人類史上最大の陰謀「生成AIの謎」その21
2025年は「生成AI」がブームとなり、「市場最大のバブルの前夜になった」と後世の人達の記憶に留められることになるだろう。実際、2025年の暮れは「生成AIバブル」を感じさせるような記事がメディアを飾った。11月28日には以下のような記事が掲載されている。 「OpenAI、ChatGPT開始3年で企業価値25倍 赤字でも220兆円投資」 米オープンAIが対話型AI(人工知能)「Chat(チャット)GPT」を公開して30日で3年を迎える。利用者は8億人、企業価値は公開前の25倍の約78兆円と世界最大のスタートアップに成長した。投資回収の明確な道筋を描けぬまま、2033年までに売上高の70倍にあたる約220兆円と空前の投資で賭けに出る。 「OpenAIが$7500億(約112兆円)の企業価値評価で最大$1000億の資金調達を協議中——実現すれば史上最大級の未公開企業向け投資に」 生成AI市場は「調達競争」から「基盤整備競争」へとフェーズが移行しつつある。OpenAIの$7500億評価は10月時点の$5000億から50%上昇しており、2026年中頃のIPO時には$1兆規模を目指す構えだ。一方、Googleは推論コスト削減と大規模展開を両立するGemini 3 Flashで反撃に出た。EUはAI法の具体的実施規範を世界に先駆けて整備し、透明性確保の国際標準を主導する姿勢を鮮明にしている。 「OpenAI、$7500億評価で$1000億調達を協議——史上最大の未公開資金調達へ」 OpenAIが投資家との間で、企業価値約$7500億(約112兆円)での最大$1000億規模の資金調達について初期協議に入ったことが明らかになった。2024年10月の$5000億評価から50%の上昇であり、実現すれば未公開企業として史上最大級の評価額となる。ChatGPTの週間アクティブユーザーは8億人を超え、同社は2026年中頃のIPO時に$1兆規模の評価を視野に入れている。別途、AmazonがOpenAIへ$100億以上を投資し、見返りにOpenAIがAmazon製AIチップ「Trainium」を採用する「循環取引」構造も報じられており、AI業界における資本・技術の相互依存関係が複雑化している。 そもそも論として、まだ売上が1兆円そこそこで赤字の会社が上場したら「1兆ドル」ってなんだ?って話だ。これぞ「AIバブル」以外の何物でもない。もはや世界の狂った投資家たちによる「マネーゲーム」でしかないことが分かる。だが、既にアメリカではこのIpenAIを超える価値の企業が登場している。アンソロピックだ。OpenAIのサム・アルトマンと袂を分かった人達が始めたAI企業だが、本連載でも書いたように、アンソロピックが開発した史上最強の高性能AI「クロード・ミュトス」は、世界を終わりに導くだけの強力な兵器にもなりうる性能を誇る生成AIである。 このアンソロピックの企業価値がOpenAIを抜き去ったのである。 高性能AI「クロード・ミュトス」などを開発するアンソロピックは5月28日、企業価値の評価額が9650億ドル、日本円でおよそ154兆円に達したと発表した。 アメリカメディアによると、今年2月から2.5倍となり、OpenAIの評価額8520億ドルを上回ったという。また、悪用を防ぐ安全対策の開発が進んでいるとして、数週間以内に「ミュトス」と同じ水準のモデルを公開できると明らかにした。史上最強のモデルと同水準のモデルまで登場するのだ。もはや恐ろしいことが起きる予感がする。 ブルームバーグによれば、アンソロピックは5月28日、Mythos級のAIモデルを全顧客に提供できるようにする「一段と強力な安全対策」の開発で、「急速な進展」があったと発表した。ユーザーに代わってコーディング作業を実行する能力を高めた新モデル「Opus 4.8」の公開と合わせて発表を行ったという。 アンソロピックはMythosについて、ユーザーの指示を受けた場合、「主要な全ての基本ソフト(OS)と主要な全てのウェブブラウザー」の脆弱(ぜいじゃく)性を特定・悪用する能力を持つと説明している。 重要なシステムに対するMythosの潜在的な脅威を巡り世界的な警戒感が高まる中、同社は4月に「プロジェクト・グラスウィング」と呼ばれる取り組みを通じて、Mythosの当初の提供先を一部の大手テクノロジー企業やウォール街の企業に限定していた。 