日本を蝕む”朱子学”の闇 その53
日本を蝕む”朱子学”の闇 その53 カンボジアでは2001年に土地法が改定された。ポル・ポト政権下での内戦よって崩壊した法律が立て直され、動き出したのが2000年代であり、それによって人々の土地は、自らの土地として証明されるようになったにもかかわらず、プノンペンの土地開発によって有益だと思われる場所に住んでいる人々の土地は、開発業者と政権の結びつく開発事業によって奪われていった。さらに酷いのがとてもじゃないが受け入れられない保証案を提示され、それを拒むと暴力を用いて強制的に退去させられたのである。そうした市民からの収奪を繰り返して現在のプノンペンの中心部があるのだ。プノンペンの中心部 首都プノンペンの町並みだけを見れば、れっきとした近代都市だが、不動産屋の広告に騙されてはいけない。ソウルと同じように未だにスラムがある。ソウルの場合は”取り残された感”が強いが、プノンペンのスラムに住み着いているのは地方から仕事を探しにやってくた農民たちである。なにせ中国と同じで地方の農村は貧しい。中国では沿海部や大都市に住む資産1億円前後のミリオネアが約440万人以上おり、1,000億円以上の資産を持つビリオネアは1,400人以上いるとされる。こういう人たちはITなどの新興産業や今やだめになった不動産投資などで稼いだ人たちで、共産党幹部のようなワイロで潤った人間とは少々異なる。 一方で、中国では全人口の約42%が月収約1万5650円以下で暮らしており、今も9億人は低所得者層である。都市と農村部との間の極めて大きな経済格差が構造的な問題となっているが、これはベトナムも同じだ。プノンペンなどの土地開発に関与している国は、中国、ベトナム、そしてカンボジア国内で腐敗した政権とつながりのある開発企業である。ここもまた宗主国の中国とそっくりだ。この中国、ベトナム、カンボジアというのは共産主義のだんご3兄弟で、どこも腐敗が酷い。ベトナムもワイロだらけの国だからだ。 カンボジアのプノンペンは高層ビルが立ち並び、ポル・ポト政権の内戦で荒廃した大地から復興を果たしているように見えるが、それは強制的に排除された人々の涙や血が浸透した土地に近代的なビルを建てたに過ぎない。カンボジアも中国と同様に富は偏在し、一部の力を持った、国家と結びついた企業や集団は富を蓄積することができ、その開発の恩恵も受けることができる。しかし、力なき一般市民や農民はそこに関わることもできず、なおかつ人権を抑圧されてしまう。そういう構図がカンボジアで進行しているということである。プノンペンのスラム街 カンボジアにおける貧困層の割合は、世界銀行の2000年の統計によると総人口約1,300万人の36%のうち90%が地方の農村で、小学校への純就学率は90%までに達したが、6年を卒業できるのは入学児童の50%以下で、中学校の就学率は21.3%、高校はわずか8.1%にすぎない状況だった。また、乳児死亡率も1,000人中95人と非常に高く、一人当たりの国内総生産(GDP)は300ドル、平均寿命は54歳だった。いずれも地方の開発の遅れ、貧困層の生活向上が進まなかったのが原因といわれている。 ひと口に「貧困」と言ってもその定義や捉え方は多様だが、国際社会で注目を集めている貧困指標の一つに、「多次元貧困指数(Multidimensional Poverty Index: MPI)」がある。これは、国連開発計画(UNDP)が2011年に公表した貧困指標であり、健康、教育、生活水準の3つの要素から派生した10種の貧困指標を合成することで、貧困状態で生きている人々がどのような貧困の形態に直面しているのかを数量的に浮き彫りにし、さまざまな貧困形態の間の関連性を明らかにする取り組みである。