
幾度と無く通った。サツキマスの産卵する場所。
この場所は、昨年の台風23号ですっかり地形も変わり、河床の礫のサイズも変わってしまった。
サツキマスはアユとは違って、メスが自分で産卵するくぼみを作るのだが、流れ込んだ礫と砂が河床をカチカチに固めてしまった。
本来なら、自然な出水で細かい土砂が流され、礫の隙間が空く。河床はさかなの力でも掘れる程度にゆるくなるのだが、今年はいけない。手のひら大の礫が一面に覆ってさらに河床を固めている。
9月末に場所の確認をして、礫をすこし除いた方がいいと思っていた。そこで、探していたのがジョレン。やっと手に入ったのだが、アユの産卵観察会とコクチバス騒ぎで10月の産卵時期を逃してしまった。
サツキマスの産卵する場所へ。おそまきながら、その場所を訪ねた。
川は随分とその姿を変えている。正面に見える小さな滝には、カワガラスが住んでいたがその姿はない。全体に河床に砂が溜まっている。カワガラスの餌となる水生昆虫も少なくなっているのだ。
川岸を歩き、場所の確認をした。やはり、どこを探しても、サツキマスが掘った産卵床は見つからなかった。
岸辺には、サツキマスの産卵期に盛りを迎える花、ジュウモンジソウ。
そのわずかに残った花が、季節の終わりを告げていた。