その後、アンソロピックは5月22日、米国や同盟国政府と連携、「プロジェクト・グラスウィング」の対象を一層多くのパートナーに拡大する計画を明らかにした。また、Mythosに類似したモデルをより広く提供する方針も示したが、時期は明らかにしなかった。 アンソロピックは、一段と高度なAIモデルを投入し、一層多くの法人顧客に有料利用を促す取り組みで、「ChatGPT」の開発元であるOpenAIと激しい競争を繰り広げている。 アンソロピックでは過去数カ月、AIコーディング関連サービスが好調な伸びを示しているほか、AIの安全対策を巡り米国防総省との対立が続く中でも、消費者の間で利用が拡大している。 アンソロピックは主力モデルの更新版であるOpus 4.8について、コーディングのほか、金融分析や人間の推論過程を模したタスクへの対応力を高めたとしている。前回のリリースからわずか1カ月余りの投入で、OpenAIやアルファベット傘下グーグルなど競合各社に先行する狙いがあるとしている。 日本最大の企業であるトヨタ自動車の最新決算(2026年3月期)における売上高は、日本企業で初めて50兆円を突破し、50兆6,849億円(前年比5.5%増)だった。また、株式市場における時価総額(企業価値)は約48兆円で、ブランド価値評価でも国内首位の座を不動のものとしているが、それでもアンソロピックの1/3、OpenAIの半分に過ぎない。だが、両社と異なるのは売上が50兆円もあり、地に足がついた事業を行っているという点だ。バブルのバの字もない。 売上高(営業収益): 50兆6,849億円 営業利益: 3兆7,662億円(前年比21.5%減) 純利益: 3兆8,480億円(前年比19.2%減) 時価総額(企業価値): 約48兆円(2026年5月末時点の株式市場評価) トヨタの業績の特徴はハイブリッド車(HEV)の堅調な販売によって過去最高売上を記録したものの、米国関税の影響や諸経費・為替変動により減益となった点だが、為替の変動など折込み済みである。為替の影響を受けたとしても50兆円の売上を確保できており、ブランド価値も18年連続日本一である。何円後かには吹き飛ぶかもしれないような会社とは違う。最近の日本人が「数字」の大きさばかりに目が行くクセがついてしまったが、それは「時価総額経営」などというアメリカ式のまやかしがまかり通っているからだ。このは「時価総額経営」の代表格がソフトバンクであり、OpenAIの庇護者とも言えるのが孫正義である。 「ビジネス+IT」に、「ソフトバンクG、4月~12月純利益3.1兆円で過去最高 OpenAI評価益が業績を牽引」という記事が掲載されている。 ソフトバンクグループ(SBG)が2月12日に発表した2026年3月期第3四半期(2025年4月~12月)の連結決算は、純利益が前年同期比約5倍となる3兆1727億円を記録し、同期間として過去最高となった。この大幅な増益はSBGが注力する米OpenAI(オープンAI)の企業価値上昇に伴う評価益計上が主因。後藤芳光CFOは「ASI(人工超知能)の実現に向けたプラットフォーム構築」を掲げ、AI分野への投資を加速させる姿勢を鮮明にした。 SBGの2025年4月から12月までの連結売上高は前年同期比7.9%増の5兆7,192億円、税引前利益は同3.3倍の4兆1,692億円となった。純利益の大幅な拡大を牽引したのは、生成AI(人工知能)開発を手掛けるOpenAIに関連する投資利益である。SBGは同社に対し、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)などを通じて累計346億ドル(約5兆円)を出資しており、出資比率は約11%に達している。今回の決算では、OpenAIの評価額上昇に伴い、SVF2における投資利益として約2兆5,315億円、持株会社投資事業でのデリバティブ関連利益なども含めると合計約2.8兆円規模の利益が計上された。 SBG(ソフトバンクグループ)のOpenAIへの初回出資時から企業価値は約5倍となった。2024年9月時点での企業価値は1500億ドル、 2025年3月が2600億ドル、2025年10月が5000億ドル、そして 2026年2月が7300億ドルである。ソフトバンクは通信会社もやっている投資ファンドなのである。孫さんは昔から「買い物」が好きな人だ。