであろう辺りで
ふわりとした物に足が触れた。
「…嘘だろ?」
見るとキツネの尻尾だった。
〈続く〉