『ふるあめりかに袖はぬらさじ』
昨日も役者が心配でちょい、シアターへ顔を出した。
きょうは仕事で観に行けず、電話で役者と談話。
早いもので、きょうで12日目。
益々、電話の声もイイ響きのある声になってきた。
今朝は角川大映撮影所へ走る。
期待の監督とプロデューサー初対面。
我が女優のプレゼン。
いつもお世話になっているキャスティング社長さんはわたしが頼りにさせていただいている大好きな方。
女優を監督におしてくださり、仲介していただいたのだ。
まだ解禁になっていない作品なので話せないが、楽しみである。
さて、今宵は肌寒く、鍋焼きうどん。
これ、懐かしの大阪は南、千日前「千とせ」の肉うどん。
たまたま入ったマルエツで発見!
思わず手にとっていた。
夜泣きうどんになるでしょう。
せんだって、大好きな名優がおふたりもいなくなってしまった。
馬渕晴子さん。
そして、そして、去年までご一緒した劇団の大御所、大滝秀治さん。
最後の言葉も伝えられぬまま、心残りだが、少しずつ少しずつ、お話をしている。
退団しているのにも関わらず、各局、制作会社のプロデューサー、ディレクター方々がわたしにたくさんのメッセージをくださった。
メールだけでなく、電話までいただいた。
ありがたく、ありがたく、ありがたく。
皆さん、大滝さんが大好きな方々。
残念、寂しい…と。
思い出が走馬灯のように駆け巡る。
噛み締めている。
各方面に出向いても、声をかけていただいては、大滝さんを偲ぶ。
わたしにとって、大滝さんと最後の仕事は
C.A.Lのプロデューサーに決めていただいた『水戸黄門』だった。
映画は高倉健さんと共演『あなたへ』
この2作品はわたしが繋げたラスト。
光栄である。
感謝が募るばかり。
今、しっかり噛み締めるしかない。
奇しくも、内藤武敏さんが亡くなったあと。
今頃、内藤さん方々とお酒を交わしながら、積もる話をされているのではないだろうか。
役者は死ぬまで勉強だ。
ゴールなんてない。
しかし、役者は仕事していないと、くさっちまう。
役者は謙虚でなければ駄目なんだ。
謙虚でなければ。
現場の移動中、大滝さんと車のなかでよくお話した。
役者のことを気にかけては、誰それは仕事はあるか、どんな具合だ、と聞いてこられる。わたしもたくさん相談した。
3.11
あの大震災の日。
NHKの仕事で、大滝さんとご一緒だった。
忘れられない。
ドラマの現場も
あのとき、あの時間、あの瞬間……。
わたしのなかで刻まれていった。
今、まだずっと、そこにいていただきたかったし、わたしは復帰を信じていた。
ご冥福をお祈りします。
あの世でも、芝居のことばかり熱く熱く熱く、語っておられることでしょう。
この写真は若い役者をいつも大滝さんの現場に呼んでいた。
そして、バーターで仕事を入れ、役者が少しでも勉強になれば…と、わたしは必死だった。
NHKドラマ『離婚同居』で出演とナレーションをされた。
そのときの担当プロデューサーが左に。
ナレーション収録現場にて。
何度も何度も繰り返し繰り返し、原稿を読む大滝さんの姿が写っている。
この赤いジャケットは大滝さんによく似合い、いつも着ていらした。
お気に入りのジャケット。
ああー、あの頃が甦る。