その後の指数の動きでは、 2010年 人口:1,430万人多次元貧困者数:682万人 2014年 人口:1,526万人多次元貧困者数:567万人 2017年 人口:1,584万人多次元貧困者数:595万人 2015年 人口:1,584万人多次元貧困者数:595万人 2022年 人口:1,684万人 多次元貧困者数:560万人 現在の総人口は1,720万人(統計によって異なる)とされ、貧困率は36.7%から16.6%へと低下する一方で、貧困人口も560万人から280万人へと半減しているという。日本とは比べられないが、単純な人口比で考えると、日本に2,000万人の多次元貧困者がいるという計算になる。読者の皆さんは、日本にどれくらいの貧困者がいるかご存知だろうか?日本の貧困の場合は所得だけでなく、教育や生活環境など多面的な「相対的貧困」が中心だが、同じ2022年の厚生労働省調査によると、日本の相対的貧困率は15.4%に達し、約6人に1人、約2,000万人が貧困ライン(可処分所得127万円以下)以下で生活する深刻な状況にあるのだ!! なんでこんなことになってしまったのかといえば、もちろん日本を支配する在日朝鮮民族によって朱子学の毒が蔓延したからに他ならない。エズラ・ヴォーゲルが『ジャパン・アズ・ナンバーワン』が発売されたのは1978年の話しで、まだ日本の政治が完全に朝鮮民族に支配される前のことである。だから、いくら筆者が中国や韓国、カンボジアの悲惨な現状を書こうとも、実態としては日本の方が危険水域に達しているのである。なぜなら日本は先進7各国「G7」に入っているのだ。先進国は聞いて呆れる。 カンボジアの貧困を助長しているインドシナ半島東部に位置する社会主義共和制国家ベトナムも変な国で、北と南では考え方も生き方も全く正反対である。ベトナム戦争(1955-1975)で中国が支援した北(社会主義)とアメリカが支援した南(資本主義)が分断された経験が、心理的な隔たりを現在も生んでいるからだ。性格・気質では、北部:は「忍耐強く、計画的で団結力が高い。政治意識が強く、信頼関係を重視する」が、南部:は「開放的で、感情表現がストレート。楽観的で移り気な面もある」とされる。 仕事・文化の面では、北部は規律や上下関係を重んじる一方、南部は柔軟性やサービス精神を好む傾向があり、言語(発音)や食文化も大きく異なる。ベトナムの人口は約1億400万人(2025年)おり、インドシナ半島の東海岸をしめるベトナムの国土は南北に長く、北は中国、西はラオス、南西はカンボジアと国境を接する。ベトナムという国家の始まりは、中国の南東岸に住む「百越」という諸民族が南下し、現在のベトナムの地に遷移して、原始的だが小規模な国家群を形成したことに由来する。漢・唐の時代には中国の侵略に抵抗できず、中国からの直接支配を受けたが、10世紀には独立した。だから朱子学の影響を受けている。 その後、ベトナムでは丁朝・李朝・陳朝・黎朝・阮朝など独自の王朝国家が成立し、文化的な繁栄をみせたが、19世紀後半にはフランスが中国の清王朝を破り、ベトナムを中国の冊封体制の下から転出させて、フランス領インドシナという植民地政府の下に編入した。第二次世界大戦中は日本軍が進駐し、大戦後には現地に残った旧日本軍が協力してフランス植民地体制が崩壊、国土は社会主義陣営のベトナム民主共和国(北ベトナム)と資本主義陣営のベトナム共和国(南ベトナム)に分裂した。ベトナム戦争を経て南ベトナムの政権が崩壊し、1976年に統一国家としてベトナム社会主義共和国が成立した。 このベトナムもワイロだらけだ。筆者の知り合いが10年以上ベトナムに在住しているが、現地で音楽イベントを開催しようとすると、必ず公安当局が邪魔を入れてくるのだという。「国が開催を許可したとしても、自治体としては聞いてない。だから中止せよ」と言ってきたり、「音響設備に問題があるから、当局の知り合いの業者を使え」などと横から口を出すのだという。もちろん「ワイロをよこせ」という意味で、警察の腐敗が激しいのである。