2月28日に採取した病理標本は外注(外部検査会社に委託すること)に出され、結果が出るまでに約10日かかった。
乳腺外来にて病理結果の説明を受ける。
主治医「やっぱり乳癌でした。残念ながら乳管を食い破って基底膜に浸潤している硬癌です。大きさは1センチくらいなので恐らくリンパ節には転移してないと思いますが、基底膜まで浸潤しているからには微小な癌細胞が血流に乗って遠隔転移していないとは言い切れません。だけど、ちゃんと希望の光も見えています。ルミナールAタイプ、HER2陰性、Ki67も15%なので陰性と言っていいでしょう。」
私「それって、早期って事ですか?」
主治医「硬癌早期です。ホルモンが効くタイプなので今日から早速ホルモン療法始めましょう。」

………うーん、乳癌だとはわかったけど、リンパ節転移はないみたいやけど、早期らしいけど。ホルモン療法やるって聴いたけど。
はっきりいうて、さっぱりわからん!!
ナースやけど、乳癌なんて専門外やもん!知らんもんは知らん!!

とも言っていられないので猛勉強。

暗号を紐解いていく………

まず、どの癌でもそうだけど早期か否かによって予後が大きくかわる。
乳癌の場合、早期発見早期治療ができれば9割以上は治癒する。しかし、現在日本人女性30~65才までの死因の第一位は乳癌だ。早期発見しやすいにもかかわらず検診受診率が先進国の中ではダントツ低いのだ。
本題に戻すと、乳癌は組織学的に非浸潤癌と浸潤癌、パジェット病に大別される。(今回はパジェット病は特殊なので省いて記載する)

・非浸潤癌(ステージ0)とは、癌が乳腺の管(乳管)や小葉(お乳を作る工場)の中にとどまる癌(要するにミルク工場とそれを運ぶ管の中だけに留まってミルクが漏れ出してない癌)で、適切な治療を行えば転移や再発は殆ど無いと考えられている。
・浸潤癌(ステージ1~4)とは癌が乳管や小葉の周囲まで広がったものを指す。

《ステージ(病期:進行度)について》
ステージ0:非浸潤癌
ステージ1:しこりの大きさが2センチ以下でリン       パ節転移なし
ステージ2A:・しこりの大きさが2~5センチで        リンパ節転移なし
      ・しこりの大きさが2センチ以下で        同じ側(同側という)の腋窩(脇の下        )リンパ節にレベル1、2の転移あり
ステージ2B:・しこりの大きさが5センチを超え        てリンパ節転移なし
      ・しこりの大きさが2~5センチ以下        で同側の腋窩リンパ節にレベル1、       2の転移あり
ステージ3A:・しこりの大きさが5センチを超え        て同側腋窩リンパ節レベル1、2転        移あり
      ・しこりの大きさは問わず、同側腋        窩リンパ節レベル1、2が周囲組織        に固定されている、または胸骨(        胸の真ん中の骨)傍リンパ節のみ        に転移あり
ステージ3B:・しこりの大きさは問わず、しこ        りが胸壁に固定されていたり、皮        膚に浮腫や潰瘍を形成しているも        の(炎症性乳がんを含む)で、リン        パ節転移なし、または同側腋窩リ        ンパ節レベル1、2転移あり。また        は胸骨傍リンパ節のみに転移あり
ステージ3C:しこりの大きさは問わず、同側腋       窩リンパ節レベル3あるいは鎖骨上       のリンパ節転移あり、また、胸骨傍       リンパ節と同側腋窩リンパ節レベ        ル1、2両方に転移あり
ステージ4:しこりの大きさやリンパ節転移の状       況にかかわらず、他の臓器への転移       あり

あー、長かった。
治療については置いといて。

《ホルモン受容体(ER、PgR)について》
ホルモン受容体とは、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンの受容体(ホルモンを受け取る方)のことで、乳癌にこのどちらかの受容体があればホルモン受容体陽性癌という。
ホルモン受容体陽性癌では、エストロゲンがホルモン受容体にくっついて、癌細胞が増殖するように刺激する。(要するに、女性ホルモンとくっついて癌が大きくなる)エストロゲン受容体➡ER、プロゲステロン受容体➡PgR

《HER2(ハーツーと読む)について》
HER2とは細胞の増殖などに関わるたんぱく質。癌細胞の膜細胞に局在する。
Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2(ヒト表皮成長因子受容体2型)の略。
このたんぱく質がたくさんあると細胞増殖の制御がきかなくなる。このような乳癌ではHER2たんぱくを作るように司令を出す遺伝子の数も増えており、そのような状態を「HER2遺伝子の増幅がある」という。
HER2タンパクの過剰発現やHER2遺伝子の増幅がある浸潤癌では、そうでない癌にくらべて転移や再発の危険性が高い。
要するに、HER2陽性ということは陰性とくらべて転移や再発しやすい。


《癌細胞の悪性度とは》

顕微鏡で見た癌細胞の形から判断するもので、癌細胞の顔つきのこと。悪い顔か、そんなに悪さしそうな顔じゃないかどうか。
癌細胞の悪性度が高いと転移、再発しやすい。
悪性度はグレード1~3段階に分けられる。


《癌の増殖能とは》

1個の細胞が2個に、2個の細胞が4個に増えることを細胞の増殖能という。
一般的に、細胞が増殖する能力(増殖能)の高い乳癌は低い乳癌くらべて、悪性度が高い。
Ki67(ケーアイ67)は細胞増殖の程度を表す指標。
Ki67陽性の細胞は、増殖の状態にあると考えられている。したがって、Ki67陽性細胞の割合が高い乳癌(20%以上)は、増殖能が高く悪性度が高いと考えられるので、より厳重に対処する必要がある。


《サブタイプ分類について》

サブタイプ分類は本来は遺伝子検査の結果によってわかるものだか、遺伝子検査をすべての患者さんに行うのは大変なので、遺伝子検査の代わりに、免役組織化学の結果で便宜的に分類したもの。
ホルモン受容体陽性のものをルミナル型と呼ぶ。
・ホルモン受容体(ER、PgRとも)陽性、HER2陰性、Ki67低値➡ルミナルAタイプ(ホルモン療法が良く効く。再発リスク低)
・ホルモン受容体のうちER(エストロゲン受容体)陽性、PgR陰性または低値、HER2陰性、Ki67高値(再発リスク高のうち1つ以上しめすもの)➡ルミナルB HER2陰性型
・ER(エストロゲン受容体)陽性かつHER2陽性➡ルミナルB HER2陽性型
・非ルミナル型(ER、PgRともに陰性)、HER2陽性➡HER2型
・ER、PgR、HER2すべて陰性➡トリプルネガティブ(3つ陰性だからトリプルネガティブ)
に分類される



以上、ざっくり暗号をとくキーワードをあげた。
後は、閉経後であるとか年齢とか色々なもので治療方針が変わってくるわけだが、、、これで主治医の言っていた意味が理解できた。
私の癌はルミナルA型、浸潤癌だがステージ1…ホルモン療法が良く効いてリンパ節転移は認めない早期癌、治癒率90%以上ということだ。
敵を倒すにはまず敵を知らないとね!


続く