「人口減少」と「人工知能」が絡み合う2025年以降の社会は、今とはまったく異なった産業構造になっているだろう。こうした時代を勝ち抜くためには、従来の常識をすべてリセットするくらいの覚悟が必要となる。

 

 加谷珪一(「ポスト新産業革命 「人口減少」✗「AI」が変える経済と仕事の教科書」)

 

 

 この本、真面目に読むと恐ろしい本だということが分かる。「従来の常識をすべてリセットするくらいの覚悟が必要」というのはその通りで、僕らのジジイ世代が培ってきた一般常識なるものは、もはや風前の灯火で、どんどん役に立たない不要なものとなってきている。だからといって「非常識極まりない人間」というのも困りものになる可能性が高い。

 

 「パレートの法則」である「8:2」の法則を常識に当てはめると、世の中の8割の人間は「自分は常識的な人間」だと思いこんでおり、残り2割の人間は「自分は非常識」と思い込んでいるはずだ。まぁそんな統計は誰もとったことがないとはおもうが(笑)。この「非常識」と思い込んでいる人間の中でも、本当に「非常識」な人間は人口全体の「2%」のはずだ。さらにこの「2%」の中で、世の中に迷惑をかける「自分が常識」だと思いこんでいる人間が、その内の8割を締め、残りの20%が世の中を変えてしまうほど「逸脱した」人間で、そうした人たちを「天才」と呼ぶ。つまり世の中の「0.2%」が世界を変えるということになる。なんてことは、この本には書かれてはいないが。

 

 この本の最終章である「既存の常識をすべて捨てされるか}」の項には、恐ろしい話が色々と登場する。

 

 人口減少とAI化の進展は、社会の効率化を極限まで追求することになるだろう。人が少なくなり、便利な場所へ集約化が進むのだとすると、社会で必要となるモノやサービスは、各人が所有するのではなく、皆でシェアした方が圧倒的に効率がよくなる。今でいうところのシェアリング・エコノミーとは異なるが、マンションに代表される集合住宅というのも、土地というリソースを皆でシェアするための手法として編み出されたものである。今後はあらゆるモノやサービスがこうしたシェアリングの対象となるだろう

 

 要は「シェアリング」の概念がもっと進むということだが、恐ろしいのはシェアリングが進むと、究極的には「ヒト」のシェアが起きる。アメリカでは既に起きているが、女達が一人の「いい男」をシェアしながら生活し、子種としても活用している。「いい遺伝子を持っている男」を皆でシェアするモデルだ。女性たちは金持ちではないが、皆で一人の男性をシェアし、子育ても助け合うことことで仕事と生活を維持しているとのことだった。自分も素晴らしい遺伝子は持っているので、ぜひシェアしてほしいが無理だろう(笑)。

 

 世の中はジジイやババアどもが想像しなかったレベルでシャアリングが進む可能性がある。ポイントは「効率」である。先日テレビ東京の番組で住んで良かった!街ランキングBEST100ランキングなるものをやっていて、そこでベスト10のうち4つが川崎市と横浜市にあるこの50年街づくりがされた駅の町で、2位が「センター北・南」、6位が「みなとみらい」、7位が「溝の口」、10位が「武蔵小杉」だった。まぁランクには3位に「元町・中華街」と8位に「横浜」も入っているから、圧倒的に横浜・川崎ばかりだ。 

 

 ランキングは実際に住んで良かった町というもので、「コスパ」「交通便」「飲食店」「環境」「おしゃれ」部門で調査したということになっているが、2つの商店街に挟まれたジジイ・ババア率の高い町で育った我が一家は、みんなで「えっ〜〜〜!?」という反応だった。大型チェーンのスーパーがいくつもあり、もちろん洋服もユニクロなどのチェーン、飲食店も見たことあるものばかりで、特に2位の「センター北・南」に至っては「小さな子供を持つ家庭ならいいけど、全く面白そうじゃないね」というのが我が家の意見だった。なにせ「非常識」な一家だから仕方ないのだ(笑)。

