韃靼の馬 -好きだったんだ・・・- | にっけいしんぶん新聞

韃靼の馬 -好きだったんだ・・・-

新しい連載小説 -1面-

朝刊連載小説、髙樹のぶ子氏の「甘苦上海」は10月31日で終わり、11月1日から辻原登氏の「韃靼の馬」を掲載します。

いやあ、なんだかんだいって記者はけっこう好きだったんですよね、「甘苦上海」。
記者は女性でも50代でも会社経営者でもないですし、上海には旅行ですら行ったことないので、立場的にカブるところは何ひとつありませんが、それでもなんかこう、紅子には共感・・・とは違うと思いますが、なんというか、なるほどねー、と思うこともけっこうあったんですよね。

「あのオッサン」とは違って。

同じ50代が十いくつも年下に恋をするのだけれど、落ちぶれて地位も金もプライドもない男が恥も外聞も考えも年甲斐もなしにただやりまくるのではなく、地位もお金もある女性が、地位やお金があるゆえにそして齢を重ねているがゆえにさまざまに葛藤しながらも、前に進んでいく姿はよかったと思います。

地位を作り上げてきた自信、美しさを維持しているという自負、それでも衰えていることを自覚していることによる不安。
若い男とつきあっている負い目で微妙な心理がさらにややこしくなっていましたが、一方でそんな紅子を見透かししたような松本とのやりとりも見どころでしたね。
序盤、紅子の自慢タラタラ薀蓄ダラダラなくだりが続いた時にはどうしようかと思いましたが、きっとそれも彼女の仮面のひとつ、松本と出会い、自分の気持ちに本気で向き合うようになるうちに徐々にそういう感じの悪さは減りました。

この激動の一年の上海の様子をリアルタイムで伝えていたのもよかったですね。
「甘苦上海」のタイトルそのままに、好調だったお店が苦しくなり、ようやく少し落ち着いたりして。
記者も会社の会議で中国経済が議題になったときには、「上海あたりでも富裕層の消費は・・・だときいています」などとさも誰かに取材したかのように紅子の店の状況を語ったものです。
って、ええんか、それで!?

いや、まあ、記者が知ったかぶりして語った上海の商売事情はほんとかどうかわかりませんが、けどこの物語で知ったことでひとつだけほんとだといえることがあります。
それは・・・



飲みたくなったら楽天にジャンプ!

グレンモーレンジはうまい!


今まで飲んでた安ウィスキーとはまったく別物でしたね。
なるほど、紅子はこんなお酒に自分の価値観を投影していたのかと思いました。

いい年齢した人間なら、飲むお酒もプライドを持って選べ。

紅子に教えてもらったような気がします。



・・・肝心のグレンモーレンジは、年下から手みやげで頂いたんですけどね。。。