ビジョン・ファンドも散々失敗したが、今回はさらにOpenAIが上場すると、とてつもない利益を計上できることになる。なにせアリババが上場した時は20億円が9兆円に化けたが、今回は桁が変わる。なにせSBGの持株比率は11%もあるからだ。 しかし、孫正義の狙いはさらにその先にある。それは孫正義を導く人達の狙いである。そこには「生成AI]という怪物の正体が隠されいるが、詳細は後述する。その前に、再びそもそも論に戻らないといけない。なにせAIはお利口さんなフリをしたバカだからだ。そんなものに熱狂している時点でバカなのだが、そうした”新しそうなネタ”で他人をだまくらかして稼ごうとする人達がそれほど多いということなのである。それくらいしなければ稼げない国になってしまっているということだ。◆大規模言語モデル(LLM)が創り出すのは「多数決」という名の「ウソ」 OpenAIの大規模言語モデル(LLM)の驚くべきハルシネーションの高さは「長文における人物の取り違い」などで、ユーザー側が気をつけていれば回避できるものがほとんだが、厄介なのは「一見怪しく見えないが間違っている回答」である。特に「日本語の長文」を要約するよう指示すると、それっぽい言葉を並べるだけのデタラメで、字面だけはいいが全然使えないという笑えるほど酷いものを作ってくれる。これはAIの生み出す「ワークスロップ」の問題である。 「ワークスロップ」とは、AIが生成したコンテンツは見栄えが良くても、実質的な内容に乏しく、仕事の成果物として役に立たないことを意味する言葉である。AIを利用して論文を作成したところ、引用している文献自体はAIのデッチ上げたものだったという話すらあり、世の中に存在しない本をオススメしてくれる場合もある(笑)。実際、そうした事態がアメリカでは発生していて大問題になっているのだ。だが、元ネタを知らないと「一見怪しく見えないが間違っている回答」にユーザーはコロッと騙されてしまうのである。 なぜこんなことが起きるのかと言えば、「生成AIは意味を理解しない」からだ。生成AIを語る上で最も重要なのは大規模言語モデル(LLM)で、LLMを使って生成AIは学習する。このLLMの蓄積量が生成AIの性能を決めるが、一方でそれは生成AIの弱点でもある。そもそもLLMを使って生成AIは何を学習しているのかというと、人間の言語のパターンを見つけているのだ。簡単にいえば、次に出てくる単語を予想するのである。例えば「おじいさんが〇〇〇〇歩いていました」という文章があったとき、〇〇〇〇に入る単語は「ゆっくり」「しっかり」「ヨロヨロ」などで、「くっきり」「はっきり」「ピンピン」などが入る可能性はほぼゼロである。 我々にそれが分かるのは「おじいさんが歩く」と言った時の意味を理解しているからだが、生成AIがやっているのは〇〇〇〇に入る言葉の可能性を見ているのであって、一番可能性の高いものを選択しているだけなのである。だから間違えるのだ。人間はおじいさんがどういう風に歩くのかを想像し、その文章が伝えようとしている意味を類推した上で〇〇〇〇に入るべき単語を選ぶ。だが、生成AIはパターン選択の確率の高いものを選んでいるだけで、「言葉の意味が通っているのか?」といった意味理解などは全くしていないし、理解以前に考えてもいないのである!! つまり、「人間は意味を理解して選ぶが、生成AIは確率の高い言葉を選ぶ」結果、人間と同じ単語を選ぶことが多くなった為に実用化されたのが生成AIで、だからこそ「間違い」を頻繁に起こすのだ。生成AIは確率で次の単語を選んでいるだけで、要は「多数決」で選んでいるのだ。生成AIは多数決が常に勝つ世界であり、実はこれこそが恐ろしいのである。OpenAIの「GPT-3」に代表される「自然な文章を生成するAI」が登場しているため、「AIはすでに『言葉を理解している』のではないか」と思う人も多いかもしれないが、アメリカのサンタフェ研究所で複雑系科学の教授を務め、「Artificial Intelligence: A Guide for Thinking Humans」などの著者でもあるメラニー・ミッチェル氏は、記事作成時点でのAIは真の意味で「言葉を理解している」とは考えにくいと述べている。 ミッチェル氏は著書で「自然言語理解は長年にわたり、AI研究の目標とされてきました」と語っているが、人間のように言語を理解して読み書きできるAIを構築するため、多くの研究者たちが手を尽くしてきた。