日本の音楽業界関係者を集めたセミナーにこの方をお呼びして説明していただいたところ、みなさん唖然としていた(笑)。 政治体制はベトナム共産党による一党独裁体制である。宗主国の中国と同じである。雑誌「エコノミスト誌」の傘下の研究所エコノミスト・インテリジェンス・ユニットによる民主主義指数は、世界136位と下位で「独裁政治体制」に分類されている(2019年度)。また国境なき記者団による世界報道自由度ランキングも下から7番目の174位と下位であり、最も深刻な状況にある国の一つに分類されている。どこもかしこも朱子学に毒された国は腐敗と権力維持がやめられないのだ。 2020年7月、ベトナム北中部地方ゲアン省で発見された深刻な麻薬密売事件で、同省人民裁判所は被告15人に死刑を含む厳しい判決を下した。15人のうち、5人が死刑、8人が終身刑、2人が20年の禁固刑をそれぞれ言い渡された。死刑を言い渡された5人には、ホーチミン市の元警察官であるボー・バン・クイ被告が含まれる。クイ被告は、麻薬密売ルートへの関与が発覚する前はホーチミン市警察司法支援判決執行警察部の少佐だった。裁判所は、クイ被告が自首し捜査に協力したことを評価したが、「警察官にあるまじき行為で、複数回の密売を行い、扱った麻薬の量も極めて多く、同情の余地はない」として死刑の判決を下している。 こうした警察官の汚職は日常茶飯事の話だが、ここベトナムにもミャンマーやカンボジアと同様に、中国の犯罪組織と日本の詐欺集団が協力している。2026年3月4日、ベトナムの首都ハノイで特殊詐欺に関与したとみられる日本人4人を含む7人が現地当局に拘束された。ベトナム当局は首都ハノイのアパートなど複数の特殊詐欺拠点を2月28日に摘発、日本人4人と中国人3人を拘束したと発表した。このグループは、日本の警察官などを装い、2025年8月以降、日本円で約6600万円をだましとったとみられており、拠点からは、日本の警察の制服や携帯電話、トランシーバーなどが押収されたという。 当局は、拘束された中国人のうちの1人が拠点のトップとみて実態解明を進める方針だという。現地の日本大使館は、「当局から日本人4人を拘束したと連絡があった。邦人保護の観点から適切に対応していく」としているが、これもまた氷山の一角で、東南アジアは中国人の犯罪一家と日本の特殊詐欺集団にとっては楽園のような場所なのである。まぁ捕まってしまったが。 ベトナム政府は現在、最高指導部を巻き込んだ大規模な汚職事件の摘発と「腐敗撲滅キャンペーン」を強力に推進している。これは国家の最重要課題の一つとして位置づけられているが、まるで習近平と同じだ。チョン書記長が主導する腐敗撲滅キャンペーンは「灼熱の炉(Burning Furnace)作戦」と呼ばれ、高官を含む多くの関係者が逮捕・訴追されている。2023年と2024年には、新型コロナウイルス関連の汚職事件の監督責任を問われ、国家主席や国会議長、副首相といった共産党序列トップクラスの要人が異例の任期途中での辞任に追い込まれているのだ。これは凄まじい。 ベトナムには表向き「汚職防止法」があり、公務員などに対する贈収賄が厳しく取り締まられている。だが、今回のキャンペーンではベトナムの政治指導部の頂点にあるトップ4(共産党書記長、国家主席、首相、国会議長)だけでも、2023年1月のグエン・スアン・フック国家主席の退任に続き、2024年に入ってヴォー・ヴァン・トゥオン国家主席、ヴォン・ディン・フエ国会議長が相次いで退任、代わって5月にはトー・ラム国家主席、チャン・タイン・マン国会議長が新たに就任した。更に、トップ4以外の政治局員まで含めると、過去一年半の間にベトナムの政治局員18名のうちのおよそ三分の一に当たる7名が辞任している。 このように頻繁な指導者交替が起こる原因となっているのが、グエン・フー・チョン書記長が自らの政治生命を賭けて取り組んでいる大事業の「反腐敗キャンペーン」なのである。