広島と長崎に原爆が落とされてから6日、9日で69年。高齢の被爆者は次々と亡くなり、3月には被爆者健康手帳を持つ人の数は20万人を割り込んだ。被爆者はどんな記憶と次代へのメッセージを遺(のこ)そうとしているのか。当時20歳以上だった人の言葉に耳を傾けると、世界で共有するべき「核の非人道性」が改めて浮き彫りになる。
- あの時、救えなかった命
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成人だった人たちは様々な社会的立場で被爆した。命と向き合う看護婦は「ガーゼを替えるとウジ虫がわいていた。救える命は少なかった」(福岡県の石橋ヨソノさん、90歳、被爆地?広島)と証言。衛生兵は「治療しても大半が死んだ」(和歌山県の松山義一さん、90歳、同)と言い、あまりに多くの人を一瞬のうちに殺傷する核兵器のむごさ(KD6 )指摘する。
核兵器がもたらす壮絶な光景の記憶と放射線への恐怖は、被爆者を長く苦しめた。軍人は「水を求めるうめき声がずっと耳から離れなかった」(佐賀県の岸川巖(いわお)さん、89歳、被爆地?長崎)とし、学校職員は「悪夢と健康不安、差別を背負って生きてきた」(神奈川県の樫村従子(よりこ)さん、90歳、同?広島)と振り返る。
取材に応じた被爆者は朝日新聞デジタルの「広島?長崎の記憶~被爆者からのメッセージ」(http://www.asahi.com/hibakusha/)の掲載者。被爆時に成人だった334人のうち連絡先がわかり、面談やアンケート用紙のやり取りを通じて計71人が主な質問に答えた。
日本の現状と未来に警鐘を鳴らす声もあった。原発再稼働には7割にあたる52人が反対か否定的だった。自衛隊が他国を守るために海外で戦う集団的自衛権の行使を認めることに対しても51人が反対を明言。陸軍通信兵は「海外の戦争に関われば攻撃される対象になる」(大分県の鱧永(はもなが)秀一さん、89歳、被爆地?広島)と自身の経験から語った。
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〈核の非人道性〉 一度に多数の人を殺傷して街を破壊するほか、長期にわたって健康や環境に悪影響をもたらすといった「人道的に取り返しのつかない惨事」を招く核兵器の特性を指す。日本原水爆被害者団体協議会が1956年の結成時から訴えてきた。
昨秋に国連総会第1委員会に出された「核兵器の非人道性と不使用を訴える共同声明」には、日本を含む125カ国が賛同。今春に広島市で開かれた非核保有12カ国の核軍縮?不拡散イニシアチブ外相会合でも、核兵器の使用は壊滅的で非人道的な結末を招くとした広島宣言を採択した。