12月20日 中国電力による4800万円損害賠償の裁判 | 虹のカヤック隊

12月20日 中国電力による4800万円損害賠償の裁判

一昨年の2009年11月5日から11日までの一週間、中国電力が上関原発建設予定地の田ノ浦で原発計画中止を求める祝島の人たちの意思を無視した、海の埋め立て強行工事が行われました。
 
 祝島の人たちは30年近く、島の目の前に計画されている上関原発計画に、生活を削りながら自分たちの暮らしを守るため、豊かな自然をこれからの世代に残していくため、危険な原発を作らせないめに反対運動を続けていました。

「妨害行為を止めて、進路をあけてください。」と中国電力の社員たちがマニュアル本を読み上げながら、工事を強行しようとして来ました。

 朝から夕方まで船を出して毎日抗議行動をしました。同じ志を持った全国から集まった人たちもシーカヤックに乗って一緒に抗議行動に参加しました。身体を張って、生活を削って、中電に海を埋め立てさせることなく阻止することができました。
 
 しかし、同年の12月に中国電力が祝島島民2人、シーカヤックで抗議行動をしていた2人に対して中国電力が4800万円の損害賠償裁判を起こしました。

 2011年12月20日に10回目の裁判がありました。今回は3.11後の祝島島民の清水さんの意見陳述(被告側の主張)がありました。この抗議行動は正当なもので、豊かな自然を守り、命を脅かす原発を作らせないために中国電力に非暴力の抗議をしてきたことを訴えています。

一方、中国電力は裁判官から「何故、4800万円の損害が発生したのか説明できるようにして下さい。」と指摘されていました。大企業などが、お金や時間や権力で人々を押さえつける、SLAPP裁判ということがよく分かります。

そして、まだ中電が原発を建設したいという姿勢が見えてきます。
 
今回の意見陳述です。



           
             

                       意見陳述書
                           
                                平成23年12月20日
                        山口県熊毛郡上関町祝島 清水 敏保
 

 私は本訴訟に被告とされている清水敏保です。
 
 裁判が岩国支部から山口地裁本庁に回付されましたので、昨年5月に引き続き、2回目の意見陳述を行います。昨年5月から今回までの間で最も大きな出来事は、本年3月11日に発生した東日本大震災に伴う、東京電力福島第一原子力発電所の事故です。
 
 ひとたび事故があった場合の原発の被害は非常に恐ろしいものです。福島第一原発から半径20キロは、事故後9ヶ月を経過した現在でも一般市民の立ち入りは禁止されています。また、指定された区域外へ避難した人は今年6月で11万人とのことです。
 
 原発事故は、そこに住む暮らしや産業を、全て破壊してしまうという事実を改めて知らされました。私たちが主張してきた「原発は安全が擁立されていない」ということが、今回の事故ではっきりと証明されたと思います。 

 原発の「安全神話」が崩れ、その被害を改めて肌で感じたからこそ、本年5月以降には県内の市議会、町議会が「上関原発建設計画」について、中止や凍結等の意見書を次々と可決しているのだと思います。また、6月27日に県議会で二井知事は、埋め立て免許の延長を認めない考えを明らかにしました。そして、県議会も全会一致で凍結の意見書を可決しました。
 
 祝島は、上関原発予定地からわずか4キロの場所にあります。ひとたび予定地で深刻な事故が起これば、島民は高線量の放射線に被曝することは間違いなく、生命の危険があることは明らかです。また、そうでなくても生計の支えとする漁業や農業が壊滅することは明らかです。 
 

  私は、原発問題が表面化した当初から、島の人達と共に反対運動を行ってきました。94年に原発建設計画に反対の立場から上関町議会議員となり、「原発のない安心して暮らせる心豊かなまちづくり」に全力で取り組み、現在に至っています。
 
 私達の29年間の反対運動は、常に「非暴力」に徹し、中国電力に対して原発建設の中止を訴えてきました。一昨年の9月から中国電力は、原発建設のための大きな台船を頻繁に曳航して埋め立て準備工事を始めてきました。

 そこで私達は海上で漁船やシ-カヤック等で防衛線を張って、平穏に抗議活動を行いました。
かけがえのない海を守るため、埋め立て工事をしないように、抗議をしている漁業者に対して中国電力は、「農業、漁業だけで将来島の生活は成り立たない。高齢者が多く、抗議活動を止めて帰りたい人もいるのではないか」など、暴言の数々を言ってきました。

 中国電力は、海上保安庁やマスコミが近くにいないとみると、抗議をする人達の頭上で大きなコンクリ-トブロックを吊るしたまま、ブ-ムを回転させるという危険な作業を行い、また、抗議をしていた岡田君を羽交い絞めにして暴行を加えるという暴挙にまででてきたのです。
 
 そして、今年2月21日より埋め立て工事を再開するため中国電力は、未明より作業員や警備員等陸上、海上合わせて600名を動員し、作業を強行してきました。この間の中国電力の強硬な作業は目に余る危険なものでした。作業3日目には、陸域の作業に抗議していた人達の中の二人が警備員の下敷きとなり、救急搬送されるという事故が起こりました。私達はここでもあくまで平穏に抗議を行っていました。

 はじめに述べた福島第一原発事故が起きたのは、この2月の事件から16日後でした。また、埋め立て免許の期限は来年の10月までとなっています。
 
 福島第一原発の事故をすでに経験した、現在の日本の状況では、原発の建設は勿論のこと、埋め立ても当然できないと考えます。今後どのような事があるかわかりませんが、これからも「非暴力」に徹することにより、先人達が守ってきた、ふるさとの美しい海や山を守っていきたいと思います。





今年の2月21日、中国電力が作業員600人や作業船を連ねて強行工事をしようとしました。その時の様子の記録です。祝島の人たち、そして清水敏保さんの抗議行動を撮っています。