「弱音は吐くものではない。呑み込むものである」 孫正義

これは孫さんが2011年にツイートした言葉だ。人間は壁が立ちはだかるとつい「もうだめだ」とか「無理だ」とか「きつい」とか弱音を吐きたくなるもの。そういう弱音を吐いてしまいたくなる衝動を我慢して、ぐっと呑み込むことを自分に言い聞かせることが大切だということを、この言葉は教えてくれる。

まぁツイートしてるから弱音を吐いているのかもしれないが(笑)。だが2011年8月20日付けのツイートだ
から、ソフトバンクは孫さんの号令で、被災地に社員を送り出し、基地局を立て直したり、震災の被災者への対応に大忙しだった頃の話だ。

孫さんは事業が軌道に乗り始めた直後、25歳の時に重度の慢性肝炎を患い、医師の診断は「あと5年もつかどうかわからない」と宣告された。そのときに孫さんは「5年もあればいろんなことができる」と自分を鼓舞して、病気と闘いながら本を4000冊くらい読んだらしい。その時にまとめたのが「孫の二乗の法則」としてソフトバンクの経営方針になっている。

「あと5年しか生きられない」と言われたら、あなたならどうするだろうか?人生の悲運を嘆いて仕事を辞めてしまったり、引きこもって悩んでしまったりするのかもしれない。だが、運を引き寄せて成功する人は、どんな逆境にあっても負けない。人には見えないところで弱音は吐くが、自分以外の周囲には明るく振る舞い、闘いを続ける。だから「運」というご褒美が与えられるのだ。

孫さんには都合7年くらいお世話になっただろうか。人生で出会った人の中で、孫正義ほど頭の回転が速く、発想が巨大で、先頭に立って動き続ける経営者は他にはいない。外からは独裁者と見えているかもしれないが、若手の社員であっても人の意見はよく聞く。あそこまで成功しても奢らない姿勢、そして世間には公表されていないが、世のため人のためになることを影でいっぱいしている。本当にいつも驚かされることでいっぱいだった。

こういう「強運」を持つ人物と巡り合えたことも「運」だと思っている。良い運を引き寄せるためには、もっと努力が必要で、もっと他人の役に立つことをすることが必要だ、そう思っている。

2016年4月13日記述