本州に渡ったトキ3羽、新潟県と佐渡市が「島に戻して」(朝日新聞) - goo ニュース

 佐渡市は本気だ。

 はたして、トキを佐渡に連れ戻して、首に鈴を付けることになるのだろうか。
もしそうするならば、鈴は牛につけるくらい、大きくて、重いものがいい。
 あまり軽すぎると、またどこかに飛んでいってしまう。

 トキが飛んでいった場所と、飛んで行かれた場所ではずいぶんと対応が違っていることが、たぶん多くの人の知るところとなったことだろう。
木島平に広がるトキを語る輪 信濃毎日

 一度野生に返すと、放したものを、思い通りにならないからと、捕らえて連れもどすという発想からは、自然回復の意味を見いだすことはできない。

 どうして佐渡からトキが去っていったのか?
 その原因をトキに求めているのだとしたら、つぎに放されるトキも遅かれ早かれ島を後にすることになると思う。



☆テキスト版

本州に渡ったトキ3羽、新潟県と佐渡市が「島に戻して」

2009年3月13日23時0分


 新潟県と佐渡市は13日、佐渡島で昨秋放たれ、本州に渡った3羽のトキを捕まえて島に戻すよう求める要望書を環境省に出した。地元側は「島ではえさを増やす努力もしており、安心して過ごせる」と訴えるが、環境省は「このまま見守る」との立場だ。

 野生に復帰させるため、昨年9月に環境省が放鳥したのは雄雌5羽ずつ。本州に渡ったのはいずれも雌で、11月に見つかった最初の1羽は新潟だけでなく長野県内を含めて転々としている。今月、さらに2羽が本州で確認された。

 残る7羽のうち1羽は死亡し、1羽は行方不明。島で確認されるのは雄4羽と雌1羽だけになった。佐渡市の高野宏一郎市長は「本州側には十分なえさがないかもしれない。このままでは今春の繁殖も期待できない」と心配する。

 島では、かつての生息地を中心に、えさのドジョウなどがすめる場所を整備してきた。しかし、放たれたトキはそこには姿を見せず、広範囲に移動。観察する市民からは「遠くまで飛ぶ鳥だったのか」との驚きの声が上がる。

 本州へ渡ったのはえさを求めてなのか、他の鳥に追われたのか。放鳥の際、箱からすぐに飛び立たせたことによるパニックが影響している可能性もある。県と市は早急な原因解明を環境省に求める。

 斉藤環境相は13日の記者会見で「捕まえるのはリスクがあり、トキにストレスを与える」として静観する考えを示した。担当者は「野生にかえそうとしているのだから、自然のまま、できる限り手を加えずに見守りたい」としている。(平井良和、高橋淳)

☆テキスト版
信濃毎日

木島平に広がるトキを語る輪 写真展開催の声も 3月10日(火)

トキの写真を見ながら談笑する木島平村の人たち

 下高井郡木島平村に飛来していたトキが新潟県十日町市に移動して一夜明けた9日、村内では地元をにぎわせた珍客の思い出を語る輪が広がった。小学生らは村の自然の豊かさを再確認し、村民有志からはトキの写真展を開こうという声も上がった。

 飛来地から歩いて5分の南部小学校。5年生のクラスでは、この日も朝からトキが話題になった。全児童12人は昨年7月に学校活動で佐渡島を訪れ、放鳥前のトキを見学。9月の放鳥時には、「長野まで来るかもしれないね」と話していた。

 今月4日に村内の田んぼで飛来が確認され「会いに来てくれたんだ」と驚いた。翌日、全員で再会を喜んだ。

 自然環境の悪化がトキ絶滅の原因の一つと学んだある女子児童は「木島平の自然は豊かなんだね。これからも大事にしないと」と話した。担任の湯本文洋教諭(42)は「トキは去ったが、6年生になってもトキを教材に環境学習を進めたい」と言う。

 トキがよく止まっていたスギのほぼ真下にあるギャラリー「中町展示館」ではスタッフが集まり、仲間が撮影した写真を見ながら話が弾んだ。

 「トキに向かって手を合わせるおばあちゃんもいたそうですよ」と山本広子さん(42)。記憶が風化する前に写真展を開くことにし、借り受ける写真の手配などを始めた。

 環境省によると、同村にいたトキは9日も十日町市でねぐら入りが確認された。