「頭をアイドリング状態にしておきたいんです。ギアが入った状態だと、進む方向が決まっちゃうじゃないですか」
宮崎晋(博報堂チーフ・クリエイティブ・オフィサー)
見てるだけでドキドキする場所、モノ、人物。クリエイターにとっても、刺激のない生活をしている一般の方でも、そんな「ドキドキ」との出会いは大切だ。
広告クリエイターというのは裏方の仕事だ。
だから普通は名前なんか憶えているものではないのだが、この宮崎晋という人と大貫卓也という人の名前は、自分の中に深く刻まれている。
なぜかといえば、1990年4月1日に掲載された「としまえん」の新聞の全面広告を作ったチームだからだ。
「史上最低の遊園地としまえん」
エイプリルフールを狙って出されたこの広告は、とても逆説的で挑戦的な広告であった。
普通、企業の広告では「史上最低・・・」なんてフレーズは使わせてもらえないのだが、3年がかりで「としまえん」を口説いて、遂に出してもらったのだ。
その「粘り強さ」、「アイデア」、「チャレンジャー精神」が生んだ結果は、その後の「としまえん」のCMが毎年話題となり、入園者数もうなぎ上りになったことで証明されている。
さらにこの2人は、1992年にカップヌードルのCM「hungry!」も手掛け、カンヌ国際広告祭でグランプリを獲得している。
宮崎氏は、広告を創る際は、常に頭の中を真っ白なキャンバスにするところからはじめる。
そして外に出かける。部屋に閉じこもっていても何の閃きを得られないからだ。
アタマを刺激する場所に訪れることで、「日常と非日常をミックス」して、感性を鋭敏にさせるのだ。
だから頭の中は「どこに向かうかは分からない」が「エンジンだけはかけておく」アイドリング状態にしておくのだそうだ。
人によって「刺激」を与えてくれる場所は違う。
だが、いつもと毛色の違う場所、門外漢ある場所にこし、アイデアのソースが溢れているものだ。
さぁ刺激を求めて、外に出かけよう!
2015年11月29日記述