BREVE JOURNEY

 

 

それは小さな勇者の【孤独】な物語。

 

今回の旅は将来

ロボットを制作することを夢見る小学2年生の男の子。

 

 

 

    

 

NIJIIRO屈指の頭脳と集中力。

 

ゾーンに入った彼は、途轍もないパフォーマンスを発揮する。

 

しかし、それが逆に足枷になることもある。

 

この旅で彼はどのように成長したか。

 

それをここに記す。

 

 

 

  人物像

 

 

一人っこではあるが、家庭の方針で、大変豊かな間関係を築いている。

 

一人っこでありがちな【何でも手に入って当たり前】そんな傾向は全くない。

 

自分が興味を持つものを、とことん調査する。

 

強烈な知的好奇心を持つ彼は、スタッフ一同、ものすごい可能性を感じている。

 

 

    

 

 

気になったらとことん調べる。

好きなものはとことん突き詰める。

やると決めたら、やり切る。

 

彼の行動には「中途半端」はないのだ。

 

「興味があるかないか」

「面白そうかどうか」

 

そこに帰結している。

 

それを家族も理解し、バックアップしている。

 

保護者曰く

「この子を理解し、フォローしてくれる仲間に囲まれてくれたらいいなと思っています」

 

その為には「一人で何ができて、できないか」

 

それを学ぶ必要がある。

 

今回の旅は、それを痛感する旅になりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

  今回のミッション

 

 

【制限時間】

9:00〜17:00

 

【ミッション】

①動く巨大ガンダムを近くで見よう!

②異文化ランチを楽しもう!(2箇所以上)

③ミャンマータウンに潜入し、証拠をGETせよ!

 

 

  勇者の記録

 

9:00

少し緊張しているらしいが、時間をかけず出発。

目指すは「元町中華街」

 

10:00

問題なく目的駅に到着。

急行に乗車せず、あえて各駅停車に乗車していた。

終わった時に本人に確認すると

「急行だと乗り過ごすかもしれないから」

とのことで、彼のこの旅に対する集中力が感じられた。

*元町中華街は終点なので乗り過ごしは杞憂なのは触れないでおこう

 

11:05

鑑賞時間には余裕を持って間に合う。

鑑賞前は、制作工程の動画や、制作LABOを見て楽しんでいた。

時間を忘れて没頭するかと思いきや、切り替えて問題なくクリア。

 

12:00

⚠️緊急ご褒美ミッション(とはいえ、彼を惑わすミッション)

突然5000円を渡して、好きなガンプラを購入していいというもの。

たくさんの魅力的なガンプラたちを目の前に、購入に悩むことで時間を忘れてしまう...

そんな場面を想像していたが3000円のカスタムできる商品を悩むことなく購入。

どうやら、今の彼には「ブレイブジャーニーのミッションを達成する」ことが最優先のようだ。

 

 

    

 

12:30

次の舞台は横浜中華街。

ミッションの1つである異国の食事を摂るものに、パンダまんを予定していた。

しかし、横浜中華街に入るやいなや近くにあるカスタードまんを購入。

時間を優先しているのは良くわかるが、「妥協」は過ぎると「怠慢」となる。

今後の旅は、その点を注視していくことになる。

 

13:00

次の舞台、高田馬場に向けて横浜中華街を出る。

駅では「高田馬場に行きたい」と駅員に聞き、当初予定していたルートではない最短ルートを教えていただいた。

これまでの旅では、お子様は「何番線に乗りたい」「〇〇行きの電車はどっち」と目先の目標を聞く傾向があった。

それにより、確認が多くなったりすることで旅が困難になるところを多く見ていた。

しかし、彼の質問は目的地を明確に伝えていることで、このように良い回答を得ることもできるのだろう。

 

14:20

高田馬場に問題なく到着。

ここから、とんでもない行軍が開始することは誰も想像していなかった。

 

 

    

 

 

前述の「妥協」は過ぎると「怠慢」になるという言葉。

もう一つの食事をする場所は、ミャンマー料理で有名な「ノング イレイン」。

そこを目指すも、自分が書いた地図の尺度がおかしかった。

駅から徒歩1分なのに、地図では15分くらいに記載していたのだ。

15分程度歩き、彼は目的地とは違うミャンマー料理店に入ろうとした。

 

そこで私は彼を止めた。

 

まだ時間もある。

2回までスタッフに助けを求められる権利もある。

それなのに予定と違う行動をすることは私はチャレンジしていると評価しない、と。

今回の旅は君の旅だ。だから決断も君がするんだ。

でも、評価するのは私だ。

 

君はどうする?

