手鏡 | 不思議サロン

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怪談奇譚不思議のブログです。

古物商をやっていた父が体験した話です。

 

これは50年以上も前の話しになるのですが、

 

父の小さな店に、ある女性が来たんですよ。

 

年は60歳くらいで

 

異様にげっそりと痩せていて

 

白髪混じりのざんばら髪を振り乱して

 

来たそうです。

 

まずは帳面に住所と名前、電話番号を書いて

 

貰いました。

 

女性は、袋から雑に手鏡を出して来ました。

 

これを買い取ってくれ、と言うのです。

 

赤みを帯びた黒のような色に

 

椿のような花が彫られていた

 

とても古い手鏡だったそうです。

 

「幾らで引き取ってもらえますか?」

 

「ねぇ、幾ら?」

 

女性は絞り出すような震える声で何度も聞いて来ました。

 

父としては、ただ古いだけで値打ちがないものだったので

 

「申し訳ないですが、うちではお引き取りができません」

 

言いながら手鏡を女性に戻すと、

 

「それは困るわ。

 

じゃあ良いわ、お金はいらないから

 

引き取ってよ、それなら良いでしょ」という始末。

 

「この鏡、何かあるんですか?」と

 

父は女性に尋ねました。

 

「この鏡のせいで◎▽×$‘#*」

 

酷く取り乱して最後の方はよく聞き取れなかったそうです。

 

何か曰くがあるんだな、

 

(古い物にはよくあるみたいです)

 

そう思った父は、神社かお寺に持って行っては?

 

とアドバイスをするのを最後まで聞かずに

 

女性は手鏡を持って店を出て行ってしまった。

 

切羽詰まった女性の様子が気になった父は

 

引き取るだけ引き取ってあげよう、

 

そう思って翌日、帳面に記載された女性の家に電話を

 

掛けてみると若い女性が出て

 

 

 

 

 

「母は、死にました」と言って

 

電話を切ったというのです。

 

もしかして、自分が昨日

 

あの手鏡を買い取ってあげなかったばっかりに、

 

と思ったのですが、

 

どうする事もできなったそうです。

 

それから何十年も経って、私は体を

 

悪くして会社に勤める事が

 

出来なくなったので、静養もかねて

 

父の店を手伝う事にしました。

 

2年ほど父と一緒に店に立っていたんですが

 

父も90近くなって、もう今日で店に出るのを

 

やめようかな、言いながら

 

今の話を聞かせてくれたんですよ。

 

それからすぐに父は亡くなりました。

 

大往生でした。

 

店を閉めようかとも思ったんですが

 

父が大切にしていた店ですし、

 

私が引き継ぐ事にしました。

 

大した店ではないんですが、

 

私1人ならなんとかやっていけました。

 

5年ほど前でしたか、

 

いつものように1人で店にいると

 

白髪混じりの髪を振り乱した60歳近くの

 

女性が店に来たのです。

 

慌てた様子で、いきなりバックから手鏡を出して来て

 

引き取ってくれ、というではありませんか。

 

見ると古くて赤みを帯びた黒色で

 

椿のような花が彫ってあるんです。

 

こ、これは、父が言っていた手鏡ではないか???

 

見た瞬間そう思いました。

 

鏡を見ると割れてヒビが入っていました。

 

さすがに引き取るわけにはいきません。

 

その旨を伝えると女性は、

 

お金はいらないから、引き取ってくれ!

 

と何度も言って来ましたが

 

丁重に断ると

 

「もういいわよっ」かなり立腹した感じで

 

店を出て行ってしまいました。

 

鬼気迫る表情に私は恐怖を覚えました。

 

その女性がその後、どうなったのか

 

分かりませんが、父の言っていた女性と

 

何か関係があるのか?

 

何故、この店に来るのか?

 

ひょっとしたら、父が話していた手鏡と

 

全く関係のない話かもしれません。

 

先日、「幽霊の絵」を読ませて頂き、

 

すっかり忘れていたこの話を思い出したので

 

お便りさせて頂きました。

 

内容こそ違いますが、私も手鏡を見たとたん

 

これは父が言っていたあの手鏡だ!と

 

確信めいたものを感じたのです。

 

 

 

 

Pさん、ありがとうございます。

 

この話を聞かせて頂き、私は

 

Pさんが見た女性は、

 

お父様が会った女性の、

 

「娘さん」なのではないか?と思った。

 

今となっては調べる術はないので推測でしかないが。

 

手がかりはお父様が電話した際に

 

出られた若い女性である。

 

その時の女性が年をとり、Pさんのお店に来た。

 

想像だが、

 

結局あの手鏡は母親が亡くなった後も

 

女性宅にあって、何かのきっかけで

 

障りを起こした為に娘さんが

 

手放そうとしてPさんのお店に来た、

 

という事ではないだろうか。

 

Pさんに聞いてみると、その女性と

 

Pさん家族とはなんの繋がりもないという。

 

お父様は初めてみる女性だと言っていて

 

Pさんも同じだと言う。

 

もし私がその手鏡の持ち主だったら

 

神社かお寺に持って行き

 

お焚き上げをして貰うが。。。

 

いや、女性達はすでに神社仏閣に持って

 

行ったけど断られた、さらに

 

他の質屋にも断られた。

 

どこかに捨ててみたが、何度も

 

意図せず手鏡が勝手に

 

自宅に戻って来てしまった、とか。

 

だとしたら、怖い話である。

 

 

 

いつも読んでくれて、ありがとうございます。

 

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