花は見えても、その根は見えません | [虹ぷしゅ]nijipushu nijipsych

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「瞳に涙がなければ魂に虹はかからない」ネイティブ・アメリカンの言葉
「ひとり、燈(ともしび)のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とすずぞ、こよなう慰むるわざなる」徒然草

 

 

 

花は見えても、その根は見えません。

故人の思いにも人には見えなくても
多くの見えない思いがあったことでしょう。


               ドラマ『最高の人生の終わり方』

 


「最高の人生の終わり方」の画像検索結果
 

 

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故人に限らず、
いまこのときを生きているわたしたちお互いにも言えることですよね。
なんの悩みも苦痛もなく生きているように見える人が
人には見せないけれども、実は、日々、大きな試練を抱えながら、
生活しているというもありますよね。


あるとき、教会の知り合いと話していて、
「いま3回目の《神と人なるキリストの詩》を読んでいる」
と言われたので、
同書でどこが一番心に残りましたかと聞いたことがありました。
その人は


身内を無残に殺され孤児となったマルジアムが泣きながら、イエスさまに
「どうしても人を赦さないといけないの」
とたずねたときに、
イエスさまが
「そう、どうしても、どんなひとでも赦さないといけない」
と答えたところ


と教えてくれました。

そのとき、わたしが意外だったのは、
そんなに熱心と思っていなかったその人が、
1頁2段組で10巻もある《神と人なるキリストの詩》を繰り返し読み続けられていたことで、
それにも増して意外だったのは、
そして、そんなに苦労なくすごしているように見えるその人から、

また、人への恨み言など一つもないようにいつも静かで穏やかな風のその人から

どうしても人を赦さなくてはいけないというその箇所が一番心に残っている
と いう答えが返ってきたことでした。


わたしたちはお互いのことを分かっているような錯覚の中をすごしていますが、
実際は分からないことのほうが多いのでしょう。
そして、苦労して自分の内面を耕して歩んできた人ほど、
そのことを人に伝えずに静かに歩んでおられるのだろうなぁと思わされます。

「亜聖は山にあり 聖人は町にある」

というような言葉をどこかで聞いたことがありますが、
見るからに人格者として苦労の多そうな人もりっぱなのでしょうが、
そう見えない、あまり人の目にとまらない人の中に、
実は、他の人なら、表に出てしまうような試練も、人に悟らせずに、
人知らず、人間性を掘り下げ、
その内側に深い湖のような精神を湛えたような人格者がいのだろうなと思わされます。


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夕焼け空 焦(こ)げきはまれる下にして
         
氷らんとする湖(うみ)の静けさ

                 島木 赤彦
   
                      

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そして、蔵王の詩を2つ。
こんな風に人々の心を震わせて、歌われる
蔵王ってどんな山なんでしょう。


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 ものおもふ ひとつの湖(うみ)をたたへたる
          蔵王は千年 なにもせぬなり
                川野 里子



                       


 

蔵王の山に

佐藤 さち子

 

おまえこそは山、

蔵王よ

 

空の高い所に

いただきをおき、

深い山ひだをたたんで

連なる。

 

山すそは、

うすむらさきにけぶる

潅木の林。

果てしなく広がり、

牛もいるたんぼに続く。

 

雲をよび、

雲をはらい、

いくたびか冬をこしてきた

山よ。

山頂に雪をのせて、

春いぶく

山よ。

 

おとなになって、ぼくたち、

ふるさとを遠く働く日にも。

なお 高くむねに

そびえ立つだろう。

  
     蔵王の山よ。




 

 

 

  北帰行  (旅順高等学校逍遙歌) 

 

作詞・作曲:宇田博 編曲:伊部晴美 


 


窓は夜露にぬれて みやこすでに遠のく


北へ帰る 旅人ひとり なみだ流れて やまず

 

 

いまは 黙して行かん なにを また語るべき


さらば祖国 我がふるさとよ あすは 異郷の旅路