「人はひとりであるときがいちばん強い!」 

吉田紘二郎

 

このひとは元早稲田大学の教授で劇作家でもある人なのだが、幼い頃に父親が事業の失敗から破産し、多感な時期に家族から離れて暮らしながら学んだ苦労人だ。だから多分、自分の人生経験から出てきた言葉なのだろうと思う。

 

人間、たった一人というのは少々心細いものだ。最近もネットでいろんなSNSを見ていると、やれ「寂しい。だれかメル友になろう」といった弱気な自分をPRする人がいたり、「ひとりぼっち。誰か今から一緒に遊ぼう」とか危険な呼びかけをしている女性もかなりいる。

 

確かに一人というのは寂しいかもしれないし、怖れを感じるかもしれないが、その反面、自由でもある。

だから、本当の自分の力を試したかったら、誰にも頼らず単独で行動してみることだ。自分の中の弱さを感じたときこそ、前を向いて一歩を踏み出す勇気が必要だ。

 

最近2冊の本を読んだ。一冊は「最貧困女子」、もう一冊は「貧困女子のリアル」。

ともに著者は違うし、取材ターゲットも異なるのだが、この現代の東京で暮らす、悲惨な女性たちの生活実態が取材されている。内容は危険すぎるので、興味のある方だけ勝手に読んでほしい。

 

特に「最貧困女子」に出てくる、SEX産業の中でも最底辺にいる女子たちは、ほぼ「依存症」である。

 

寂しさ、辛さ、苦しさから逃げてしまう女性ばかりで、「人はひとりであるときがいちばん強い!」なんてことは全く考えないような女性ばかりなのだ。だが、逆説的にいえば、これまでの人生のどこかのポイントで、何度も這い上がるチャンスはあったはずだと思うのだ。しかし、きっとその時に逃げてしまって、ずっと逃げ回る生活スタイルになってしまった娘がほとんどだと思う。

 

人間が試されるのは、「孤独」になった時だ。そのとき、孤独に耐えきれずに逃げてしまうか否か。そこが人生の分かれ道になるのだと思う。

 

2016年2月24日記述