 

彼は目に涙を溜めながらも、再び足を動かすことを選択した。

 

この後、実に1時間。同じ場所をぐるぐると歩く。

多少範囲は変わるが、基本的に同じ場所で同じ行動を起こす。

生物学的には過度なストレスを感じた場合の行動で「常同運動」というものがある。

恐らくそれになる行動と思われる。彼の限界は近いかもしれない。

 

    
    

 

手にしている大好きなガンプラも今にも手から落ちそうだ。

かぶっている帽子も頭からずり落ちて、紐で首から不格好にぶら下がっている。

足も脱力して、引き摺るように歩く。

 

15:20

そして、彼は行動を起こす。

先ほど入店をしようとして止められた店舗に入った。

 

遂に諦めたのか。

 

確かに時間的にも限界が近い。

しかし、彼の旅で、彼が決めたこと。

残念ではあるが、それも彼の旅だ。

 

すると彼は予想外の行動を起こしていたのだ。

「ミャンマー店なら他のミャンマー店を知っていると思った」

    

とんでもないパワープレイに驚愕した。

丁寧に案内してもらい、ようやく目的地を聞き出すことに成功した。

足取り軽く、目的地に向かう。

だが、やはり何かが起きるのが旅である。

肝心な時に方向を間違え、目的地には着かない。

 

    

 

作った地図はだらしなく垂れ下がるが、それにも気づかない。

目線は探すのを諦め、足元を向いている。

しかし、目線を上げれば目的地のあるビル「タックイレブン」が視界に入るのに。

 

    

*画像中心の黒いビルが目的地です

 

15:50

さらに30分歩き、間違った分岐点に戻る。

正規ルートに戻ることができ目的地到着。

残暑厳しい9月初旬。90分の灼熱の行軍が終わりを告げた瞬間だった。

 

    

 

ミャンマー名物料理「イチャクエ」をほおばる。

ミャンマー料理は虫料理もあるらしいが、さすがにパスだ。

急いで食べたら、お土産も購入し、17:00新宿を目指す

 

 

    

 

私もカメラマンを彼を全力で追いかける。

17:00解散にはギリギリ間に合うかどうかだ。

そして新宿での解散場所は「新南改札」。

 

これが鬼門である。

 

新しい改札であり、人が集まれるスペースもあるのでイベントの集合解散として活用している。

よって馴染みがない場所ではないのだが、駅ホームから行こうとするとかなり難しいのだ。

案の定、駅に到着し「新南改札」を探すも見つからなかった。

人の流れに乗って、ホームから降りてしまったら最後、新南改札ルートは消失する。

もれなく彼も、その鬼門にハマった。

 

    

 

これは後日談になるのだが、彼に質問した。

「そういえば駅員さんにはすごく話しかけていたね」

「うん」

「それに比べ、一般の方とは話してなかったね。難しいと感じていたんだ?」

「うん。緊張するし、なんて話しかければいいか分からなかった」

 

これは非常に参考になる見解だった。

ワーカーは、質問に親切に回答するのが業務であり、それを正確に伝える責任もある。

しかし、一般の方はその義務も責任もないのだ。断ることもできる。

 

これが、また今後のブレイブジャーニーを変えるきっかけになる。

 

 

    

 

突然だった。

 

今まで一般の方には一切話しかけていなかったので油断した。

突然、交差した若い女性に声をかけ、しかも新南改札まで同行を依頼したのだ。

親切に改札まで誘導していただいた。

 

17:08

目標時間はわずかであるが8分すぎて到着。

 

    

 

この旅で、彼は何を感じ、何を学び、どう成長したのか。

自分には何ができて、何ができないのか。

それを見つめた1日は、間違いなく彼を大人へ近づけたはずだ。

 

以上、これが彼のBrave journey。