まんまと今日は29日。

明日で9月も終わりだぜ!

結局今回を入れて今月も二回のみの更新だ!

ハハハハ…ごめんなさい。


ってな訳で武道館大会の思い出第三弾を…と思ったが、旬を逃したにもほどがある。

いや、それよりも書きたい事があるのでそちらを書かせて頂こう。



軽く焼け野原となったアリーナを後にし控え室へ戻った。

モニターからは聞き慣れた声がマイクを通して聞こえてくる。


「どうすればチケットが売れるか教えてやろうか?」


DDT年間最大のビッグマッチで1000枚を超えるチケットを一人で売るその男の次の言葉を、会場中が固唾を呑んで待っていた。


「どうすればチケットが売れるか、それはな…」


今まで幾度と無く営業の大切さを聞かされてきた。

とにかく地道な営業を続ける事、チケット一枚の重み。

休みも取らず全国を飛び回り、社長自ら営業に行く背中をずっと見てきた。

それをこの状況で、後楽園ホールのリング上から、大観衆の前でどう説明するのか?

レスリングシューズの紐を結び直しながらモニターを見つめる。


「それはな、未来を見せるんだよ!」


観客席から、控え室から歓声が聞こえる。

未来を見せる、未来を。

思えば自分自身、近い遠いを問わず数多くの未来を見せられて来た。

社長が想像した未来を目指して歩み、自分自身の未来も創造して来た。


DDTに入社したのは30歳の時。

どう考えても遅すぎるスタートだった。

「最初はバイトから」

他の企業だったら多分入社しなかった。

でも目も前にいた高木三四郎という男には、何か惹きつけられるものがあった。

この人についていけば大丈夫なんじゃないか、きっと楽しいんじゃないか。

そう思わせる何かがあった。

それが何かは説明出来ない。今でも。

感覚的な何か。

そうとしか説明のしようがない。


ちなみに面接には鳥羽の兄貴が同席してくれた。

駅で待ち合わせるやいなや、

「は?ウチの会社の面接にそんな格好で来る奴初めてだよ。信じられねーな」

と呆れられた。

うん、まぁ普通のスーツだったんだけどね。

そして

「一緒にいるから安心しろよ。横にいてやるくらいしか出来ないけどさ」

そう言って軽く微笑んだ。

カッコイイ!なんて心強いんだ!

そして面接の間中、ずっと横にいてくれた。

横にいて缶コーヒーを飲みながらマンガを読んでいた。

始終無言で。

最終的には社長に

「鳥羽君は何しに来たの?」

と言われていたYO!

まぁ、いい。兄貴の話はいい。


ええとなんだっけ?

ああ未来の話だった。


その初めて会った時から、沢山未来を見せてもらった訳。

色々なアイデア出して実践して、無理だ!って思う事も実現させて。

前にも書いたけど、レフェリー志望で面接に来た事を忘れられてたのね、ずっと。

松井さん、グレースさん、ハードヒットには和田良覚さんもいらして。

空きが無いからリングアナはどうだ?って言われて。

どうしてもレフェリーが良いですって言ったら、じゃあ空きが出るまでは飲食の仕事しろって言われて。

そのまま一年間忘れられて、週プロモバイルで「DDTがレフェリーを募集」って見た訳ですよ。

何の冗談だと。

会社の人全員が飲食のスタッフで入社したんだと思ってて。

KUDOさんに相談したら「絶対に忘れてるから言った方がいいよ」って言われて。

いやいやそんな馬鹿な、と思って話に行ったら、

「何で早く言わないなよ!」って怒られるっていうね。


まぁそんな状況でも何とかなるって思ってたんですね。

めちゃくちゃ遠回りしてるかもしれないけど何とかなるって。

それは高木さんが未来を見せてくれたから。


そしたらほら、なんとかレフェリーになれたでしょ。

武道館のリングに立てたでしょ。


だからどんなに無理そうでもしんどくても出来ちゃうわけ。

知らない間にトラックとリング買って、「お前横浜からリントラも任せるから」とか言われても。

札幌とか博多までトラックだったり、「これいつ寝るのよ?」みたいな日程でも何とかなるんですよ。

リントラ運転してリング組んで諸々雑用やって売店やってレフェリーやってリングバラしてまた運転とか、余裕なんですよ。

これをずっとこなしていけば、また信じれらないような未来を実現出来るからね。

高木さんってDDTって、そんな感じなんですよ。


よく「大変ですね」とか「凄いですね」とか言われます。

でも僕の仕事なんて誰にでも出来ると思うんですね。

中型運転出来てある程度常識あれば。

だから全然特別だなんて思わないけど、必死なんですよ。

誰にでも出来る仕事を誰にも譲らない努力を。

その積み重ねが未来になるからね。


あと高木さんを見てきて分かった事もある。

「おい大家、買い物行って来て」って言った30秒後に「おい大家!大家!何であいつはいつもいないんだよ!」と怒る。

2時間に及ぶミーティングが、「じゃあさ、今までの事全部メールして。俺忘れるから」で終わる。

「やっぱり○○みたいのをやらなきゃダメなんだよ」ってアイデアを出し、みんなでそれについて話し合ってると「いや、そんな事出来るわけないでしょ」とぶった切る。


うん、未来を見せ続けるには過去を忘れる事も大事だNE!


きそぺろ☆