 

 このランキングの1位は「吉祥寺」で、それ以外は江戸時代には人が住んでいない町ばかりであったが、驚いたのは上位の町の住人たちの回答が、まさにこの本で指摘する「効率」と「集約化」を象徴していたからだ。住む場所の選択で重視するのがこの2つに集約されているということは、今後はこうした町では確実に「シェアリング」が進むことになるはずだ。まさか子供や夫婦の「シャアリング」はやらないだろうが(笑)。夫婦交換はスワッピングだが、なにせ横浜市港北区というのはTBSのドラマが創り上げた「不倫の町」だからアリ得るかもしれない(笑)。まぁどうでもいいが。

 

◆「ベーシック・インカム」の恐怖

 

 AI化とシェアリングが進むと、AIが生み出す「富」を皆でシェアリングするという概念も進む。日本経済を地獄に突き落とした竹中平蔵がいう「ベーシック・インカム」制度である。社会が高度にAIかして、モノやサービスのシェアリングが進むと、機械が生産を拡大し、やがて単純作業の労働者の仕事がなくなる代わりに機械が「富」を生み出すことになる。この点も本書で指摘している。

 

 「いくら機械が富を生み出すことができたとしても、その富を労働者に分配しなければ、労働者が生活できなくなり、結果的に需要も減ってしまう。機械が生み出した富を労働者に分配する手段として一部の識者が提唱しているのが、全員に基礎的な生活費を一律支給するベーシック・インカム制度である」

 

 本書ではAI化によって多くの労働者が、人にしかできない仕事への転職を迫られると警鐘を鳴らしており、それは大手の銀行をはじめ、既に仕事を奪われる人たちが急増する気配を見せている。行き着くところが「ベーシック・インカム」制度ということならば、もはや「共産主義」に行き着くこととなり、そうなると働かない人間も激増する。それは旧ソ連や行き過ぎた社会保障制度で経済が沈没したイギリスの例を見ても明らかである。

 

 この本には書いてはいないが、それこそが「資本主義」の行き着く果てで、そこで「国」が「国民」を支配する構造が出来上がり、さらにそれが世界規模で起きると、「金」を支配した者の言いなりの世界が出来上がるということになる。言いなりにならない若者は「さぁ軍隊へ」ということになる伏線が「18歳成年」である。

 

 成年年齢は、ことし2022年4月からこれまでの20歳から18歳に引き下げられた。約140年ぶりに成年の定義が見直されることで、何が変わるのか?政府広報のWEBを見てみると、

 「親権に服さなくなるため、自分の住む場所、進学や就職などの進路なども自分の意思で決定できるようになります。さらに、10年有効のパスポートを取得したり、公認会計士や司法書士、行政書士などの資格を取得したりすることもできるようになります。

成年年齢が20歳から18歳に変わります」

 

 などと、さも自由意志を持った大人になるんですよと言わんがばかりだが、現在国会で審議されている「防衛費増額」の件もこれと密接に関連している。兵隊として食わせるやつを増やすことを前提に、装備や施設を最新鋭に変えて、「働かない奴らは自衛隊へ」となる手はずだ。おまけにアメリカに協力している北朝鮮が、このとこころじゃんじゃんミサイルを放ってくれるものだから、産経新聞をはじめ「右」と自称する偽日本人たちが、「国防」「反撃能力」と煽っている。全てが布石となっているのだ。

 

 結局のところ、世の中はどんどん嫌な方向に進んでいる。これをどう乗り切ればいいのだろうか。そのためには「常識を捨てよ」ということが結論である。「常識」に束縛されるということは「施政者たちの言いなりになる」と同義語で、だから国民の8割がワクチンを接種してしまったのである。

 

 となると、残りの日本人がAIで管理されるようになるのだろうか。まぁそれはみんな自分の頭で考えよう!