これは、ベトナムが独立100周年となる2045年までに高所得国入りするという大目標を達成するために避けては通れない重要なテーマなのだという。実際、腐敗は、ベトナムの社会制度に巣食う深刻な構造問題であり、ベトナム人自身がその最大の被害者であることは言うまでもないが、日本を含む多くの海外投資家も腐敗に悩まされてきており、ベトナムが海外から質の高い投資を呼び込み、高度な経済成長を遂げるためには、腐敗克服は不可欠なのである。2024年5月に開幕した国会第7会期 チョン書記長は、高齢かつ病身でありながら、この困難な課題に文字通り命を賭して取り組んでおり、その姿は多くのベトナム国民の支持を集めているという。他方で、腐敗克服には相当な荒療治が必要で、その社会的・政治的コストが高いことも事実である。なにせ過去一年半程度の間に政治局員のおよそ三分の一が辞任したのだが、その殆どが腐敗絡みの辞任だからである。更に、政治局員よりもう少し対象を広げると、腐敗絡みで辞任ないし処分された党や政府の幹部は数えきれないという。 腐敗克服のためには党や政府の幹部であろうと容赦しないという厳格な姿勢は、「反腐敗キャンペーン」に国民的支持を集める上で大きな役割を果たしている。しかし、高位の幹部の辞任や処分は、ベトナム政治に混乱をもたらし、公務員を萎縮させている側面も否定できないという。腐敗克服を重視するのか、それとも行政の効率性を重視するのか、ベトナム指導部は、この大きな矛盾に直面しながら微妙な舵取りを続けているが、そのような中にあっても、ベトナムの政治は結束を維持し、経済は2022年に8%、2023年は5%以上という東南アジアでも有数の成長率を誇ってきた。 ベトナムの「反腐敗キャンペーン」が成功するか否か。それもまた朱子学に毒された政治家や官僚の数次第だ。もちろん宗主国・中国でも習近平が国家を挙げて「反腐敗キャンペーン」を行っている。このキャンペーンを通じて、多数の党員が処分されてきた。2015年の1年間だけで約30万人が汚職で処分され、キャンペーン開始以来、処罰された人々の総数は120万人近くに上るとされている。近年、中国人民解放軍においても汚職摘発が加速しており、軍の最高幹部が党籍剥奪される異例の事態も発生していると書いたが、これは、軍の近代化を遅らせる要因となっている広範な汚職に対処し、軍に対する習近平の統制を強化する狙いがあると見られている。党中央執行委員会総会でスピーチするチョン書記長 中国では汚職の手口がより隠蔽された「新型腐敗」や「隠れ腐敗」へと巧妙化しているため、越境汚職に対処する法律の制定など、新たな対策を打ち出している。だが、10年以上にわたる徹底的な取り締まりにもかかわらず、党内は依然として汚職にむしばまれており、キャンペーンは「手詰まり状態」あるいは「終わりなき闘い」との指摘もある。強力な反腐敗闘争は、一方で官僚の過度な萎縮を引き起こし、大胆な経済改革の実行を妨げるという「二律背反」の問題に直面しており、これはベトナムも同じである。 習近平このキャンペーンは、腐敗撲滅という大義名分のもと、習近平への「絶対的な忠誠」を求め、政敵や潜在的な脅威となる高官を排除するための権力闘争の手段としても機能している。習近平が掲げる「中華民族の偉大な復興(中国の夢)」は、2012年に習近平が打ち出した、2049年の建国100周年に向けて「富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代化国家」を目指す国家的目標である。いみじくもベトナムの独立100周年に向けた「反腐敗キャンペーン」と同じだが、こちらは「国家の富強、民族の振興、人民の幸福の実現」を基本的内容とし、世界的な影響力向上を目指すものだ。 ひるがえって、それは悪しき朱子学の毒を世界にもっと広げることになるのである。<つづく>