BREVE JOURNEY
今回の旅は小学校5年生になった女の子。
【彼女】はどんな人間で
【彼女】はどんな旅をして
【彼女】はどんな問題に直面して
【彼女】はどんな成長をしたか
それをここに記す。
彼女
妹、弟の姉、長女である彼女。
初めて参加した子ども旅での彼女の振る舞いは衝撃的だった。
普段から妹、弟と接していた環境で培われた彼女の能力。
周囲を見渡す「観察眼」。
下の子を自然にフォローできるスキル。
特に観察、洞察眼は目を見張るものがあり、スタッフたちは「彼女は本当に周囲を良くみている」と評した。
彼女はきっと大きく伸びる。
NIJIIROは、君のスキルは実は凄いと評価した。
NIJIIROは彼女にスポットライトを当てる機会を多く作った。
彼女は妹、弟をフォローするのが当たり前だったが、それが野外教室での年下の子、慣れない子への気づきやフォローとして素晴らしいスキルとし発揮され、彼女の観察眼も相まって強烈なパフォーマンスとなっていたことに、他の子どもたちも気づいた。
すると、NIJIIROの非認知能力を評価するキャラバンシステムを、彼女は一気に駆け上がった。
キャラバンシステム運用史上、未だかつて無いスピード。史上初めての飛び級。
前人未到の道を「彼女」は駆け上がった。
そして美的感覚にも非常に優れ、自分磨きも怠らない。
気づけば周囲の子どもたちは「彼女」を憧れとして見るようになった。
「彼女」もそれを自覚し、消極的であった人前に立つこと、発言・意思表明をすることが増えてきた。
「彼女」は強く、素敵で、魅力的な人間に成長した。
BREVE JOURNEYは、年長や低学年のお子様が取り組んでいたのを見ると、賢い「彼女」にとっては満を辞して、いや、むしろ遅すぎたかもしれない。
しかし、BREVE JOURNEYは、本当に【孤独】な旅。
「彼女」は今回の旅で、あらためて自分の弱さに直面した。
多くの壁にぶつかり、途方にくれた。
それでも諦めず、一歩一歩を踏みしめた。
多くの援助も受けた。
「彼女」はこの旅を通して、また一つ魅力的な大人への階段を登った。
そんな「彼女」の物語をこれから記す。
今回のミッション
【制限時間】
9:00〜18:00
【ミッション】
①自分で決めた目的地に向かおう
②目的地に着いたら写真をとってもらおう
(渋谷109・ベビタピ・竹下通り)
③家族が喜ぶプレゼントを作ろう
④お昼ごはんをお店で食べよう
勇者の記録
AM9:00。
天気は、せっかく咲いた桜も散るほどの強い雨。
気温も下がり、肌寒い。
そんなコンディションのせいか、彼女は集合時から不安な顔が隠せない。
後に彼女はインタビューで語る。
「そんなに難しいとは思っていなかった。でも、いつも側には必ず家族や友だちがいたので、本当の一人というのは初めてだった」
葛藤を乗り越え、開始から30分後に覚悟を決めて一歩目を踏み出した。
根岸駅から品川駅に向かう。
早速、品川駅で渋谷までの乗り換えがわからず迷う。
親切な女性に声をかけてもらい、渋谷まで案内してもらう。女性は目的地が違うにも関わらず、渋谷駅まで同行してくれた。
遂に、憧れの地、若者のファッションの発信地「渋谷」に到着。
早速、109に向かう。109にてアクセサリーなどの小物系のショッピング。何度も行ったり来たりをして買い物を楽しむ。
109を後にする時「人に写真を撮ってもらう」ミッションをこなす。
この時点では「写真を撮ってもらう」ことについて、さほど困難ではなかった。
その後、彼女は雨の中、渋谷から原宿に向かう。
竹下通りにてお願いできそうな大人を見極め、写真をお願いするも、無視をされた。
観察眼、洞察眼に優れていることを自他共に認める彼女にとってのエラーは実に致命的だった。
久しく彼女は無力感に苛まれた。
でも、強くなった彼女は前を向く。
竹下通りで写真を撮るのは一旦諦め、竹下通りにあるお店に入りミッションであるベビタピの場所を聞くことに切り替えた。
彼女は雨の中、約1時間程行列に並ぶ。
念願のベビタピを達成し、再び活力を得る。
しかしながらこの時点で13:30。
多くのミッションを残しながら、カウントダウンが始まる。
原宿から品川駅に山手線で行く予定が、反対周りに乗ってしまい新宿方面へ行ってしまうアクシデントが発生する。
しかし、違うことに気付き即座に近くの大人に話しかけ、新大久保で降り正しい方に乗ることができた。
他人へ声を掛ける、リクエストをすることが失敗した直後でも、強くなった彼女は再び同じアクションが出来た。失敗を恐れない。
間違いなく彼女は強く、成長している。
品川駅に到着。ここから桜木町へ向かうが乗る電車が分からず、再び駅員さんに尋ねる。
確認の重要性に気づいた彼女は、その後も何度も確認を重ね、目的地へ向かう。
ここでハプニングが発生した。
桜木町に着いた時点で持ってきていた傘を電車の中(山手線)に忘れていることに気付いた。
雨はまだまだ強く降っている。
こんな瑣末なミスをするなんて...彼女も周囲もそう思った。
通常ならこんなミスはしない。それが非日常環境であるブレイブ・ジャーニー。
強い彼女の目にも、涙が溜まる。
でも行動を止めない。
駅員さんに忘れ物の問い合わせをして、明日以降に取りに来てくださいと言われたため、すぐに傘の購入を決意。
失敗を引きずることなく、切り替える強さも身につけた。
この時点で15:30。残り150分。
ミッション③である家族へのプレゼントを作るための雑貨屋さんが見つからずお助けカード使用を決意。
後にインタビューでは「2回使えるなら使った方がいい!」と答えている。
意地にならず、ルールを柔軟に使う彼女の柔らかい思考が生きた場面。
17:00過ぎ、ようやくミッション④である「お昼ご飯を食べる」に取り掛かる。
タイムアップも近づき、ここでも2回目のお助けカードを使用して、迅速に食事会場を決め、食事とプレゼント制作に取り掛かる。
食事を摂り、プレゼントを制作していると18時を回ってしまいタイムアップ。
しかし、最後までやり切りたいと制作とのことだったので少し時間を延長して続行。
そして遂に、この旅はゴールを迎える。
18:35根岸駅到着
以上が、彼女のBREVE JOURNEY。