マレーシアもBRICS に参加する事になった。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-06-21/SFEU0BT1UM0W00

当初、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国だけで構成されていたBRICSだが、今年1月にイランとアラブ首長国連邦(UAE)、エチオピア、エジプトが加わり9カ国に拡大。世界的な影響力を強めている中国による後押しが大きい訳だが、相変わらず日本ではニュースにならない。

ニュースになるのは中国とフィリピンの間で繰り広げられている衝突だ。何故か?簡単である。フィリピンはアメリカの同盟国だからだ。同時にフィリピンはアメリカとは経済的な結び付きが強い。東南アジアに於いて、今では唯一と言って良いくらい中国よりアメリカとの貿易が多い。

中国の4月の輸出額は、去年の同月と比べて1.5%増加した。主要な貿易相手である東南アジア向けが大きく増えたことなどが要因である。しかしアメリカの影響が大きいフィリピンは別だ。

そしてアメリカの同盟国である日本は、まるで中国が東南アジアで問題を起こしている様な報道をする。確かにメディアも確信犯なのだが、中国批判の報道が日本人にウケるのである。

事実を伝えないメディア。これで良い訳がない。アメリカの求心力が落ちているのは明確である。

日本は借金を抱えている、という事は一般にも知られている。しかし日本がアメリカにお金を貸している、という事を知らない人が多い。

米財務省が3月に発表したところによると、1月の外国勢の米国債保有額は8兆200億ドルと、過去最高だった昨年12月の8兆600億ドルから減少した。ただ、保有額トップの日本は額を拡大した。

また、外国勢の米国債保有は前年比では8.6%増加した。つまりアメリカは外国からのお金を借りまくっているのである。

日本の保有額は1兆1530億ドルで、12月の1兆1380億ドルから増加し、2022年8月以来の高水準となった。そして中国の保有額は12月の8163億ドルから7977億ドルに減少した。

https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/OQIAAT3OO5KX5AUNBZOKNK6HTY-2024-03-20/

分かるだろうか?つまりアメリカは国債を日本に売り付けている訳だが、その額は世界最大である。これだけアメリカの戦闘機を買い、米軍駐留にお金を払い、思いやり予算まで提供して、更にアメリカの国債を1兆1530億ドル(165兆円程)を買っているのだ。

更に世界で二番目にアメリカの国債を保持しているのは中国である。その額は8,000億ドル、日本円で13兆円だ。要するに中国もアメリカにお金を貸しているのである。それでも日本とは桁が違うのだが、日本人はその事実を知らないのだから恐ろしい。

アメリカの借金は膨大な額となっていて近い将来、破綻するという忠告をする経済学者も少なくない。だから日本には、アメリカへの忠誠を誓う子分として従い続ける様、プレッシャーをかけている。日本が頼りなのである。そして韓国も囲い込んでいる。日本と韓国を操れば、中国は敵だ、というイメージを擦り込み、アジアに於けるアメリカの影響力を保てる、と考えているのだ。

日本の政府も戦後、これまでアメリカを頼りにして経済発展してきたのだから、これからも同じ方針で日本の将来も安心だ、という楽観的憶測しかしない。

マレーシアのサイフディン元外相はインタビューで、「私もそうだが、我々の一部は不公平な国際金融・経済構造の解決策を見つける必要があると考えている」と述べ、「BRICSは恐らくバランスを取る方法の一つになるだろう」との見方を示した。つまりもうこれ以上、アメリカの覇権主義にはウンザリだ、と言っているのである。

また、世界最大級の産油国であるサウジアラビアが、石油をドル建てで輸出する50年にわたる合意を今月6月をもって終了させた。

BRICS加盟を検討しているサウジアラビアが石油のドル建て取引を停止した事で、サウジから石油を輸入するためにドルの確保が必要ではなくなる。BRICSを中心とした世界のドル離れは明らかなのである。アメリカの将来はかなり厳しい。

今月、世界経済に於いてこれだけの動きがあると言うのに、日本のメディアは無視。相変わらず肝心な報道はしない。要するに日本人が喜ぶ報道しかしないのである。このままだと日本人は世界から取り残されてしまうかも知れない。