当初は、ニュース記事やフィクションの文章を理解するために必要な「全ての要素やルール」を研究者が手動でプログラムする方法が模索されていたが、文章理解に必要なあらゆるものを書き留めることは現実的に不可能だった。その為、近年では「膨大なテキストデータを学習させてAI自身に言語を理解させる」という大規模言語モデル(LLM)の手法が取られたのである。 2012年に発表された論文では、「ウィノグラード・スキーマ・チャレンジ」が提案された。AI言語コミュニティ内でも1つの方法として採用されているこのテストは、以下のように短い文章と質問で構成されるものだ。 文章1:I poured water from the bottle into the cup until it was full.(ボトルからカップがいっぱいになるまで水を注ぎました) 質問1:What was full, the bottle or the cup?(ボトルとカップ、どちらがいっぱいでしたか?) 文章2:I poured water from the bottle into the cup until it was empty.(ボトルからカップに空っぽになるまで水を注ぎました) 質問2:What was empty, the bottle or the cup?(ボトルとカップ、どちらが空っぽでしたか?) だが、代名詞を含んだ文章および質問に正しく答えるには「常識的な理解」が必要となる。ウィノグラード・スキーマ・チャレンジは人間のあやふやな判断に頼るのではなく、より定量的にAIの理解をテストできるとされており、論文の著者は「質問の解答をGoogle検索で見つけられないようにする」ことも考慮して質問を設計している。2016年に開催されたコンペティションでは、ウィノグラード・スキーマ・チャレンジの正答率が最も高いAIでもたった58%しか正解できておらず、ランダムに解答した場合とそれほど大差ない結果だったという。 ところが近年、大規模な「ニューラルネットワーク」の登場によって、AIがウィノグラード・スキーマ・チャレンジに正解する割合が飛躍的に上昇した。2020年の論文ではGPT-3がウィノグラード・スキーマ・チャレンジの正解率で90%近い値を記録したと報告されており、他の言語モデルも同等かそれ以上の結果を残している。だが、「人物課題」におけるOpenAIの「o3」モデルの幻覚率は33%、「o4-mini」の幻覚率は48%!で、驚くべきは「一般課題」の幻覚率が「o3」が51%、「o4-mini」が79%という高頻度の発生率だったのである!!人物課題で5割、一般課題で8割も間違えていたのだ。ミッチェル氏は「言語モデルが人間のように言語を理解したとは言えない」と主張する。 ノーベル化学賞を取るような研究を理解出来る人は世界に数人しかいない。ほぼ全ての人類にとっては理解不能である。もしそこで多数決をとれば、貴重な最先端の研究は「意味がわからない」の一言で切り捨てられる。つまり、生成AIを使うことは新しく生まれてくる画期的なアイデアや革新的なひらめきを否定することになるのだ!! 多くの人が勘違いしているのは、大量にデータを集めればそこから真実が浮き上がると思い込んでいることだ。多くの人の意見を聞いてまとめればどうなるか?集団の為の「調和」を取った意見は凡庸な意見に集約されただけの何も面白くないものになるだけなのである。 だからこそそれっぽい言葉を並べるだけのデタラメで、字面だけはいいが全然使えないという笑えるほど酷いものを作ってしまうという「ワークスロップ」が起きるのである。見た目は世界的コンサルティングファームが作った資料になるのだが、なにせ中身が何もないに等しい「ノー・アイデア」なものを生成してしまうのである。多数の個人が持ち寄る知識、情報、経験を統合、体系化することによって、個々の限界を超える優れた知見や問題解決策を生み出すことを「集合知」と言う。生成AIはこの集合知を生み出しているのだとユーザ−は勘違いしているが、そうではないのである。 多数の個人が集まって知恵を持ち寄れば対立が生まれるだけで、それを回避するために人類は「多数決」という方法を選択してきたが、結果どうなったかと言えば「衆愚的な意見になってしまう」のであり、それは人類が戦争を繰り返してきた歴史が証明しているのである。<つづく>